蛭ヶ岳

熊木沢から蛭ヶ岳を仰ぐ


【行程】 12/5(土)雨[東名川崎IC13:10=大井松田IC14:10=新松田14:20=ユーシンロッジ15:35(泊り)]
12/6(日)曇り[ユーシンロッジ7:30−熊木沢出合8:07−東沢堰堤8:55−蛭ガ岳10:50/11:40−棚沢の頭12:20−弁当沢の頭13:15−熊木沢出合14:12−ユーシンロッジ14:50/15:05=玄倉15:40=ぶなの湯15:55/17:00=新松田17:40=たまプラーザ19:45]
【メンバー】 隊長、陰の大御所、林道の鴉天狗、シェルパ1号

○今年の3月に桧洞丸から蛭ガ岳を目指した登山隊は雪のため前進を断念したのでした。(隊長の涙のUターン指令、経緯は98年3月檜洞丸参照)この無念を晴らすべく同一メンバーでの再挑戦となりました、ただしユーシンロッジに宿泊して翌日に周遊コースでアタックのラクチン山行です。ディスカウント店で仕入れるアルコール類の多さにこの山行の目的が登頂ではなく宴会であるとの不安が隊長の頭を過ぎります。

林道ゲートを突破(これは下り)
○ユーシンロッジへの熊木沢林道は一般車通行止めです、玄倉商店に寄ってゲートの鍵を借りてから出発です。やがてゲートに着きますが、これがとんでもなく頑丈で、その鍵と言ったら、なんでこんなにと思うような厳重な造りになっています。雨の中でゲートを開けるのは一仕事でした。隊長が鍵を開けようとして鍵に掛かっている鉄のカバー(重さ5キロ)を押し上げた時に、雨で濡れていて滑り手で支えきれずに危うく指を挟み込みそうになりました。(おお恐い)

○ユーシンロッジは思ったより大きな建物でしたがコンクリート造りの寒々とした印象です、ここにおじいさんとおばあさんの2人で番をしていました。紅葉のシーズンも終わりお客は十数名と寂しい限りです。部屋は湿った感じでかび臭く暖房も無い寒々しいうらびれた設備です。しかしここの料金を聞いて思わず耳を疑う隊長です、なんと今どき2食風呂付で4100円とは、正直うれしいです。もちろん夕食、朝食ともにちゃんとレベルに達していました。でも山小屋だと思えば汚い部屋は一転豪華個室に変わるから不思議です。

○隊長の不安をよそに登山隊の宴会は止まるところを知りません、今年訪れた百名山の山々の思い出話しに花が咲きます。やがてあんなに沢山あった酒も底を尽き、知らないうちに布団のなかで寝ていました。午前2時にあまりの喉の渇きに目が覚めましたが、早くも二日酔いの頭痛が襲ってきました。(なんつうアホでしょう)

○さて熊木沢出合の手前の林道から眺められる蛭ガ岳は沢の奥に屏風のように立ちはだかっています。用木沢もこの熊木沢も西丹沢の沢は山の深さを実感させる雄大な景観を持っています。出合からは河原のなかの道を詰めて行きます、東沢堰堤の先で西沢を越えて山道に取り付きますが、ここからはいきなり急登でほとんど緩やかになることはなく一気に山頂に向かいます。道はあまり踏まれていませんが赤と黄色のテープが要所要所にあり迷う心配はありません、昨年滑落事故があった頂上直下の痩せたガレ場は雪が残っていて緊張しましたがロープが張ってあり安心です。

○傾斜が緩くなり前方に空が広がってきたら蛭ガ岳の山頂です。人気の丹沢主峰というので混雑を予想していたのですが誰もいません、なんだか肩透かしを食らったようです。あいにくガスで視界はありませんが風が無くベンチで昼食とします。結局50分間とどまりましたが、その間出会ったのは単独行氏2人だけの静かな山頂でした。夏用ボンベを手で温めガスの火力向上を図るアホ隊長は気化熱で手先がしびれてしまいました。

鬼ガ岩への登り
○蛭ガ岳から棚沢の頭までは結構雪が残り20〜30センチの積雪です、ただ気温が高くないのでぐちゃぐちゃにはなっていません。この稜線上は北風が冷たくフリースを着て丁度良いぐらいでした、手袋をしない手は悴むほどです。棚沢の頭から南に伸びる尾根に入ります、さすがにメインルートを外れると誰の踏み跡もありません、いや何やら見慣れぬ蹄のあとが延々と続きます、鹿さんのつけたトレースです。(鹿も道を通り楽をしているなぁ、ところどころに鹿さんの落とし物の濡れ甘納豆が?)

○分岐からは北風が吹き付けなくなったので気温が上がり雪は10分もすると消えてしまいました。あとは落葉樹の林の中を落ち葉を踏みしめながらゆっくりと下ります。鹿の物悲しい鳴き声が山々に木霊するのを聞いていると本当に静かな山だと実感できました。弁当沢の頭からは塔ノ岳が遠望でき、下りに入ると鍋割山が前方に木々の間に見え隠れします。初冬の雪景色の丹沢を一人占めでき大満足でした。

○今回は忘年山行ということで陰の大御所も久しぶりの参加ですので、コースは無理をせずらくちん周遊としましたが、これが思わぬ静かな山旅につながりました。人気の丹沢ですがまだまだ静かな人に荒らされていないスポットがありそうです。帰りに中川温泉の町営ぶなの湯に立ち寄り1年の垢を落としてから家路につきました。

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