裏妙義

丁須の頭・赤岩・烏帽子岩・風穴尾根の頭・谷急山

風穴尾根の頭から縦走路を振返る(烏帽子岩、赤岩、丁須の頭)


裏妙義=表妙義

【行程】 12/19(土)快晴[東名川崎IC4:20=練馬IC5:00=松井田妙義IC6:30=国民宿舎裏妙義6:45/7:00−丁須の頭8:50/9:00−赤岩の基部9:32−烏帽子岩の基部10:00−三方境10:30−P311:15−谷急山11:41/12:35−P313:00−三方境13:38−馬頭観音14:30−国民宿舎15:00/15:18=松井田「妙角」15:48(泊り)]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗

○今回は上州の奇峰の林立する妙義山に挑戦です、どうせ登るならとことん味わい尽くそうと妙義山裏表三昧という企画を立てました。まず第一弾として裏妙義を丁須の頭から谷急山まで縦走しました。

○国民宿舎裏妙義からの道は落葉が積もっていて人の通った跡がありません、静かな樹林帯のなか木漏れ日を浴びながら徐々に高度を稼いでゆきます。木戸の付近は岩がゴロゴロして歩きにくい道となります、ナメ状の岩に掛かる鎖場を通過し振り返ると風穴尾根に空く風穴が望まれます。やがて稜線に達すると横川からの道を合わせ痩せ尾根をトラバースして丁須の頭の基部に到着します。

丁須岩の肩から浅間山(風に鎖が揺れる)
○肩までは鎖を使って一気に登りますが、そこから見上げる丁須岩は身が竦む思いです。ガイドブックには"冒険心の旺盛な人以外は止めた方が無難"から"登山禁止"までいろいろと書いてありましたが、正直な話し「鎖がついているなら登れるだろう」と軽く考えていました。ところがこれは大間違いだったのです、岩の頂上から細い鎖が3メートルほどオーバーハング状の岩肌にくっついています、これが途中から下に何も無い空間に垂れ下がり風を受けて揺れています。おまけに岩の基部には遭難碑が。「君子危うきに近寄らず」とパスする登山隊でした。(うーん、あのアホ隊長にしてはまともな判断です)

赤岩トラバースを渡る
○ここから縦走が始まりますが、アップダウンのきつい痩せ尾根はなかなか手応えのある道でした。しばらく歩くと狭いチムニーの中の垂直な鎖の下りに出会います、慎重に足を運びますがザックが岩に引っかかり危うく前に投げ出されそうになり、冷や汗の隊長です。赤岩、烏帽子岩と基部を巻いて行きますが切れ落ちた岩場についたトラバースの鎖と桟道は気が抜けません。ようやく着いた風穴尾根の頭からは烏帽子岩の岸壁の見事な景観が眺められました、反対側には谷急山が遥か遠くに望まれ先が思いやられます。

P3から谷急山
○三方境からは谷急山に向かいます、P1からP7まで小ピークを越えてようやく山頂に立つことができますが、なかなか急峻な登り下りでいいかげんくたびれました。さて雲一つ無い快晴のなか360度の展望を一人占めします。白く輝く浅間山を筆頭に、榛名山、赤城山、奥には雪を被った北アルプス、尾瀬の山々、南に目を転じれば八ヶ岳、奥秩父の連山、手前には表妙義の奇峰が荒々しい山肌を見せています。「明日はあそこに登るのかなあ」風も無く気温も高い小春日和の山頂でTシャツ1枚でひなたぼっこをする隊長は至福の時を過ごします。

谷急山から表妙義
○三方境まで戻って国民宿舎まで下ります。この道は巡回路で本日唯一の実線ルートです、緩やかな傾斜の道を落葉を踏みしめながらゆっくりと歩きます。馬頭観音からは木々の間に星穴岳の異相を望むことができます。中木川に出て対岸の林道を少し行くと国民宿舎に戻ります、見上げれば裏妙義の岩峰が青空をバックに屏風のように聳え立っていました。裏妙義は岩あり鎖あり落葉の樹林帯ありの変化に富んだ良い山で、おまけに出会った人は谷急山での中年カップル2人だけの静かな山旅でした。ルートは破線ですが要所要所にテープがあり迷う心配はありません、ルートファインディングの楽しみはありませんが、我々一般登山者には時間の節約となり助かりました。

○本日の宿は松井田駅近くの「妙角」です、ここでシェルパ1号と落ち合い明日の表妙義に備えます。宿にあった昭和48年のニッチの地図を宴会の肴に話しが弾みます。隊長が昔活躍していた頃の地図が4分の1世紀を経てタイムカプセルのごとく蘇ったのでした。現在のものと比べると実線と破線が入れ替わっていたりしていて、山のルートの栄枯盛衰が興味深く見飽きることがありませんでした。(単なるノスタルジアという声もあり)

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