上武国境稜線2

三国峠・三国山・高水ノ頭・滝谷山・(南天山)

ピンクの石楠花群落を行く


【行程】 6/4(土)曇り時々雨 [たまプラーザ2:35=(車)=練馬IC3:27==花園IC4:05==鎌倉橋6:20/6:35==三国峠7:11/7:39−三国山8:03−高水ノ頭11:06−ガク沢分岐12:17−滝谷山13:14/13:30−1538p15:24(迷)15:50−南天山分岐16:21−鎌倉橋18:15/18:29==三国峠19:09==中津川20:00(泊り)]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗


○それは登山隊の全盛期のことでした・・・上武国境稜線(赤岩峠〜滝谷山)に挑んだのは良いのですが藪に道を失い日が暮れてビバークした苦い思い出があります。その続きの滝谷山から三国峠までが課題となっていましたが、山と渓谷6月号に記事が載ったのを機に「行かずばなるまい」と鴉天狗に声を掛けます。

○ネットで検索してもヒットしたのは2件のみですが、GWに単独で登った学生さんの報告が頼りになりそうです。今回のコースは三国峠から滝谷山まで上武国境を辿り、前回と同じく南天山に続く尾根を下ります。日の長い6月ですから1日で十分に周遊できると思いましたが、前回の反省から縦走装備で土曜日出発といたします。

○下山口の鎌倉橋に車をデポして三国峠を目指します、落石の多いダートをグングンと登ると新三国峠です。暑さ対策で水4リットルを持ったのでザックが肩に食い込みます、トイレの右から笹を分けて踏跡を辿りますがイキナリの急登に早くも息は絶え絶え。三国山までは岩を乗り越える所はありますが良い道が付いていました、山頂からは長野県側の展望が開けています。

○御巣鷹山への道を分けて北東に向かいます。原生林に包まれた道なき稜線の踏破に心躍らせての出発ですが、微かな踏跡とテープがありましたから少々拍子抜けでした。やがて石楠花の大群落に遭遇します、辺り一面に咲き乱れる淡い桃色の花、花、花、・・・嗚呼、これじゃピンクテープの識別が困難です

何の目的で看板が?○何の目的でこんな山奥に?原生林に不似合いな人口物「緑の回廊」なる看板が所々にあり実に不信です。そういえば奥秩父では以前に比べて鹿の姿が目立ちます、稜線上には鹿の糞がいたる所にあり、外皮を食べられた痛々しい木々が目に付きます。野生動物保護も結構ですが天敵のいない山では個体数抑制が難しい、食害の連鎖回廊にならぬことを祈ります。鹿の増えた丹沢や屋久島ではヒルが繁殖していましたが、果たして奥秩父は大丈夫でしょうか?

○やはり心配は杞憂には終わりませんでした、腕を這い回る蟲に目が点の隊長です。なんとダニがノソノソと歩いているじゃありませんか、日高のものよりは小ぶりですが立派な体形をしています。笹藪を漕いだ時に飛び移ってきたのでしょうか、クワバラ、桑原・・・慌てて爪で潰しました(その後もう一匹発見)

○1730pを越え笹薮を下ると広い稜線を行きます、やがて大岩が行く手を阻みますがテープに導かれて埼玉側を巻きます。2つ目の岩峰は登れますが降りられません、これも埼玉側を巻きます。高水ノ頭は三角点が鎮座しており朽ちた標識が落ちていました、ようやくこれで滝谷山までの半分です。原生林の中でいきなり雷鳴一発!雨が降ってきました。すかさず合羽を着ますがすぐに止みます、蒸し暑いので何度も着たり脱いだりの繰り返しとなりました。

滝谷山にて・・・立派な鹿の角に心奪われるが○意外にあっけなく滝谷山に到着です、これで本日の核心部は終了ですからゼリーを食して登頂を祝います。立派な鹿の角があり隊長の心を虜にしますが、重いので写真に収めて置いておきましょう。さて前回は下降点を誤り100mの急斜面を藪漕ぎトラバースでした。山頂から少し戻った所に良い道があったので下りますが、しばらく行くと岩場に出て行き止まりです「こりゃ前と同んなじだー」南天山へと続く尾根が向かい側に見えています。

○首を傾げながら登り返しますが、ようやく見つけた尾根の分岐点は背丈を越える笹藪です、小さなテープの下には微かな踏跡があるので足からダイブします。厳しい藪はわずか50mほどですが分岐の入口ですから難度の高いルートファインディングでした。

○厳しい岩峰の道が続き「よくこんな所を夕暮れ時に歩いたものだ」と感慨にふけます、最後の岩は絶壁なので南側を巻いて下ります。道の笹は刈られた跡があり以前より歩き易くなっていました、暗闇の中での逆走彷徨事件の現場も何のことはありません、前方に道が真っ直ぐに続いていました(何故こんな所で間違えた??)

1538p付近から南天山へ続く尾根○順調に1538pまで来ました、あとは東に派生する尾根に取り付けばOKです。この気の緩みが間違いの始まりでした、安定した踏跡を東に向かって下り始めますが何時の間にか南に向かっていたのでした「なんだか足元の感触が前回と違うね」「前の時は落ち葉がフカフカだったけど季節のせいだろ」ってオイオイ暢気なことを言ってる場合じゃないって。

○「うーん、西上州の藪山は奥が深い」貴重な教訓を得た登山隊は分岐まで登り返して南天山を目指します。ところが遊歩道に出るともう余力はありません、隊長の腰は重い荷物に悲鳴をあげ続けて限界です、南天山はパスして鎌倉沢を下りましょう。腰と膝に痛みの走る隊長はゆっくりとしか下れません、それでも気力を振り絞って登山口に辿り着きました。

○速攻で三国峠まで車の回収に向かいます、薄暮のなか高度を上げて行くと霧がどんどん深くなってきて、遂に前が見えなくなりました。こうなるとフォグランプの無い隊長車は手も脚も出ません、幸い風で霧が流れるので辛うじて前進できました(隣で寝ている鴉天狗は暢気なやっちゃ)

○無事に車を回収して中津川に戻ります。目当ての温泉は16時までですって(食事は14時半まで)残念!仕方が無いのでトイレで身体を拭き食事の準備です・・・でも雨のなかのビバークに比べたら天国ですね。夜の帳がおりた公園では、念願かなって上武国境縦走を貫徹した登山隊の意気は上がりっぱなしでした。



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