アポイ岳・様似山道

様似海岸からアポイ岳を望む


【行程】 11/3(日)晴れ時々雪 [蓬莱山から=(車)=冬島登山口8:50/9:05−五合目小屋10:05−馬ノ背10:32−アポイ岳10:56/11:05−送電線11:30−幌満登山口12:13−様似山道東口12:35−原田旅宿跡13:49−コトニ小休所跡14:46−冬島15:17−冬島コース登山口15:48==アポイ山荘16:05/16:30==札幌19:50]
【メンバー】 隊長


○夏山ハイカーの隊長は北国のあまりに早い雪の訪れに怯えつつ未練がましく歩ける山を探します。花の無いアポイ岳なんて魅力は大幅減ですが、静かな山旅を求めて冬島コースから幌満コースへの縦走とし、おまけに様似山道を辿り周遊する魅力てんこ盛りのプランといたします。

寒い山頂にて ○雪のちらつく寒い駐車場には数台の車が、なんと物好きはまだいたのです。旧道は良く整備された樹林帯のなかの道です、新道を合わせるとひと登りで五合目の避難小屋です。眼前には目指すアポイ岳が眺められ、ここからはカンラン岩の稜線の急登です。冷たい北風が雪を運び思わず襟もとを合わせます。ロープで囲われた登山道は季節にはアポイ草が咲き乱れ登山者で溢れるのでしょうが、薄っすらと白く化粧をした道には往時の華やかさはありません。

幌満コースからアポイ岳を振り返る ○馬ノ背からは北風がまともに当たり突風に気をつけながら進みます『これじゃまるで冬山だー』左半身だけ凍えながら歯を喰いしばって九合目からは最後の急登に臨みます。山頂は北側に葉の落ちた林があるので展望はいまいちですが南斜面は北風が遮られ助かりました。シェルパに久しぶりの山頂コールをします「なんだぁ、腹をこわして八海山ドタキャンだってー」相変わらずでんな・・・

○暫くすると電信柱風の鉄塔の送電線に出合います、振り返ればアポイ岳に陽が当たり絶景でした、通行し易い道をほぼ送電線に沿って登山口まで下ります。まだ時間が早いので車の回収はバスを使わずに冬島まで様似山道を辿ることにいたします。

様似山道
○様似山道は江戸時代の後半に蝦夷地開発の一環として造られましたが、海岸沿いの道が出来ると忘れられ廃道となったのでした。その道が整備され復活したそうですので歴史を訪ねてみましょう。幌満トンネルから幌満川右岸に降りますが崖からの落石に注意です、足元には頭の大きさの硬い岩がコンクリートの階段を軽く砕いています、金網を張った数十メートルの急な崖を見上げながら素早く通過しましょう。

稜線上は結構立派な道が残っている○登山口の入山届けは最新が9月の日付『さ、寂れてる〜』脇の「熊に注意」の看板は伊達じゃありません・・緊張して入山です。沢沿いの道は厚い落葉に覆われ半ば廃道化していますがピンクテープに導かれて奥へと進みます、いかにも熊の棲家といった雰囲気がたまりません。

○沢を外れると路は明瞭となり寂しい山道の一人旅です、道路建設でシャモに酷使されたアイヌの方々を偲びながら一歩一歩黙々と歩きます。遅い紅葉が淡い陽射しに輝くなか時折聞こえる様々な鳴き声に耳を傾けつつ、呼子を吹きながら前進です。突然、前方を横切る黒い影!驚愕の隊長、大きなエゾシカさんでした(驚かすなよ)続いて数頭が走り去ります。

○立派な山道ですが尾根は全て越え、沢には必ず下ります、意外とアップダウンがあり疲れた脚には少々辛い道のりでした。おまけに海に近づくと北風が雪を運び寒さが身に凍みます。それでも要所にある道標とテープのお陰で順調に山から脱出です、東冬島で林道に出て里道となりました。気持ちの良い路で自動車道路を長く歩くのも嫌なので、最後の方は冬島まで林道を使いました。アポイ登山口まで戻りアポイ山荘で入浴です、立派な建物に悪い予感がしましたがやはり塩素臭い温泉でした。お湯の中からアポイ岳の展望が素晴らしかったので、まあ良いか。



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