十勝連峰縦走

富良野岳〜上ホロカメットク〜十勝岳〜美瑛岳〜オプタテシケ〜トムラウシ〜化雲岳

上ホロカメットクから十勝岳


【行程】 8/15(木)晴れのち雨[十勝岳温泉5:50−上ホロ分岐7:00−稜線8:34−富良野岳9:01/9:08−三峰山10:28−上富良野岳11:08−上ホロカメットク11:28−大砲岩12:00−十勝岳12:45/13:00−美瑛岳15:06−美瑛富士分岐15:56−美瑛避難小屋16:23(泊り)]
8/16(金)ガスのち晴れ[美瑛避難小屋5:01−ベベツ岳6:20−オプタテシケ7:37/7:53−双子池9:05−カブト岩10:05−コスマヌプリ肩10:57−ツリガネ山西峰12:45−三川台14:10−南沼15:28−トムラウシ16:09/16:22−天沼17:53−ヒサゴ沼18:45(泊り)]
8/17(土)晴れ時々曇り[ヒサゴ沼6:38−化雲岳7:33−ポン沼8:30−第二庭園9:30−第一庭園9:55/10:25−滝見台11:39−天人峡12:24/13:10=(タクシー8230円)=美瑛13:44/14:09=(JR)=上富良野14:28/16:31=(バス)=十勝岳温泉17:15(泊り)]
8/18(日)晴れのち曇り[十勝岳温泉7:00=吹上温泉7:08/7:28=千歳13:00=札幌14:30]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗


富良野岳を振り返る○十勝岳温泉では温泉に入って日高の汗を流し、トイレのある駐車場にて車で寝ます(今回はエアートレックなので豪華絢爛)久し振りにゆっくり過ごせました。登山口から荒涼とした火山の砂礫地帯を登って行くと風の強い稜線に出ます。ここに荷物をデポして富良野岳をピストンです、登るにつれて背後の十勝岳が次第に大きくなってきます。

○富良野岳はお花畑がそこここにあり季節の花が楽しめる山です。山頂からはこれから向かう稜線のアップダウンが手に取るよう、厳しい一日が予想されます。今回は縦走装備+水6Lなので隊長のカモシカ脚は封じられ亀足です(相棒は水7Lと頑張ります)ところがザックは35Lと40Lですって、登山隊って本当にパッキングの名人なのですね(自画自賛してりゃ世話無いね)

ザレ場の可憐な高山植物 ○先程まではくっきりと見えていた十勝岳でしたが上ホロ小屋付近から急に天候が悪化してまいります。ここの避難小屋に泊まるにはまだ早い時間ですから先に進みます(心の片隅では泊まれとの囁きが)激しくなる雨のなか十勝岳に向かい喘ぎながら高度を上げて行きますと、最後はあっけなく山頂です。人気の百名山もこの天気では人の気配はありません。

○ザクザクの道を美瑛岳に向かいます、ガスで見通しが利きませんので慎重に道標を拾いながら進みます。雨は上がりましたがガスが纏わりつき、見通しの悪い広い尾根を延々と2時間歩きます。美瑛岳に着いたらもうヘトヘトです、誰も居ない山頂は展望もなくサッサと下りましょう。遅く着いた避難小屋でしたが幸運にもスペースがありました、本日は9人と余裕です。隣に函館の人が居たので「S口@函館さん知ってますか?」「・・知りません」う〜ん、山屋なら誰でもみぃんな知っている我らがグッチパパを知らんとは『あんた、もぐりとちゃう』

双子池とトムラウシの間には広大な自然が○翌日はガスのなかを出発です、ナキウサギが我々を大歓迎で、そこここからチッチッと挨拶をかわしてくれます。稜線に出ると風が強く目が開けられないほどです、登山隊は黙々とペンキを追います。ベベツを下ると鞍部でペンキは消えますが、後は踏跡を辿りながら高度を稼いで行きます。稜線に出てしばらく行くと待望のオプタテシケ山頂です、時々ガスが薄くなり頭上に青空が覗くのですがなかなか本格的に晴れません。暫くすると単独行とペアが反対側から登ってきました、情報交換してエールを交わします。

○稜線から外れ急な下りを少し進むとガスの下に出ました、眼下には笹原の中に浮かぶ双子池が陽の光をキラキラと反射しています。前方にはツインピークのトムラウシが威風堂々とした山容を我々の前に現しました。見渡す限りの広大な自然、なんと原始性の高いコースでしょう、人気の山を結ぶ縦走路ですが登山者の少なさは貴重です。

無残に刈られたハイマツ○この縦走路は最近手入れがなされています、笹を刈るのは有り難いのですがハイマツをバッサバッサと切り開くのはとんでもないことです。幅2mに渡ってハイマツが切り裂かれた様は痛々しい限りです、いったい誰がこんなひどいことをしたのでしょうか?狂人の仕業としか思えません・・・隊長はここに告発します。35年前に八ヶ岳でキスリングをハイマツの上に置き、監視員から注意された過去を持つ隊長は、それ以来ハイマツの味方ですよ。

○なかなかオプタテシケの頭に掛かったガスは取れませんでしたが三川台に近づく頃には十勝連峰は晴れ渡りました。三川台からトムラウシまでは素晴らしい高原となっていて、お花畑の絨毯のなか一本道です。まさにあの長い縦走路の果てに辿りついた楽園でした。振り返れば淡い逆光の中に縦走路のシルエットを認めつつ、赤とんぼの乾いた羽音に清々しい初秋の臭いを感じます。

淡い光の中に縦走路を振り返る○南沼から岩場の急な登りをこなすとトムラウシ山頂です、誰も居ない静かな頂は夕暮れを控えて穏やかでした、上空のいわし雲が明日の好天を約束しているようです。30年前はガスで展望はありませんでしたが、今は冷たく澄んだ空気のなか眼前に広がる光景に言葉は不要です。相棒の登頂を待って記念写真を撮りますが、だいぶお疲れのようですね、あの万年強気がなんと弱音を吐いている。天気は良いし食料・水・燃料も十分なのに予備日を残して下山するということです(足りないものは気力だけ)

○しだいに暗くなるヒサゴ沼を目指して歯を食いしばりながら進みますが、大きな岩がゴロゴロある歩きにくい道に泣かされます。なんとか暗くなる寸前に滑り込みセーフです、テンバのスペースに小テントをはめ込み終わったらドッと疲れが出てまいります。当たり前だ、実働13時間44分は縦走装備での登山隊新記録。

○翌日は欲張らずに天人峡へ下山します。化雲岳では山頂の岩に登ろうとする馬鹿が一名。裏から登れるかと思ったのですが、そばにいた人が正面からだと教えてくれます。この時点で隊長はきっぱり諦めますが、鴉天狗はアタック姿勢を見せています「下りるのが難しそう」「止めなよ、恥ずかしくないから」隊長の理性的な説得で危機を脱します。

正面の旭岳が印象的な第一花園○緩やかな草原の道は右手に大雪山「旭岳」左手にはトムラウシと豪華な競演です。ポン沼を過ぎると急な下りが始まり、次第にドロドロの歩きにくい道となります。木道が現れると第一花園です、正面に旭岳を望みながらお花畑のなかで豪華昼食といたします。やがて森林帯の下りが続くと羽衣の滝を正面に見る滝見台です。ここから最後の踏ん張りで天人峡温泉に下山です。

○タクシーが来るまでビールで乾杯!上富良野からはバスですが待ち時間が2時間もあります、駅前の観光案内所のオジサンに親切にしてもらいました。十勝岳温泉の凌雲閣の露天風呂からは富良野岳から上ホロまで一望のもとで、長かった縦走の疲れも吹っ飛びます。翌朝は宮沢りえの入った吹上温泉に入り「極楽じゃぁ〜」これにて一週間の珍道中は幕となったのでした。



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