神威岳・ペテガリ岳

1301pからペテガリ岳


【行程】 8/10(土)曇り時々小雨[札幌8:50=(車)=千歳9:45=厚真10:35=神威山荘13:55/14:30−渡渉点14:50−神威山荘15:10(泊り)]
8/11(日)曇り[神威山荘4:45=渡渉点5:00=神威山荘5:28−第四渡渉点6:21−尾根取付7:35/7:45−稜線8:35−神威岳9:40/9:45−稜線下降点10:35−尾根取付11:20/11:40−神威山荘13:40/14:05=林道14:10−滝15:20−稜線16:05−ペテガリ山荘18:05(泊り)]
8/12(月)曇り[ペテガリ山荘5:25−1050p7:00−1259p7:50−1301p9:20−ペテガリ岳11:05/11:28−1301p13:17−1050p15:28−ペテガリ山荘16:56(泊り)]
8/13(火)曇り時々雨[ペテガリ山荘5:43−稜線8:01−滝8:45−林道9:37/10:05=札内川ゲート14:20=芽室小屋17:30(泊り)]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗


登山隊の実力では渡れませ〜ん○いよいよ待ちに待った登山隊の北海道ツアーです『最強の戦士』とかなんとか煽てあげ相棒の鴉天狗を日高の山に誘い込みます。しかし木金と続いた豪雨の後で海に注ぐ河口は泥色の濁流です、まあ上流はこんなでは無いことを祈りつつ、篠打つ雨に煙る林道を山奥まで進みます。遥か下の峪底はガスのため流れは見えません。

○神威山荘に着くと早速ペテガリを目指します、林道を下り始めると大きくなる沢音に次第に心が暗くなります。渡渉点に立つと轟々と流れる水の勢いに鳥肌の立つ思いです、試みに靴を脱いで足を一歩踏み入れますが、深くて早い流れに立つのがやっとです。足の甲を襲う余りの冷たさにすぐに引き上げますが痛くて暫くは声も出ません。三年前の幌尻岳で日高の沢の恐ろしさに懲りた隊長は、涙を飲んで渡渉を断念したのでした。

ニシュオマナイ沢から神威岳 ○明けて翌朝、車で林道まで入り渡渉の準備です、しかし水の勢いは未だ衰えずまたしても敢え無く敗退です。踵を返して目標を神威岳に変更し、小屋で同宿したガイド付き登山隊の後を追います。ニシュオマナイ川の約500m上流にある渡渉点は先程よりは水流が少ないものの、股下までの水は容赦無く身体を押し流そうといたします。本日は沢靴とネオプレーンソックスのお陰で水の冷たさは全く感じません、科学の勝利に脱帽です。

○やっとのことで渡り終えると沢に沿って奥を目指します、次から次へと何度も沢を越え水量が減ってくると最後の二股から少しで尾根の取付きです。ここでガイド登山隊(ガイド2名+お客3名)に追いつきました。聞けばカムエクを目指したが危険なために転進してきたそうです、明日は楽古岳に向かう予定とか。

鴉天狗は折れたポールで沢を渡る○いきなりの急登で滑りやすい道を被さる笹を分けながら必死に登ります、1時間で稜線に出ますがガイドさんの速いこと、ブッちぎる登山隊にお客を放ったらかして食らい付いてきます。稜線上はガスと強風が待っていました、ハァハァ、ゼィゼィ、カッパを着用して前進です。

神威岳の山頂にて○呆気なく着いた山頂はガスで展望はありません、天候の回復も期待できないので記念写真を撮り即下山です、少し下った岩陰で腹を満たすと転がるように一気に下ります。ようやく尾根の取付き地点に着いて気が緩んだのでしょうか、鴉天狗がいきなり躓いてストックに乗り上げ、憐れ銀色のポールは真っ二つ『悲しいねこれから渡渉なのに・・・』

○小屋に戻ると時間はまだ早い、水も朝よりは減ったようなので再度ペテガリへの渡渉にトライしましょう。水に慣れたのかそれ程の恐怖感もなく三度目の正直で無事対岸に着きました「やれやれこれで一安心」登山隊はうかつにも沢装備を解除して林道跡を奥に進むのでした。

○ところが水量の増えた小沢を越えるのに登山靴の中は水浸しとなり、後はもうヤケクソで進みます。ここにもう一人の間抜けが、半袖、短パンで藪を漕ぐ。ちくちく大魔王(日高の沢筋に生える棘のある草で触るとヒリヒリ痛い=イラクサ)の襲撃をストックでかわしながらの悲惨な山旅です。

唯一の滝は水量も多い○嗚呼、ついにやってきましたダニ攻撃が(神威では無事だったのにー)帽子のつばを動く不届き者をかわきりに来るは来るは、手に足に何度も違和感を覚えます。あるときには笹を払った左の二の腕に2匹同時に飛び移って来たじゃありませんか、目前で繰り広げられる恐怖に打ち震える隊長です。

○ドォーと流れ落ちる滝の右岸を巻き薄くなった道に替わって沢筋を詰め、最後の二股は右に流れの少ない方を取ります。急な傾斜を笹に捉まりながら必死に登ると稜線で、30m東に行くと下降点です。今度は滑りやすい泥道を急降下、少し広い沢を渡ると林道に出ます。途中では熊に呼子の挨拶を交わし、足が棒になった頃にようやくペテガリ山荘に到着です、夕暮れが近い山荘には誰も居ませんでした。

○翌日はペテガリに向かって山路を辿ります、意外にも笹は刈り取られハイウェイ状態です。ジグザグが次第に小さくなり尾根上を登るようになると1050pに出ます、遥か前方にペテガリが望まれます。ここからは小ピークをいくつも越えて1301pです、一度大きく下ると最後の500m直登が待っていました。昨日からの激登で隊長のガラスの膝はもう極限状態です、頂に倒れこんだら激痛が走ります。

憧れのペテガリ山頂の標識○生憎ガスで展望の利かない山頂でしたが隊長の心の中は満足感で一杯です。林道が封鎖されてからは文字通り“遥かな山”となってしまったペテガリの頂に立つことができたのです。ところが下りでは地獄が待っていました、一歩踏み出す度に脳天まで走る劇痛にペースは大幅にダウンし登りの2倍かかるとは情なやぁ。

無事に車に戻りました○バンテリンのお世話になりながら騙しだまし足を引きずり小屋に戻ります、本日中に神威山荘に戻る野望は脆くも挫かれペテガリ山荘にもう一泊します。驚いたことに単独行が同宿です、聞けばF@京都さんじゃありませんか。「神威山荘からの道はひどかったですね」と話を振ると「ああ、あれは道じゃないから」うーむ、流石は『平成の龍馬 』を名乗るだけのことはある、話に無駄がありません・・・しかし会話が続かんなぁ

○帰りの道は雰囲気も明るく、最後の渡渉も水が引けば超簡単でした。車に着いてようやく落着く登山隊です。これならカムエクも登れそう、前途に希望を擁いて出発です。ところが札内ダムを過ぎると立入禁止のゲートが行く手を遮ります・・・なんたるこっちゃ、失意の登山隊は十勝方面に転進します・・・が、帯広を過ぎた辺りで『狩勝峠が霧で視界20m』の報に接し、芽室岳を目指すことになりました。神威岳山頂標識の裏に「胃を噛む男」



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