飯豊連峰
大日岳への道
【行程】 10/8(金)曇り[新宿23:09=(快速ムーンライトえちご)=]
10/9(土)晴れ[=坂町5:55/6:00=(タクシー)=飯豊山荘6:55/7:00−湯沢峰8:34−滝見場9:22−梶川峰10:52/11:13−扇ノ地紙11:58−門内岳12:17−北股岳13:15−梅花皮小屋13:32(泊り)]
10/10(日)快晴[梅花皮小屋5:47−烏帽子岳6:35−天狗の庭7:45−御西小屋8:28−大日岳9:28/9:45−御西小屋10:37/11:12−玄山道分岐11:42−飯豊本山12:15/12:35−御秘所13:10−切合小屋13:50(泊り)]
10/11(月)晴れ[切合小屋6:02−七森6:35−三国岳7:07−血ノ池(地蔵山)7:52−横峰小屋跡8:15−下十五里9:03/9:30−御沢登山口9:48−飯豊鉱泉10:13/12:30=(タクシー)=山都13:05/13:23=会津若松13:53/14:11=(快速ばんだい14号)=郡山15:20/15:29=(やまびこ208号)=東京17:08]【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗、シェルパ1号、シェルパ2号
○海の日に予定していた飯豊山がドタキャンとなりリベンジに燃える隊長は体育の日の3連休に賭けます。おーっ、1年振りの豪華メンバーです。今回は『快速ムーンライトえちご』という優れものの列車でお出かけです、新宿始発で朝には目的地に、おまけに急行券不要(指定料金510円)なのにリクライニングで急行アルプスよりゆったり座席です。途中何度も貨物列車に追い抜かれつつ朝には坂町に到着です。始発列車は1時間半待ちですので予約のタクシーで飯豊山荘まで入ります。(1万2670円)
○登山口の駐車場にはもう50台ほどの車があり、続々と到着です。この時間にタクシーで乗り付ける"時間を金で買う"ような登山者は我々だけでした。(急行券代が浮いたからまぁいいか)梶川尾根はいきなりの急登で始まります、湯沢峰までの600Mを一気に登ります。そこからは傾斜は若干緩くなるものの梶川峰までは気の抜けない登りが続きます。
○梶川峰からは稜線漫歩の始まりです、真っ青な空と黄金色に輝く草紅葉のコントラスト、風にそよぐ笹の白緑色が一段と豪華さを加えます。この雄大な景色はどこかで見たような?そうだっ、昨秋の白山で南竜ヶ馬場から南に縦走した時の景観に似ています。もっともあの時はお忙し登山で景色をじっくり味わえませんでしたが。
○新築なった梅花皮小屋は80人収容の立派な2階建です、2階の天井がいやに高いと思ったら、15人収容のロフトがありました。本日は60名ほど(ロフトに10名)ですので窮屈な思いは免れました。連休中はレインジャーが番に入り使用料1500円を徴収されましたが、思いもよらぬビールが入手できて嬉しい登山隊です。(350CC=800円、500CC=1000円)
○隣のオジサンは2時から食当の開始です、マーボーナスから始まりステーキだチゲ鍋だと豪華絢爛、α米主体の超貧弱献立の登山隊は涎だらだらと卑しくも擦り寄って試食に預かります。なんとこの人はトライアスロンの王者だそうです、どおりで重量制限が無いはずです。うん待てよ確かシェルパ2号はトライアスリートだったのでは、鴉天狗も長谷川カップにエントリーとか、うーん隊長は隊員の体力を過小評価していたか。(どうも我が隊のモットーは体力の出し惜しみにあるようです)
○雲海に浮かぶ朝日連峰を横目で捉えながら烏帽子岳の急坂をゆっくりと登ります、高度を上げるに従って連峰の真ん中から鳥海山が秀麗な姿を現します。御西小屋からはサブザック(4人で1つ)でピストンです、ところがここでも謙譲の美徳を発揮する登山隊です(ええぃ、いったい誰が背負うんじゃい)しかし空身で登り始めれば勢いは止まりません、一気に大日岳の山頂です。これで長谷川カップはもらった(ほんまかいな)
○山頂からは遥か佐渡が島まで望める大展望、澄んだ空気のなか360度遮るもののない眺望は将に値千金です。飯豊本山を真ん中に秋色濃い重畳たる山脈の主稜線を一望のもとにでき、飯豊の素晴らしさを実感できる絶好のビューポイントでした。飯豊7回目でようやく大日岳に立ったお兄さんが感涙にむせぶ一幕もありました。登山隊は恒例の登頂ゼリーで祝します。
○御西小屋は行き交う人々で混雑しています、昼食をとっていると「贅沢しちゃった」とはしゃぐオバサンの手にはビール(350CC)が、なんと1000円ですって。驚きの登山隊は切合小屋に期待して飯豊本山に向かいます。広い尾根道は黄金色の散歩道です、最後のちょっとした登りで本山に到着です。ここからの展望も素晴らしい、そんななかでも北に向かう大ー尾根の荒々しい稜線が印象的でした。改築なった本山小屋は8日から開放されていますので安心して縦走できます。ここから縦走路は南下し、ザレた道を大きく下ります。
○切合小屋は120人収容と聞いていましたが小振りの2階建でした。昨日は超満員で通路まで使ったそうですが本日は70名ほどでゆったりとしています。残念なことに番人が入っておらずビールはお預けとなりました。昨日梅花皮小屋で聞いた情報はガセだったんです、誰だ制止を振り切って手持ちのアルコールを飲み干したアホは!隊長の怒りは収まりません。
○こうなったら食べて寝るしかありません、早々とシュラフに入ります。ところが向かいのパーティはワイン、ウィスキー、ビール、ブランデーなどあらゆる酒で盛り上がっています。ますます惨めな登山隊ですが、聞きたくも無い話しを聞かされたのには閉口しました。前立腺の話題で嬌声を上げる破廉恥中高年達よ、恥じを知りなさい。「前立腺は○○○のジャンダルム?」いいかげんにして欲しい。
○吾妻連峰から昇るご来光が小屋の2階の冬季入口から眺められます、朝食を取りながらこの贅沢な一瞬に暫し見とれます。本日も晴天なり。七森から三国岳の痩尾根は紅葉が今が盛りです、黄色の中に赤が時々混じり朝日に輝いています、岩場もあり変化に富んだ素晴らしい縦走路でした。三国岳からは痩せた岩稜の下りとなり剣が峰の辺りの鎖場は重い荷物の時は要注意です。軽量カモシカ登山隊は楽々通過、重い荷物の学生さん達をぶっちぎります。
○せっかく来たのだからと巻き道を通らずに地蔵山へ昔の参道に足を踏み入れます、良く踏まれていますが笹が両側から生い茂りちょっと煩い道です。ここの下りで鴉天狗が顔面制動したなんてトップの隊長はちっとも知りませんでした。登山道に戻ると巻き道を通り先行した人々を抜き返します。前にいたはずの登山隊が後ろから現れたので驚く登山者に「お地蔵さんを見に行ってきた」と訳のわからん説明をするシェルパ1号。お陰で信心深い人達との評価を得たしだいです、その割には顔面制動は罰当たりっぽいですが、まぁ本人になにか問題があったのでしょう。
○御沢の登山口から飯豊鉱泉までは趣のある林道で楽しく歩くことができました。薬効あらたかな鉱泉につかり、風呂上がりのビールで乾杯!待ちに待った幸せな一瞬です。大盛りの山の幸が次から次へとテーブルに並びます、こうなったら地酒を飲まない訳には参りません。列車に合わせた迎えのタクシー(5720円)が来るまで大いに飲み食いして山中でのアルコール不足を解消しました。(入浴500円シャンプー、ボディソープ、シャワー)
○憧れの飯豊連峰の縦走がこんなに素晴らしいものだとは正直思い至りませんでした。朝日連峰は好きで2度訪れているのですがなぜか飯豊は未登となっていました、縁が無かったとしか考えられません、特に7月に山行が中止になった時はこれも天命かと諦めました。ところが計画通りに行っていたら雨模様、今回晴天のもと雄大な山容に触れることが出来たのは運命のいたずらとしか思えません、本当にラッキーでした。
○いよいよ隊長の百名山行脚も満願に王手をかけました、さて次なる一手は?ところが飯豊があまりにも素晴らしかったので、この余韻を少しでも永く味わいたいとの思いも強い今日この頃です。眼をつむれば大日岳から眺めた飯豊連峰の伸びやかな稜線が目蓋に浮かびます、耳元では柔らかな風が囁いているようです。都会の喧騒のなかで秋の飯豊山中に戻れるのはいつまででしょうか?