光岳

イザルヶ岳から光岳


【行程】 9/25(土)曇り[たまプラーザ0:30=(車)=調布IC1:00=諏訪SA(仮眠)2:45/4:20=松川IC5:05=林道赤石線入口6:03=易老渡6:42/7:15−面平8:40−三角点10:38−易老岳11:04/11:30−三吉平12:20−センジヶ原13:00−光小屋13:18/13:30−光岳13:44−テカリ岩13:50/14:05−光岳14:16/14:40−光小屋14:50(泊り)]
9/26(日)
晴れ[光小屋6:25−イザルヶ岳6:41−三吉平7:25−易老岳8:23−面平9:36/10:00−易老渡10:36/10:58=小川の湯12:20/13:00=松川IC13:45=調布IC18:30=たまプラーザ19:30]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗


○鳳凰に続き2週連続の山行となり連登の利かない隊長には辛いところですが、週半ばに秋分の日が入ったので休養は十分です。例によってシェルパがドタキャンとなり鴉天狗と2人となりましたが初秋の南アを満喫してきました。林道赤石線は夜間通行禁止(20:00〜6:00)ですので注意が必要です、下栗からの迂回ルートもありますが台風通過直後の林道を夜間に通る勇気はありません、途中の諏訪SAで仮眠をとり林道入口には6時に着きました。

○林道入口は上島トンネルの前を右折します(エアリアの裏に詳細図あり)道はほとんど舗装されていますが狭く落石が多いので雨の後は気が抜けません。皆さんの報告ではあっと言う間に易老渡に到着となっていますが、上ったり下ったり距離はかなり長いので覚悟がいります。易老渡には15台くらいの駐車場があり簡易トイレも設置してありますが、先行する軽四輪の夫婦の他にはRVが1台のみです。「小屋は混みますかね?」と話し掛けたら「シーズンオフだから空いている」との応えに安心の隊長です。

○朝食を取ってからゆっくり出発します、吊り橋を渡るといきなり急登の始まりでした。暗くジメジメした樹林帯の道はいかにも蛭が降ってきそうな陰気な雰囲気です。突然、隊長の目前にバシャバシャバシャという音とともに蛭が降ってきました「うわぁ、勘弁してくれ!」足元の枯れ葉のなかでのたうち回る黒い蟲、人に取り付けなかった怨念の断末魔でしょうか。確か蛭は先頭ではなくセカンドに襲いかかるはず、掟破りの攻撃に動転する隊長でした。暫くビクビクと暗い斜面を登っていくと鴉天狗の悲鳴が、今度はセオリー通りの攻撃に内心ホッとする隊長でした(ゴメンネ鴉天狗)わずか半時間に2度も襲われるとは恐い山です、この先が思いやられます。

○原生林のなかの静かで気持ちの良い山道ですが、山が深いので登っても登っても周りの景色が変わりません、単調な繰り返しにいつしかモノトーンの世界に溶け込んで行くような錯覚が襲います。ようやく面平につくと杉の巨木と苔むした倒木が屋久島を思い出させます、深緑の絨毯を敷き詰めた台地は絶好の休憩地点です。

○ここから三角点までの尾根筋の登りがまた長いのです、夏の暑い中ここを登るのは勘弁して欲しいと軟弱隊長は思うのでした。易老岳からはガスのなか三吉平まで下ってからイザルヶ岳の山腹を巻きながら明るい沢を登り詰めます。ここがまたとても長く辛い登りでした、途中から沢には水が流れ益々歩きにくくなってきました。センジヶ原には水場(雨季のみ)があり美味しい水がかなりの水量で得られます。(前日は大雨でしたので)

○小屋の近くでキャーキャーとオバサンの歓声が聞こえてきました、静かな山は一転賑やかになりました、イヤーな予感が的中です。小屋の直前で19人のツアー登山に追い付いてしまったのです。小屋は昨年新築された素晴らしい施設で詰めれば数十人は泊まれそうです、団体さんは1階を我々は2階を使うことにします。このツアーはしっかりしたガイドとサポーターに守られマナーが良く好感がもてましたが、団体というのはそれだけで存在感があるので困ったものです。聞けば台風の接近するなか木曜日から聖岳に登ったそうですが、昨日は暴風雨に痛めつけられたそうです、高齢の女性が多いパーティですので無理は禁物です。だいぶキャンセルが出たとのことですが、山に入ってしまうと自由が利きませんので、自分の身を守るのはツアーの選別眼を持つことと入山中の天気の見極めでしょうか。

静かな光岳山頂にて
○団体さんが出発する直前に光岳に向かいます、山頂は混雑しそうなのでパスしテカリ岩を目指します。生憎ガスが出て展望が限られていますが南アの山々を望みながら恒例になった山頂でのデザート(本日は三つ豆)を食します。南アの奥深く小鳥のさえずりだけが聞こえる岩峰の上で暫したたずみます。するとどうでしょうか嬌声が近づいて来るじゃありませんか、う〜ん隊長はがっかりです。「静かな山を返してくれー」

○テカリ岩に団体さんが群がったころに登山隊は山頂に戻ります、時間は沢山あるので露岩の展望台で天候の回復を待ちます。やがて団体さんが戻って来ました、今度は通過するかと思ったのですが、そんな甘い期待は微塵に砕かれてしまいました。記念撮影会の始まりです、隊長は今回が百名山完登のオバサンの写真を撮って差し上げました。「おめでとうございます、こちらの相棒も先週完登したところですよ」「じゃあなんで来てるのよ」「・・・」(もう、ほっといてくれ)

茜色に染まる富士山
○翌朝は素晴らしい天気で、富士山のシルエットが茜色に染まるご来光を小屋の中から拝むことができました。団体さんの早朝からの喧騒も5時半には収まり、あとは我々と夫婦連れだけの静かな世界が戻ってきました。本来の姿に戻った山は初秋の哀愁をたたえて密やかに秋の訪れを待っています。イザルヶ岳からの展望は圧巻です、聖岳の黒々とした姿がひときわ大きく眺められ、南アの稜線は言うまでもなく中央ア、御嶽、乗鞍、までばっちりです。

イザルヶ岳から聖岳を望む
○易老岳の登りから振り返ると光岳が穏やかな稜線を見せていました、昨日はガスに隠れて見えなかったのですが素晴らしい眺めです。光岳に別れを告げると一目散に下山します、あっと言う間に団体さんを追い抜くと、少し早いですが気持ちの良い面平で昼食としましょう。往にあれほど陰気臭いと思った樹林帯の登りも、天気の良いなかでは快適な下りになるから現金なものです。あとは膝が悲鳴をあげるほど下ると登山口に到着しました。

○帰りは上村の販売センターで山の幸(新鮮、無添加、安い)をゲット、飯田郊外の信玄公ゆかりの『小川の湯』(340円)に立ち寄り汗を流します。ここにきて登り口の蛭騒ぎは実はミミズではなかったかとの疑念が。蛭があんなにのたうち回るのでしょうか?水鳥の羽音に驚く平氏ではありませんが、小心者の隊長は心配が高じて足元のミミズを降ってきた蛭と勘違いしたのかもしれません。(・・・お粗末)

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