十勝岳・美瑛岳

望岳台から十勝岳


後方羊蹄山=十勝岳

【行程】 6/12(土)快晴[後方羊蹄山から=倶知安12:29=札幌14:13/14:30=(ライラック13号)=旭川16:00/17:20=(レンタカー)=望岳台18:35(仮眠)]
6/13(日)
快晴[望岳台4:26−美瑛岳分岐5:10−ポンピ沢6:05−尾根分岐6:28−美瑛岳7:24/7:40−十勝岳9:25/9:50−避難小屋10:28−望岳台11:00/11:20=十勝岳温泉(凌雲閣)11:40/12:50=(観光モード)=旭川16:25/17:30=(ライラック22号)=新千歳空港19:40/21:15=(JAS122便)=羽田22:42]
【メンバー】 隊長(単独行)


十勝連峰遠望
○望岳台へ向かう白樺街道からは森の緑の間から雪を被った十勝連峰が聳えたち日本ばなれした風景です。望岳台から見る夕陽が大地に沈むころには十勝岳の残雪が茜色に染まり明日の好天を約束しているようです。ここは星を観るのに適しているようで沢山の天体マニアが夜を徹して大きな望遠鏡を覗いていました。

○夜中に隣に停まった車の連中が朝の3時から起き出して鼻歌まじりに準備を始めますが、バタンバタンと何回もドアを開け閉めするのでゆっくりと寝ていられません。周りも明るくなったので予定より早く起きてしまいました。避難小屋手前の分岐まではだらだらとした岩場の殺風景な登りです、分岐からは巻きぎみに這松帯を登ります。北側斜面にはかなりの雪が残っていて長いトラバースが続きますが斜面は緩く気温も高いので坪足で問題ありません。

雪渓のトラバースと美瑛岳
○ポンピ沢を越えてから急登に入りますが、ここの雪渓は要注意です。かなり急な雪の詰まった谷をへずるようにトラバースした時には肝が冷えました。生憎本日はアイゼンの用意がありません、ここは下りには使いたくない場所です。冷えた肝を奮い立たせるべく急坂を羽生モードで一気に登ります、ハーハーゼーゼーいいながら尾根を乗っ越した時には汗びっしょりです。「いかん、これでは先が思いやられる!」いちはやく誤りに気付いた隊長は(沈着冷静)モードに切り替え事無きを得ます。尾根筋の直登ルートは長い雪渓で覆われています、ここも天候しだいではちょっと危ない場所です。

○美瑛岳、十勝岳ともに山頂がピンと尖がってなかなか格好が良いのですが、いざ登る時には最後に急登が有るということになります。急な岩場をあえぎながら登って行くといきなり前方に青空が広がります。やったー、ついに到着です。目の前には美瑛富士、オプタテシテが、その向こうにはトムラウシ、雪を被ってキラキラ輝く大雪の山脈が。山頂には上ホロカメットクから縦走の学生さんが3人、これからオプタテシテに向かうそうです、若さが羨ましい隊長でした。

縦走路から十勝岳
○十勝岳までの縦走路はガレとザレが続く火山性の岩場です、鞍部までは踏み跡も明瞭ですが十勝岳の登りで尾根が広がると道標だけが頼りとなります。幸い天気が良くて視界良好なので順調に進みましたが、ガスの時には注意する必要があります。しかし鋸岳を巻く雪渓でルートを見失いました、途中まであった踏み跡がいつしか消え見渡す限り真っ白な世界に一人囲まれていました。地図と磁石で現在位置の確認をしようとしますが、誰だ地図を買ってこない馬鹿者は!哀れガイドブックのコピーは肝心の部分が見開きのところで写っていないじゃありませんか。うーん、困った。地形にもうひとつ納得がいきませんが、取り敢えず上に上にと登って見ることにしましょう。100Mも登ると前方に道標を発見しました、ああ良かった。百名山を甘く見てはいけません、深く反省する隊長でした。ここの縦走路は誰にも会わない静かな道でした。

○十勝岳からの展望はまさに北海道の展望台の名に恥じません。大雪、裏大雪、日高、夕張などの山々が一望のもとに眺められます。10名ほどのパーティが下山すると残った3名だけの静かな至福の時を迎えます。北の山に馴染みの無い隊長は山座同定ができません(広域地図もなし)本格的なカメラと三脚のおじさんに狙いをつけ擦り寄ります。ところが人は見掛けによりません、山名もなにも知らずに写真を撮っているとは何たることでしょう。(そういう隊長も美瑛岳で大雪方面の知識を仕入れたばかりで、そう偉そうに言えませんが)しかし天は見捨てず、もう一人のオジサンが見掛けによらず物知りで、360度一座残らず教えてくれました。隊長はもっと人を見る目を養わなければ。

○さて、山頂にテラ@横浜さんへのメッッセージを残します、道標にMMLの(もぐり)ワッペンを貼りつけておきます。果たして18日まで無事残っているのでしょうか?テラ@横浜さんの報告を待ちたいと思います。山頂から前十勝岳分岐(通行止め)まではジグザグの急なザレた道です。分岐からは火口壁上のドロドロの道と右手の急な雪渓上の道があります、最初はグチャグチャになりながら泥道を下りていたのですが、隣の雪渓の方が快適そうでしたので思い切ってそちらを下ることにしました。文字どおり転げ落ちるようにして飛ぶように下ります、緩んだ雪がクッションになって信じられないスピードでした。山頂から避難小屋までコースタイムの半分の40分で到着です。もちろん雪の上を通らずに山頂まで登ることも出来ます。生憎風向きが悪く火山性のガスが登山道を襲ってきましたので登りの人達は苦労していました。

○望岳台の手前で美瑛岳で会ったピストンの2人連れに追い付きます、「速い!」を連発「お見逸れしました」とのこと、隊長は少々面映い。実は「十勝岳周遊を7時間と見ている」と美瑛岳で喋った時の先方の『信じられない』との表情(哀れむような)がいまでも目蓋に焼き付いています。なんとこの2人は隣の車の騒がしい人達だったんです、でも冷えたコーラをご馳走になり満足な隊長です。

○十勝岳温泉「凌雲閣」にて入浴(800円シャンプーあり)露天風呂からは上富良野岳が正面に見え絶景かな。帰りにはラベンダーを求めてあっちこっち寄りますが、まだ季節が早かった、陰も形もありません、残念。しょうがないから「パッチワーク街道」を見物しようと車を回しますが、一点俄にかき曇り夕立が襲ってきました。どうせ通り雨だろうと「セブンスターの木」の前で雨の止むのを待ちます。しかし6月の北海道は素晴らしいですね、帰りの混雑さえなければね、飛行機が満員で家に帰りついたのは12時半じゃないですか。

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