赤岩尾根

大ナゲシ・赤岩岳・両神山

大ナゲシから赤岩尾根


【行程】 5/23(日)晴れ[ 練馬IC4:06=花園IC4:47=小倉沢6:35/6:56−赤岩峠7:48−大ナゲシ8:22/8:33−赤岩峠9:02−赤岩岳9:25/9:36−1583P・10:15−P4・10:48−P1・11:17−八丁峠11:47/12:15−西岳12:48/12:55−東岳13:31/13:39−両神山14:07/14:22−落合橋15:17−小倉沢15:53/16:08=(手打うどん)=花園IC18:44=練馬IC19:51]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗

○西上州フリークの登山隊です、今回は一般ルート最難関と言われている(誰が言っているかは不明ですが)赤岩尾根に挑戦することにしました。ここは5月の下旬になりますと薮が育ってきますので今が最後のチャンスです、幸い日が長くなりロングコースも安心ですので、大ナゲシにも寄って赤岩尾根縦走の後は八丁尾根から両神山に登るという欲張りプランです。コースタイムでは13時間50分ですが途中で八丁峠からのエスケープ(約4時間短縮)もありますので気楽に参りましょう。懸念材料としてはエアリアに"要ザイル"の文字が、しかし西上州マニアのHPで見た「あれば安心、なくても大丈夫」の言葉に励まされお気楽隊長はいざ出陣です。

○小倉沢から赤岩峠への道はいかにも西上州といった渋い峠道です、そろそろ道を塞ぎ始めている薮を払いのけながら高度を稼いで行きます。峠からは尾根を西にとり先ずは腕試しに大ナゲシに向かいます、黒木立から支尾根を北に辿りますが意外と良く踏まれた道が続きます。やがて大ナゲシの基部に到着しましたが岸壁が立ちはだかっています、ホールド、スタンスともに十分ありますが、スパッと切れ落ちた所を左にへずりながら登るのはちょっと気持ちの良いものではありません。本当はここに鎖が欲しい隊長でしたが弱音を吐かずになんとかクリヤです。(もっとも西上州の岩場は木の根が利用できるので難度は高くありません)

赤岩岳を仰ぐ
○岸壁を越えて樹林帯を抜けると最後の岩場です、ここは潅木の無い純粋の岩場ですがルンゼ状の登りは手掛かりも多く難無く突破できます。山頂に着くと360度の展望が待っていました、先月に訪れた諏訪山が深い緑に包まれています、その後ろには御座山がどっしりと控えています。これから向かう赤岩尾根は逆光で黒々と無気味な印象を与えています、いかにも険しそうな山です「あそこに登のか」思わず溜め息の出る隊長です。

赤岩岳から大ナゲシ
○峠に戻り今度は赤岩岳に向かいます、すぐに左側に回りこみ北側の支尾根から山頂へと登ります。ここは原生林が生い茂りコケに覆われた倒木帯のなかの静かな道で、昔の奥秩父をほうふつとさせます。山頂は木々に覆われ展望はありませんが西側の岩場が開けていてこちらの景色は素晴らしく、先ほど登った大ナゲシが鋭く天に向かって突き上げているのが眺められます。

○山頂からは東に縦走します、展望の良い岩綾の尾根道を忠実にトレースします、細かいアップダウンを繰り返しながらやがて樹林帯のなかの下りになります。1583Mピークの一つ前の小ピークから本格的な岩登りとなります。テープがしっかりと付いていますのでルートは間違えようがありませんが、『本当かよ』と言うような場所に標が付いています、しかたが無いので登って行きますがもう厳しいのなんの、『ここで落ちたら助からんな』という思いが頭を過ります、ちょっと恐くて下は見られません。

○キレットまで下るといよいよ本日の最難関の岩壁です、ところが隊長の足元の道が突然崩れ、あわや谷底へ滑り落ちそうになり間一髪立ち木にしがみつきます、しかし悲しい50肩には電気が流れショックで口も聞けません。嗚呼、最難関の岸壁を前に戦闘力が大幅にダウンしてしまいました。鴉天狗にトップを譲り、後ろから回復を待ちながらだましだまし登ります。

○岩稜裏の15Mほどのルンゼが最も困難な岩場です、木の根がないので実力不足の登山隊には少々荷が重いところです。「おーい、動けなくなったよぉ」と鴉天狗の泣きが入ります、岩場で鳴くセミに初めて出会った隊長です、「慎重に左にトラバースして登れ」と指示を出します。ここからは「ファイトー」「いっぱぁ〜つ」と乗り越えてしまうのでした。(こわぁーい)

行く手に聳え立つ1589p
○ここからP4〜P1まで尾根筋を登ったり下りたりアルバイトを強いられます、でもカラッとしたすがすがしい天気ですので体力は温存されています。P1は最初右から巻きかげんに尾根を外れるのですが途中から強引に尾根に登り直します、山頂は久し振りに抜群の展望が得られ疲れも吹き飛びました。まだ八丁峠までの間には1589Mピークが聳えたっています。

○ここのピークは最後に右から巻きパスします(助かった)やがて志賀坂峠への分岐を過ぎると道は明瞭になり、ひとつ小山を越えると八丁峠に到着しました。木立に囲まれた峠は予想に反して誰もいない静かなところでした。(紅葉の季節には人が溢れていました。97.10)本日は大ナゲシのそばで単独行氏とすれ違っただけなので妙に人恋しい気分です。振り返れば道の真ん中に"立ち入り禁止"の立て札が『赤岩尾根はガイド同伴のこと』ですって。うーん、隊長はこれから改名して嘉門次@赤岩にしようかな。

○八丁尾根の人出は想いのほか少なかった、やはりヤシオのピークをすぎたためでしょうか。お陰でスイスイ鎖場を通過することができました、でも息は切れまくりです。おまけに岩に反射する太陽が容赦なく我々を苦しめます、行蔵峠から一度下って西岳に登り直した時には心臓はバクバクです。ここから一気に下りますが眼前の東岳がどんどん大きく立ちはだかってきて前途多難です。鞍部には"風穴"という札の下がった風の通り道があり冷たい風が吹きあがってきます。何という心地好さでしょうか、厳しい登りを前に生き返る登山隊です。

両神山から赤岩尾根
○東岳への登りはもう足が上がりません、朝からアップダウンを繰り返してきた膝は限界に近づきつつあります、鎖があるとつい手を使ってしまいオーバーペースになってしまいます。ようやく着いた山頂ではもう立ち上がる気力もありません、しばらく息を整えてから展望を楽しみます。ここからは赤岩尾根が対面に見え厳しい岩場の尾根筋が細部まで手に取るように解ります、朝からの苦労が一遍に報われた一瞬です。

○両神山に着くと隊長はもう動けません、本日は少々過激でした。(最近歳を感じる中高年です)秋には見えた富士山や北アルプスの山々は残念ながら霞で見えませんが、新緑の奥秩父の山脈は疲れた身体を十分に癒してくれました。下山は落合橋からの直登ルートを下ります、下山口にはロープが張ってありますので逆にこれが目印となります。(通り抜け禁止で通り抜けを知り)この道は前回登りに使ったので良く知っています、ロープを跨ぐとそこには異次元の世界が待っているのです、人気の両神山に最短で訪れることのできる静かな道です。(途中で一人会っただけでした)


○落合橋に着くともう足はガタガタです、小倉沢の駐車場まで3キロの道のりのなんと遠いことでしょう、こんなことなら自転車をデポしておくのでした。(その前に折り畳み自転車を買わなくては)でも林道から仰ぎ見る赤岩岳の傾いて崩れ落ちてきそうな迫力は歩いてこその景観でした。今回はロングトレイルでしたが日の高いうちに無事に下山できましたので目出度し目出度しです。帰りに長瀞で手打うどんを食し満足な登山隊でした。

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