屋久島

桜島・宮之浦岳・永田岳・黒味岳


【行程】 5/2(日)晴れ[ 羽田11:45=(ANA623)=鹿児島空港13:25=(桜島フェリー)=湯之平展望台16:15=(桜島フェリー)=鹿児島北埠頭18:00/19:00=(折田汽船)=宮之浦23:10=安房23:47=淀川登山口24:15(車中泊)]
5/3(月)
曇りのち晴れ[淀川登山口5:26−淀川小屋5:57−小花之江河6:52−花之江河7:03−黒味岳分岐7:15−投石岩屋7:33−栗生岳8:20−宮之浦岳8:28/8:38−焼野三叉路8:50−永田岳9:25/9:32−焼野三叉路10:10−宮之浦岳10:25/10:47−栗生岳10:57−水場11:12/11:25−投石岩屋11:55−黒味岳分岐12:11−黒味岳12:30/12:40−黒味岳分岐12:58−花之江河13:14−小花之江河13:20−淀川小屋14:03−淀川登山口14:37/15:00=千尋の滝展望台16:40=(尾之間温泉+食事)=千尋の滝展望台駐車場19:00(車中泊)]
5/4(火)
雨のち曇り[千尋の滝展望台駐車場5:25=安房5:55/7:00=(トッピー)=鹿児島9:45=(観光)=西鹿児島23:40=(夜行バス)=]
5/5(水)
快晴[=博多5:50/6:35=(のぞみ6号)=新横浜11:11]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗

○27年前に鴉天狗と2人で小杉谷に入り数十年振りの大雪のため敗退したのですが、いよいよその借りを返す時がきました。今回は鴉天狗の九州遠征に便乗することにして、出発の10日ほど前に予約に入ったのですがGWの混雑の前にあえなくダウン、粘り強い交渉と親切な担当者のお陰でなんとかキップをゲットしました。(帰りの予約はなんと2日前です)

湯の平展望台から桜島
○鹿児島空港に降り立つと気温は20度を越えてて南国ムードが漂います。鴉天狗の出迎えを受けいざ市内に出発です。(鴉天狗は29日から車で大山、由布岳、久重山を経て到着)時間があるので岡本翁の足跡をたどるべく桜島へと向かう、フェリーですぐと聞いていたが実際はGWの大渋滞で乗るのに1時間待ちで、往復2時間以上待ちました。危うく屋久島行きのフェリーの乗船手続きに遅れるところでした、隊長はコンビニにタクシーを飛ばして食料を買い出しするはめになりました。

○いざ船内に乗り込むと鴉天狗が若いお嬢さんと何やら親しげに話し込んでいるじゃありませんか、なんと手の早い!ところが彼女は鴉天狗の仲間の風魔一族のくの一だったんです。はるばる屋久島まで一人旅とは恐れ入りました、MMLも顔色なし風魔一族侮りがたし。(なんのこっちゃ)でもママから心配コールが入るとは可愛らしい。

○フェリーは臨時便ですので宮之浦港到着は真夜中です、船から降りた車は光の列を造って一路安房へと進みます。安房林道は舗装された快適な道で、暗くても何の心配もいりません。(いたずら猿は寝ぐらに戻っているようです)ヤクスギランドを過ぎて、登山口まで2キロほどが未舗装ですので慎重に進みます。突然車の直前を黒い陰が横切ります、急ブレーキを踏む鴉天狗、前につんのめる隊長、ギリギリのところでかわしたのは、ランランと光る目が印象的なヤクシカちゃんでした。

○淀川登山口は広場になっていて、十数台の駐車車両と数張のテントが占拠しています、幸い脇にスペースがあり駐車します。ここには立派なトイレも設置されていますので車中泊にぴったりです。方々から鼾の合唱ですので登山隊も早速仮眠します、興奮でなかなか寝付かれない隊長でしたがいつしか夢の世界へと誘われます。

○カラン、カランというカウベルの音でハッと目覚めた隊長ですが、しまった寝過ごした!4時起床のつもりがもう4時45分です、今日の長丁場と午後から天気が崩れるという予想を考えると出来るだけ早立ちしたいところでした。5時半近くにようやく出発しますが、都合の良いことに辺りは薄明るくなってきてランプは必要ありません。うっすらとガスのかかった原生林の中の整備された道をゆっくりと登り始めます。

○ようやく身体が慣れはじめた頃に淀川小屋に到着しました、なんと小屋の周りの原生林のなかにはテントの群れが数十張りはあるでしょう、明らかにオーバーユースです。この状態が続けば数年を待たずに辺りの森は地膚を見せて環境破壊が進行することでしょう。ここから本格的な登りとなります、尾根筋に出るとあいにくガスで何も見えません高盤岳展望台付近で大粒の雨がバラッバラッと登山隊を襲います。「うーん上は嵐かも知れない」隊長は不安ですが、カッパを着るのはもう少し我慢して歩きつづけます。

宮之浦岳山頂にて(百名山90座目)
○少し下ると小花之江河に着きました、ガスにけむる新緑のなかの湿原は幻想的な静けさです。さらに進むと花之江河に出ますがこちらは少々大味で隊長の感性とはちと合いません。黒味岳の分岐を左に分け下ると投石岩場への登りとなります、今までとは違い岩場の登りが続きます、この頃からガスが流れはじめ時々薄日がさしてきました。稜線を回りこんで栗生岳を過ぎると前方に宮之浦岳の勇姿が大きく立ちはだかっています。ヤクザサの茂る急登をひと頑張りです、山頂に立ったとたんに向こう側に永田岳の荒々しい姿が飛び込んできます。山の反対側のガスは完全に消え去り、山頂は5月の澄んだ空気に包まれています。登山隊は本日の一番乗りです、やがて途中で抜いたカップルが到着しました、お互いに今日の幸運を喜び合います。見る見るうちに登ってきた方向もガスが晴れてきましたが、1700Mぐらいから下はまだ雲の下です。ここから見る永田岳は指乎の距離です、これなら楽チンとザックを背負って出発します。

永田岳から宮之浦岳を望む
○焼野三叉路の先まで来ましたがここでギブアップです、ザックをデポして永田岳にアタックします。最低鞍部からヤクササの中の道を登り返すと、次第に急登となり最後にお助けロープに導かれて山頂の大岩の上に出ます。高塚小屋方面からの数人が休んでいます、ここから眺める宮之浦岳は実に堂々としています、また北方の遥か下には宮之浦港が望まれます、この宮之浦岳とはちょっと違う景色は絶品です。

宮之浦岳から永田岳を望む
○宮之浦岳の山頂に戻ると大賑わいです、永田岳側の岩陰で火を使い昼食とします。山頂は東からの風で寒いぐらいですが、こちら側は風もなく快適でした。さて腹もふくれ下山を開始しますが、笹のなかの細い道を次から次へと団体が登ってくるのでなかなかスムーズに進みません。(登りより時間が掛かってしまいました)

○最後の水場を少し下ってふと腰に手を置くと「無い!」お腰のカメラが陰も形もありません。大変だぁ、どこかで落としてしまいました。ああ、何物にも代えがたい記念写真が満載です、どうしても探し出したい。折角ここまで順調に来たのに、時間と体力を掛けて探しに戻る隊長です。数分登ると道の脇に黒い物体が転がっています、哀れ電池が半分出掛かった情けない状態でした。良かった、でもくたびれた、果たして黒味岳を登る体力は残っているのでしょうか?(12分のロスで済みましたが気力が…)

○黒味岳の分岐に着くとまだ12時を回ったところです、体力気力もまだまだあるようですので当然アタックします。でも思いのほか苦しい登りでした。(コースタイムより速く歩けば当たり前か)途中に3個所お助けロープがありますが無くても問題ありません、どうも黒味岳までは一般ハイカーの入山ルートとなっているようです。(淀川登山口からここまで道は良く整備されています)

黒味岳山頂にて(バックは永田岳、宮之浦岳)
○山頂からの展望は実に雄大で永田岳、宮之浦岳が目の前に伸びやかな山容を見せてくれます。まさか午後になってこのピーカンが得られるとはなんて運がよいのでしょう、隊長は感涙にむせびます、やはり両山に登った者にのみ許される感動でしょう。でもこの展望が登山口からわずか3時間で得られるのなら一般ハイカーが入山するのもうなずけます。

○帰りの小花之江河は青空をバックにした黒味岳が聳え立ち新緑の湿原はキラキラと輝いています、思わずうっとりと見とれてしまいました。淀川小屋は朝のような喧騒はなく原生林のなかにひっそりと建っています、あんなにあったテントもいまは数張りを残すのみです。最後の行程はゆるいアップダウンを繰り返し、疲れた脚にはこたえます。ようやく登山口に到着です、まだ14時40分ですので随分速くピストンしてきました、さすがは西上州の山々を股に掛けて鍛練してきた登山隊です。(と、自画自賛)

悪戯ヤクザル
○登山口の広場は二十数台の車で埋まっていました、クールダウン中にもどんどん到着します。びっくりしたのは団体さんのお出迎え大型バスが4台も待機していたことです。登山隊は川上杉で記念撮影をしてから離脱します。途中では猿軍団に何回も囲まれました、ボンネットに乗って餌をねだるのは翁の報告通りです、隊長の必殺フラッシュ攻めにも一向にめげません。「うーん、南の島の猿は手強いでごわす」スピードを上げて蹴散らして行くことにしました。

○本日は岡本さんの泊まった千尋の滝展望台駐車場(トイレあり)を寝ぐらにします、鴉天狗の記憶では千尋の滝は小杉谷にがあるとのことで心配しましたが、同名の滝が2つ有ることがわかり安心しました。尾之間温泉(400円)に入り汗を流し、小料理屋(味徳)で地元の食材で造った料理に舌鼓を打ちます。特に首折りサバのお造り、飛魚のさつまあげは逸品でした。(味徳定食2600円)

○夜から降り出した雨は明け方には暴風雨となり断続的に激しい雨が車の屋根をたたきます、波風に弱いトッピー(水中翼船)は出港するのでしょうか?島からの離脱が心配です、安房で鴉天狗と別れます。幸い7時発の船は出港しました、雨に煙る安房港をあとにして種子島経由で鹿児島を目指します、白い三角波が所々に立つ荒れ模様の海でしたのでドスンドスンと船底が波にぶつかり揺れましたが快適な船旅でした。(この日は飛行機は欠航、トッピーも午後の便は欠航したようです)

○鹿児島からの飛行機が確保できませんでしたので、夜行バスと新幹線を乗り継ぎ帰ります。出発は夜中ですので市内観光と旧友に会い時間をつぶします。幸い午後から雨も上がり青々とした桜島が迎えてくれる絶好の観光日和となりました。郷土料理と焼酎でほろ酔い気分の隊長は深夜バスで博多を目指します、心地好い疲労感からぐっすり眠れました。早朝の博多駅で"のぞみ"に乗り込み駅弁を食べると、再び深い眠りにと誘われます。次ぎに目が覚めたのは名古屋でした。いま報告書を車中で書いていますが車窓からは五月晴れの青空をバックに真っ白な雪を被った富士山が秀麗な姿を見せてくれています。

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