三原山
展望台から三原山
【行程】 2/20(土)快晴[竹芝22:00=(東海汽船)=]
2/21(日)快晴[=岡田港5:30/5:45=(バス)=大島温泉ホテル6:06/8:09−一等三角点8:49−御神火茶屋9:04−火口展望台9:42−(お鉢めぐり)−表砂漠分岐10:30−表砂漠10:40/11:45−御神火茶屋12:05−近道分岐12:13−三原山地蔵尊12:30−車道12:33−元町港13:07−浜の湯13:18/13:44−元町港13:49/13:57=(バス)=岡田港14:10/14:50=(東海汽船)=竹芝19:40]【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗、シェルパ1号
○先週は雪を避けて奥久慈の低山を狙ったはずが思わぬ積雪に難渋した登山隊でしたが、今回は間違いなく雪の無い山ということで伊豆大島の三原山です。常春の島とか何とか東海汽船の宣伝文句に引かれ"椿祭り"とくればアンコさん、昭和61年の噴火の跡や如何に?という興味もあり、もう行く前からミ〜ハ〜度は高まりっぱなしです。
○懐かしの竹芝桟橋に着けば驚くほどに近代化された待合所が、ところが若者のすがたは悲しいほど少ない、くすんだ色のおばさん集団が大漁です。30年前の伊豆諸島ブームの熱気はいまはありません。さっそく船底の2等船室に陣取り酒盛りの開始です、ドラの響きが聞えたころには持ち込んだビールは泡と消え、水割りへと進みます。夜景が見えるとの放送につられて船底からデッキまで登ってみるとレインボーブリッジの下を通過するところでした。澄んだ冬の夜空に幾何学模様を描き怪しく輝く人工構造物は無機質な都会そのもののように感じられます。
○岡田港に着くとまだ真っ暗です、我々は「ハイキング&温泉クーポン」(7500円)ですので、すぐにバスで7合目の大島温泉ホテルに向かいます。ここで朝食です、食事後はオバサンたちのさえずりを子守り歌に暫し休息します。う〜ん良く寝た、なんと目が覚めたら8時ちかくです、隊長はびっくり仰天、さっそく出発とします。ほとんど車の通らない車道を30分ほど行くと右に割れ目火口への分岐があり、その手前を左に入る小道が外輪山の三角点への道です。椿のトンネルを10分登るとドーム状の建物が現れ、その裏に目指す一等三角点がありました。
○御神火茶屋はまだ観光客が訪れず閑散としています。ここから前方に立ちふさがる三原山を仰ぎ見ます、昭和61年の噴火によって流れ出した溶岩が黒々と山肌に異様な爪痕を残しています、山の形は昨秋に登った鳥海山のミニ版という印象をうけました。山頂までは舗装された遊歩道が通じており登山というよりは物見遊山という感じです。すれ違った家族連れに「上でテントを張るんですか」と聞かれた時にはぶっ飛びました、やはり過剰装備だったんですね。まあ我々は雷以外だったらオールウエザー対応ですので荷物が多いのは仕方がありません。火口展望台からは新山の水蒸気が真近に眺められ君子に長居は無用です。
○お鉢めぐりに入ると舗装路から離れガレた火山岩の道となりようやく山登りらしくなります。右回りの道はまず最高峰の新山へと登り、いくつかのピークを越えながら火口を一周します。立ち上る水蒸気と爆裂の跡の生々しい火口壁の眺めは圧巻でした。山頂からは四方を海に囲まれた大島の海岸線が眼下に眺められ、房総半島から伊豆半島が意外な近さに望むことができます。
○下りは表砂漠経由です、分岐からは火山特有のザレ道をとっとと歩き、たどりついた平地が表砂漠です、ここで昼食とします。「今日は時間があるからラーメンにしよう」とお湯を沸かしますがかなり風があり40分たってもなかなか沸騰してきません。怒った隊長はお湯をボンベにぶっ掛けました。するとどうでしょうか、今までスーとしか言っていなかったバーナーが突然よみがえりゴーッという快音を発するようになりました。恐そるべしお湯かけパワー!また一つ賢くなってしまった。
○お昼時の御神火茶屋は大混雑です、土産物屋には観光客が溢れ、観光の馬もご出馬です。(山頂まで7000円)さて本日の出港は岡田港です、ここからは出港地行のバスしかなく元町にある「浜の湯」を目指す登山隊は歩いて行くこととします、幸い2.5万分の1の地図には途中までの近道がのっています、「よし、これで行こう」という安易な隊長でした。
○近道は入口が少々分かりづらい、なんと尾根の切り通し沿いに上りの階段があります、まさかと半信半疑で上り切りますとそこから下る山道が続いています。やがて椿の間の道はしだいに細くなり椿林はジャングルの様相を呈してきます。若干不安になりながら下ってゆくと苔むした石段の道があらわれます、きっと昔の参道だったのでしょう、三原山地蔵尊を過ぎると車道にでます。
○町営「浜の湯」は元町港から北に数分のところです、料金は300円で水着着用です。シェルパが水着を忘れてしまいましたが、なんと無料で貸してくれました。海の側に掘った温泉からは左に利島、中央に伊豆半島が眺められ、潮騒を聞きながらの入浴はまさに極楽です。振り返れば三原山も迫り、お湯に浸かりながらぼぉーとしていると登山の疲れが一気に取れてゆくようでした。
○元町港からは臨時のバスで岡田港に直行です、さすがに日曜日の東京便は混雑しています、昔と同じように桟橋に並ばされました。やがて蛍の光が流れるなかアンコさんの五色のテープに見送られながら船は港を離れます、次第に小さくなって行く島影を眺めながらちょっぴり感傷的になれるのも船ならではの旅情です。