武甲山

縦走路から武甲山


【行程】 1/3(日)快晴[池袋6:06=(西武池袋線)=飯能7:02/7:15=(タクシー)=白岩7:52−鳥首峠9:02−ウノタワ9:30−大持山10:07−小持山10:40−シラジクボ11:00−武甲山11:30/12:10−長者屋敷の頭12:35−沢13:14−裏山口14:20/14:36=(秩父鉄道)=お花畑(西武秩父)14:43/15:20=(レッドアロー)=池袋16:45]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗

○今年のお正月は晴天が続き登山日和でしたので、これを見逃すのはもったいないと登山隊は急遽企画を練りました。雪のあるところは実力上難しいので、学生時代から一度は行ってみたかった奥武蔵の盟主武甲山に焦点を当てました。やはり盟主を見過ごすわけにはいきません、銘酒は是非飲みたい、盟主には是非とも登りたい隊長ですから。

○渋谷、池袋と早朝の乗り換えは気を遣います、年末年始の不摂生の身体なのに登山靴で走りまわったので古傷の膝に違和感が走り前途多難です。おかげで西武線は予定していた始発の準急に間に合いようやく一安心です。ところが飯能でバスを待ちますが時間になっても一向に現れません、なんと正月は別ダイヤだったのです、あと30分も待たなければバスは来ません。(勘弁してよ、国際興行さん)ここで隊長は単独行の口髭のオジサンに声を掛けタクシーの相乗りで乗り切ります。結果的には名郷より2.5キロほど奥まで車で入りましたので楽が出来ました。なおこのオジサンは武川岳から妻坂峠を越えて武甲山を目指すというので途中下車しました。(タクシー料金7800円)

○白岩の部落は石灰石の露天掘りのため全戸移転してゴーストタウン(ビレッジ)と化していました。白い粉埃のなかに寂しげに残る家々は荒れ放題で、昔の豊かな村の面影がかすかに残るばかりです。稜線から眺めますと白岩の後背地の尾根が山頂を平らに削り取られ見るも無残な姿を曝しています。なんたる無神経、自然破壊のしっぺ返しは必ず人類に降りかかってくるでしょう、隊長の心は暗く沈みます。

○さて部落跡を通過してからは桧林のなかの急登をゆっくりと登ります。地図には送電線の下を鳥首峠の手前でくぐることになっていますが、これは廃止されていていきなり峠に着きびっくりさせられます。峠からはカヤトのなかの日当たりの良い尾根道の登りとなります、興ざめな新しい送電線をくぐるとあとは静かな山歩きが楽しめます。ウノタワからは急な上りをこなすと妻坂峠からの道を合わせ、やがて大持山の山頂に着きます。

○ここからは武甲山がすぐそばに眺められます。実は隊長は武甲山と小持山を間違えてしまいました、地図は持っていたのですが眺めていただけで、なんとなく昔に武川岳からみた武甲山の印象と違っていたものですから(と言い訳しつつ)角度のせいでしょうか、それとも40メートルほど標高が低くなったせいでしょうか、えっ、これが武甲山?というのが偽らざる印象です。隊長が心に温めていた奥武蔵の盟主たる堂々とした武甲山の貫禄はどこへいってしまったのでしょう。

○大持山から小持山へは岩稜地帯のアップダウンです。かすかに残る雪の跡に注意しつつ慎重に下ります。小持山では山頂の標識に正月のお飾りを付けているオジサンに出会いました、記念に写真を一枚撮ってあげると大喜びで、正月早々良いことをしたような気分です。シラジクボまでは開けた稜線を一気に下りますが途中ですれ違ったパーティは「武甲山の登りがきついよ」と声を掛けてくれました。でも待てよ、ここからだったら小持山への登りも負けずにキツイはずです、隊長の心にムクムクと疑念が、まあいいか。

○武甲山への登りの中間地点で下を見ると単独行氏がものすごいスピードで迫ってきています、うーん、売られたけんかは買いましょう、隊長の加速装置に点火です。もうなにがあっても止まりません、一気に神社を経て山頂に到着してしまいました。三角点は展望台の柵の外にありました、慎重に柵をまたぎます、柵の10メートルほどむこうにはフェンスがありその下は石灰岩を削り取った跡で崖のようになっています。

○狭い日本のなかでこんなあからさまな自然破壊が今でも進行中と言うことにショックを受けました、環境破壊とか公害とかは高度成長期の昔話かと思っていましたが、未だに懲りずに大規模な犯罪行為が白昼堂々と行われているかと思うと気が滅入ります。(もちろん法律上の犯罪行為という意味ではなく、人類の自然に対する犯罪と言う意味です)

山頂から秩父盆地の眺め
○山頂からは秩父盆地が眼下に眺められ、北側には浅間山、榛名山、赤義山、両神山などが冬の澄み切った青空を背景として展望できます。三角点の側でこの展望を一人占めにしつつ昼食とします、気温は低いのですが風は強くなく、フリースを羽織っただけで気持ちの良いひとときを過ごします。さて下ろうと柵を乗り越えている所へ、朝のタクシー相乗りの口髭オジサンが登場です、お互いの健闘を称えあいながら別れます。

○下りは裏山口に向かいます、昔あった(隊長のS45年の五万分の一の地図にはある=この地図では武甲山の標高は1336Mです)西尾根のルートは石灰岩の採掘のため通行禁止となっており、現在の道も発破注意という物騒な道です。始めのうちは落葉松林の気持ちの良い尾根上の道ですが50分ぐらいで南に植林の中を急な下りとなります。いいかげん膝が痛くなってきたころにようやく沢添いの道に出会います。ここから少しで車道に出て裏山口は1時間ぐらいです。橋立で秩父28番札所にお参りをしてから裏山口へむかいます。裏山口では電車を待つ間に口髭のオジサンに追いつかれ、無事の下山を喜び合いました。(これはオーバーな)

○西武秩父では武蔵屋で名物秩父ソバと地酒「秩父錦」に舌鼓を打つ登山隊です。あとはレッドアロー号で寝ている間に池袋に到着です。しかしその前に横瀬から仰ぎ見る武甲山の痛々しい姿に隊長の心は痛みます、いつもなら登ってきた山を振り返り充実した山行に満足感を覚えるのですが、今回はなんだか後味の悪い苦い思いが心に残ってしまいました。

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