御嶽
R361から御嶽
白山−荒島岳−御嶽
【行程】 10/4(日)快晴[荒島岳から=田ノ原15:05/15:10−八合目15:55−御嶽神社16:48−剣ヶ峰17:10/17:15−一口水17:46−田ノ原18:40/19:05=塩尻IC21:00=調布IC23:43] 【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗
○荒島岳で思わぬ遅れをとってしまった登山隊でしたが、隊長の必死の運転でなんとか15時には御嶽の登山口に到着です。うーん、ここから見る御嶽って屏風を立てた様に聳え立ち、疲れきった隊長の心は戦闘意欲が大幅に減退してしまいました。「敵前逃亡」という言葉がふと頭を過ぎります、おそらく一人だったらお疲れ温泉コースを選択していたでしょう。でも幸か不幸か、百名山踏破に燃える鴉天狗の前には隊長の萎えた心は抵抗できませんでした。
○駐車場から鳥居をくぐって参道に入ると、下山して来る疲れきった人々の列が続いています。まったくいい歳をして、こんな時間から登り始めるなんて恥ずかしい。(もっと堂々と開き直れないところがまた悲しい)追い討ちを掛けるように「エー、今からですかー、今日は上でお泊りですか?」と無邪気に聞いてくる暇人もいたもんだ。消え入るような小さな声で「いえ、ピストンです」と答える身にもなってくれ。(まあ、これが本当の身から出た錆というもんだ)
○八合目を過ぎたあたりからさすがに人はまばらになり、一口水で夫婦連れを見たのを最後に人通りは途絶えました。荒涼とした岩山を黙々と登る時、いつしか風は秋のものとなり澄んだ空気が我々を包み込みます。登り始めにはガスで覆われていた山頂は、いまは青空をバックに鋭角的に緊張感を漲らせています。はるか高層には絹積雲が秋の訪れを主張しているかのようです。
○王滝山頂小屋は講の信者のために1件だけ開いていました。(他の小屋は全てしまっています)御嶽神社で参拝、休憩ののち剣ヶ峰へと向かいます。ゴォーという蒸気の噴出する轟音と硫黄の臭いが鼻をつき、活火山であることを意識させられます。すると山頂から下りてくるパーティがあります。「今日は上でお泊り?」「いいえ」「なんだ、俺達が最後かと思ってたら、上には上がいるなあ」と馬鹿な会話を交わします。さらに「下には下の間違いでしょ」と軽くいなす鴉天狗でした。まったく最低な登山隊です。
○でも剣ヶ峰の山頂は素晴らしかった。人影の絶えた山頂では秋風の音のみ聞え山々との対話を促しているようです。夕陽に茜色に染まった西方の空、白山の黒々としたシルエットがまるで影絵のように浮かび上がっています。淡い青緑のニノ池の向こうには乗鞍岳、穂高岳、槍ヶ岳、笠ガ岳など今年登山隊が親しくなった山々が静かに佇んでいます。しかし360度の大展望とはこの山にぴったりの表現ではないでしょうか、さすがは3000メートルの独立峰です。(富士山は位置と高さが高すぎることで展望の質は御嶽に軍配があがります)
○下るにつれて日は没し、やがて月齢14日(翌日が中秋の名月)の月に煌煌と照らされ、幻想的な世界へと導かれます。しばらくはランプを点けるのがもったいないほどでしたが、さすがに足下が危うくなり転倒しないように点灯しました。駐車場に無事着いた時には心身ともにクタクタでしたが、今までにない充実感で幸せな隊長でした。
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