白山
御前峰・油坂山・別山・三ツ峰
油坂山から白山
白山−荒島岳−御嶽
【行程】 10/2(金)晴れ[池袋22:35=(西武バス)=]
10/3(土)快晴[=金沢5:55/6:45=別当出合8:50/8:53−室堂11:15−御前峰11:48/11:58−室堂12:13/12:28−南竜ヶ馬場13:00−油坂山13:50−別山14:58−三ノ峰避難小屋16:02−六本桧17:00−登山口17:40−上小池キャンプ場18:02/19:35=勝原スキー場20:15(泊り)]荒島岳へ【メンバー】 隊長(単独行)
○百名山も残りが20を割るようになると同行者との調整が難しくなります、おまけに土日に効率よく登ろうとするといろいろ工夫が大変です。今回は白山を単独で登り(相棒は雨飾山)、集合してから翌日に荒島岳、御嶽へと向かいます。ただの急ぎ働きだけでは面白くないので、最近ロングトレールに憧れていた隊長は、白山での単独行の機会を利用して長距離に挑戦しました。でも結果は散々で、隊長は身体がバラバラになる一歩手前です。(大ショック!)
○白山は学生時代に合宿を体調不良で欠席して以来、いつかは登りたいと思いつづけていた山でした。ただバスの便がよろしくなく、往は別当出合まで8時50分着があるのですが、帰りはなんと12時5分発です、これでは日帰りは無理です。タクシーは3万円ぐらいかかりますので、最近小遣いを山に全部つぎ込んで貧乏な隊長は、なんとか良い方法はないかと無い知恵を絞りました。今日の最終目的地は翌日の荒島岳の登山に備えて福井県です、エアリアマップ裏面の50万分の1の地図を眺めていますと、福井県からの白山登山口と荒島岳の登山口がかなり近い気がします。これはイケル、要は足で歩けば良いのです、あとは上小池まで車で迎えにきてもらおう。(単純な解決策)ただしこの案には致命的な欠陥が!コースタイムで14時間10分の道のりを朝の9時頃から歩き始めて日没までに下山する、という際どいものです。休憩時間も含めて3分の2の時間しかありません、そして途中の避難小屋での宿泊の可能性も考えると装備もある程度は必要です。成功の鍵は天気と体調です、まあやれるところまでやってみましょう。
○夜行バスで着いた早朝の金沢の街は静かでしたが、ビルが林立し古都の風情は全くなくなっていました。別当出合行きのバスは40名ほどの乗客で座席は空いています、夜行バスで隣の変な客に悩まされ睡眠不足の隊長はさっそく眠りにつきます。別当出合に着くともう9時近いのでとっとと歩き始めます、天気は快晴で言うこと無しですが、ちょっと暑い。歩き出しから力が入りすぐにフーハーと呼吸が荒くなりますが、こんな所から弱音は吐いてはいられません。このまま一気に山頂目指して突撃あるのみです。
○上に行くにつれて朝から登りはじめた登山者が増えてきます、団体さんが沢山いましたが道が広く整備されているのでスイスイ追い抜いて行きます。室堂にザックをデポして空身で御前峰をピストンします。山頂に団体の姿はなく360度の展望を存分に楽しみましたが、南に聳える別山の登りが気になり早々に失礼しました。昼食後に南竜ヶ馬場へ向かいますが登山者の数は極端に減りました、トンビ岩からは岩がゴロゴロした歩きにくい道となりますが小屋に向かってまっしぐらに下ります。
○南竜ヶ馬場から南下する道は分岐の所の橋が外されていてちょっとわかりずらいです、冬の間は橋をはずすのでしょうか?橋桁の横を徒渉します。少し進むと沢まで下って登り返しが始まります、朝から快調に飛ばしてきた隊長もこの油坂には泣かされました。もうそこに山頂が見えているのに足が言うことを利きません、こうなると羽生モード(超人パワー)は使用できませんので沈着冷静モードの理詰めで迫ります。そうだ、頂上まであと少しとだましだまし来たのが間違いだった、もうかなり疲労が溜まってきているのだから休憩をこまめに取るかペースを落とそう。(ここまで考えるのにかなり時間がかかっているので思考能力は大幅にダウン)結局、ペースは落とさず休憩をとることにしました。
○ようやく油坂山につくとバッタリと倒れ込む隊長です、息はゼーゼーとなかなか元に戻りません、水も満足に飲めません。このまま体力の回復が期待出来ないのかと一瞬不吉な考えが頭を過ぎります。しかしまだまだ若い者には負けられん、とかなんとかつまらんことを考えているうちに、呼吸は平常数へと戻ってしまいました。それからは別山の苦しい登りも沈着冷静モードだとスイスイと登りきれるから不思議です、こうなると草紅葉の稜線を楽しむ余裕さえ出てきました。
○三ノ峰小屋はまだ新しいきれいな小屋です、小屋の前で休んでいると食事を作っているオジサンが声を掛けてきます。「今日はどこから?」「別当出合からです」「明日はどこまで?」「いや、今日中に下山です」「……」だいぶ驚かせてしまいました。ここで鴉天狗へTELします。(DoCoMoは3本立っている)相棒は雨飾山から下りて北陸自動車道に入ったあたりでしょうか?ところがなんと福井まで100Kmに迫っていました、あと2時間少々で到着とのことです。これは待たせては悪いと思い急いで下りることとし、きつい下りの痩せ尾根を転がるように駆け下ります。振り返れば三ノ峰山がどんどん高くなっていきます、秋の暮れそうな明かりの中、遥か前方には荒島岳がうっすらと望めます。
○結局、急いだことが幸いしました。山腰屋敷跡の道標は上から下りてきた時に、ちょっと誤解を生じ易い書き方で、危うく道を間違えるところでした。表示に従って広場の奥に向かうと踏み跡が草で掻き消えてしまいます。これはおかしい?まだかすかに明るかったので助かりました、本当に暗くなってからでは迷うところでした。やっとのことで林道まで下りると、あたりはもうとっぷりと暗くなってしまいましたが、歩いているうちに月が出てきてノーランプで上小池キャンプ場までたどり着きました。あ〜疲れた。
○今回は「長く速く歩く」という企画でしたが、天候にも恵まれなんとか目的を達成することが出来ました。距離だけでしたらもっと厳しい山行の経験はありますが、それにスピードが加わったことで(ウサギの歩みとカメの休み)体力の限界を超え、隊長の身体はガタガタになってしまいました。(情けなや〜)
○真っ暗で誰も居ないキャンプ場でなかなか到着しない相棒を待つ隊長は、なにか事故にでも遭ったのではと心配しています。鴉天狗の車は1時間半後にようやく到着です、どうも電話の直後に仕事熱心な福井県警の覆面パトカーに捕まったようです。無事?の再開を喜び合い寂れたキャンプ場をあとに勝原スキー場へと向かいます。
1998年の記録へ