奥穂高岳・槍ヶ岳・笠ヶ岳

前穂高岳・奥穂高岳・北穂高岳・南岳・中岳

槍ヶ岳・樅沢岳・抜戸岳・笠ヶ岳

吊り尾根から前穂高岳


【行程】 9/11(金)晴れ[新宿23:05=(アルピコバス)=]
9/12(土)
快晴[=沢渡=上高地5:45/6:24−岳沢ヒュッテ8:38−紀美子平10:45−前穂高岳11:12/11:21−紀美子平11:41/12:10−奥穂高岳13:38/13:52−穂高山荘14:20/14:28−涸沢小屋15:47(泊り)]
9/13(日)
快晴[涸沢小屋6:06−北穂高岳8:03/8:23−A沢のコル9:48−南岳小屋11:25/11:55−中岳13:07−槍ヶ岳山荘14:13/14:30−槍ヶ岳15:44/16:00−槍ヶ岳山荘16:20(泊り)]
9/14(月)快晴のちガス[槍ヶ岳山荘6:20−樅沢岳9:00−双六小屋9:26/11:08(小屋9:30−双六岳10:10−小屋10:50)−大ノマ乗越12:17−秩父平13:24−笠新道分岐14:35−笠ガ岳山荘15:30(泊り)]
9/15(火)
ガスのち雨[笠ガ岳山荘6:00−笠ガ岳6:14−雷鳥岩7:45−水場8:20−最後の徒渉点9:53/10:32−登山口11:02−新穂高の湯11:10/11:55−槍見温泉入口バス停12:04=(濃飛バス)=平湯12:40/16:25=(濃飛バス)=新宿21:05]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗、シェルパ1号、シェルパ2号

○遂にミ〜ハ〜登山隊は北アルプス核心部へ挑戦します。(今ごろ?と言う声も聞えてきますが真打は終わりの方と決まっています)今回は軽量カモシカ山行の集大成となるはずです、今日の日に備えて南ア、裏銀座、鹿島槍などで経験を積んできたのでした。ただ上高地群発地震の影響で登山道が一部不通のため(涸沢岳−北穂高岳)穂高の稜線から涸沢へ一度下りまた登り直す必要があり、この分行程が長くなります。(キャッチフレーズは毎日が平ガ岳!!)よって各人総重量を9Kg以内としました。

前穂高から奥穂高、槍
○夜行バスで着いた早朝の上高地は観光客の姿も無く気持ちの良いところでした。朝食後河童橋を渡り岳沢への分岐をとると、岳沢ヒュッテまでは歩き易い散歩道といったところです。ヒュッテからはガレた登山道となり、やがて鎖、ハシゴが現れますが、良く整備されており何の問題もありません。どんどん高度を稼いで行くと、西穂高から奥穂高への稜線が真近に見えるようになり紀美子平へ到着します。ここから前穂高岳へ空身でピストンしますが、ここのコースタイム(登り30分、下り20分)は少なすぎるよ、隊長はバテバテです。前穂高岳の山頂からは槍ヶ岳が突然顔を覗かせ、360度の展望が広がって、まるで写真集を見ている様な気持ちになりました。(珍腐な表現)

○天候にも恵まれ、憧れの奥穂高岳にあっけなく到着してしまいました。山頂は思ったほど混雑していませんでした、ゆっくりしたい気持ちを抑えて下山に移ります。穂高山荘までの下りは急な鎖、ハシゴの連続で少々緊張しますが乾いているので簡単でした。やはり涸沢岳から先は通行できないとのことなので、泣く泣く涸沢まで下ります。明日また同じだけ登り返すと思うと情けない。次から次へと登ってくる人々をかわしながら涸沢小屋に向かいます。

○涸沢小屋では夜中の3時10分に突然ドーンと突き上げるような振動があり飛び起きました。幸い小屋がつぶれることもなくまた夢のなかに引き込まれますが、大キレット通過前のナーバスな隊長の不安は増すばかりです。

奥穂高岳、涸沢岳
○朝起きると本日も快晴、絶好の登山日和です。昨日はもうひとつと思ったナナカマドの紅葉も、本日は光線の加減でしょうか、青い空をバックに真紅に染まった木々は息を呑むほどの美しさです。南稜にむけてグングン高度を上げて行くと、涸沢が真下に見えてきます。本当にこのコースは高度感に溢れています。北穂高岳の山頂は奥穂高岳に比べて広く、登山者の少ないこともありノンビリできました。早朝の澄んだ大気の中、遠方の山々までくっきりと見ることができます。奥穂、前穂を見ていると、よくあんなところを登ってきたなあと感無量ですが、いつまでも感動している訳にはまいりません。


長谷川ピークを越える登山隊
奥穂高岳から槍ヶ岳と大キレット○いよいよこの山行の核心部分、大キレットの通過です。隊長は最近の訓練の成果でしょうか鎖、ハシゴは全然恐怖感がありませんでした。(シェルパ2号はだいぶビビッていましたが)ここで一番恐かったのはA沢のコルへの下りでした。地震のためでしょうかものすごくガレでいて浮き石が非常に多く、かなり注意しても落石がしょっちゅうあります。隊長も慎重に降りたのですが、一度大きな石を落としてしまいました。「ラクー」「ラクー」と大声で注意を喚起している中、それは次々と他の石を巻き込み最後には雪崩のようにゴーッという音を残して飛騨側へ落ちてゆきました。このとき隊長は顔面蒼白、足に震えがきてしまいました。下に人のいる方へ転がっていたらと思うとゾッとしました。その後は自分では落としませんでしたが、他人の落とした石を避けながら前後左右に気をくばり緊張し続けました。一度は50メートルぐらい下の人が我々の上から落ちてきた岩の直撃をあわやというところで避ける等、肝を冷やすことの連続でした。本当に恐いところです。



槍の穂先にて
美しい槍ヶ岳○A沢のコルから先は特に難しいところもなく難なくクリアし南岳小屋で昼食とします。槍ヶ岳山荘には予定より早く到着し、早速槍の穂先に挑戦します。しかしここでかなり時間がかかりました。我々の登る直前に穂先のハシゴの下で落石に頭を割られた怪我人がでたそうです。全然前へ進まない列に並んでいるとヘリコプターが到着し、怪我人を運んで行きました。(大事が無ければ良いのですが)ようやく事故現場を通過すると、そこには血が流れ飛び散った跡が、ゾーッ。これでは皆ビビッて慎重になるはずです。穂先のピストンに1時間50分もかかってしまいました。でも山頂からの展望は素晴らしいの一言です、穂高の眺めは言うに及ばず、隊長が8月に行った山々、薬師岳、黒部五郎岳、鷲羽岳、水晶岳が全て見えました。(隊長は感激!でも上から見下ろす鷲羽岳ってもうひとつ締まりませんね)

○槍ヶ岳山荘で夕食後ノンビリしていると、鴉天狗の姿が見えません。大キジか写真を撮りにその辺に出ているのだろうと思ったのですがこれが大間違い。なんと隊長に黙って穂先に一人で登っていたのです。うーんけしからん。しかし天は黙っていなかった、昼間事故のあった地点で落石に会いあわや一命を落とすところらしかったのです。(これぞ天罰でしょう)

穂先と御来光
○本日の朝食はご来光と重なりましたので、当然ながら朝食を優先させました。ここで不快な事件が……ツアーご一行様の醜態を見るはめになりました。ツアコン1名が最前列に並び食事間際にツアーご一行19名様の到着です。以下独り言です。「こんな露骨な割り込みに皆よく文句を言わないなあ、まあこんなことで喧嘩をするのも大人げないけど、一度ものごとの善悪をきっちり教えておかないと益々増長しそうだなあ」ただただ朝から不快な一件でした。

○西鎌尾根は下り始めがザレていて落石しそうな嫌な道ですが、それ以外は稜線漫歩の世界が待っています。これでラクチン山行、案外早く笠ガ岳山荘に着けると思いきや、双六小屋で突然鴉天狗の叛乱が。「オレはこれから鷲羽岳に行ってくるから」と言い出しました。隊長は驚愕!危うく失神しそうになりました。うーん、この男の狂った頭の中を道理を説いて理路整然と直さなければならないか。必死に説得を試みる隊長、ついに双六岳往復で同意し、鷲羽岳は断念させました。(もうっ変な隊員はイヤッ)

樅沢岳から槍〜穂高
○さてシェルパ1号を犠牲にして、隊長とシェルパ2号は双六小屋でのんびりと過ごしました。鷲羽岳を正面に見るベンチに座り、お茶を沸かしながらアタック隊の帰りを待ちます。もしかするとこれはとんでもない贅沢をしているのでは?(天候の良い午前中の貴重な時間の無駄使い)あくせく登山隊の隊長の心に芽生えたかすかな疑問。

○秩父平で団体さんを追い抜いたとたんに前方に猛スピードの2人連が見えましたが、登りの途中で1人はペースダウンし隊長に道を譲ってくれました。お礼を言って抜いたのですが、このオバサンは隊長の揺さ振りにも動ぜずピタッとくっついて離れません。やがて大きな声で話し掛けてくるのでした、「そうじゃー」と言うのがトレードマークの四国は徳島のパワフルな方でした。話しているうちに昨年の体育の日の3連休に平ガ岳、魚沼駒ケ岳、に登山隊と同じ日に登っていたことが判明しました。まったく世の中はせまいもんじゃー、などと感心している間にどんどん時間は経つし距離は稼ぐし、とうとう笠新道分岐まで歩きとおしてしまいました。(登山隊は30分で5分休みを標準とする)後の3人の隊員ははるかに離されてしまい、隊長はこのまま小屋まで休まないのではと心配していたそうです。まったくおんぶお化けのような妖怪ばあさんでした。

○ 本日はあいにく朝からガスで山頂からはなにも見えません、我々は三角点を踏みクリヤ谷へ下ります。ここの岩は平らなタイル状で少々変わっている、また途中には槍からシマ模様に見えた断層を形成している緑色の柔らかい岩が露出している個所もある等地質的に楽しめます。台風5号が近づきつつありその影響で雨が降り始めました。雷鳥岩付近までは順調でしたが、遠くでゴォーと言う雷鳴のような音が聞えてきました。クリヤの頭を過ぎ笹原の下りにかかった時に、頭上での雷と土砂降りの雨が始まりました。「クリヤ谷の徒渉が出来なくなる可能性があるので急ぎます!」隊長は凛々しく宣言し黙々と下ります。とにかく雷からの脱出(樹林帯まで下る)次に徒渉点を越えることが緊急の課題となりました。目が吊り上り顔が引きつる隊長です。雨で濡れて滑りやすい道をかまわずどんどん下ります。最終徒渉点(槍見温泉口から1.5キロ)を越えた時にようやく隊長の顔に笑みが戻りました。ここでお湯を沸かして昼食とします。(ああ疲れた)

○ようやく登山口に降立つと、そこには無料の露天風呂「新穂高の湯」が待っていました。これ幸いと脱衣場裏で服を脱ぐ隊員達、ここで鴉天狗のいたずらに隊長激怒。女性の脱衣場の隙間を塞いでいる板を鴉天狗が取り去ろうとします、あわてる隊長、「恥ずかしいことをする馬鹿者め登山隊除名に価する」とプンプン立腹の隊長でした。でもこの露天風呂はおおらかで気持ちいいお湯でした、隊長のお勧めです。(石鹸はだめです)

○サッパリした登山隊はバスで平湯に出ます、ここの蕎麦屋で大宴会です。奥の座敷を占領し、山菜、トマトを肴に飲んだり食ったり、大満足でした。帰りはMMLで教わった直通のバスで新宿まで一直線。(一時は渋滞で2時間遅れる可能性があるなどと脅かされましたが結果は定刻でした)隊長は達成感で虚脱状態です、しばらく充電してから次の頂きにチャレンジします。

1998年の記録へ

百名山の記録へ