白根三山+笹山

小太郎山・北岳・間ノ岳・農鳥岳・広河内岳・大籠岳・白河内岳・笹山

縦走路から笹山北峰を望む



【行程】 8/13(月)曇りのち雨 [たまプラーザ1:05=(車)=奈良田4:25/5:31=(山梨交通バス)=広河原6:18/6:22−C20207:31−白根御池小屋8:37/8:47−C26059:52−小太郎山分岐10:57/11:07−肩ノ小屋11:35(泊り)]
8/14(火)雨のちガス [肩ノ小屋5:25−小太郎山分岐5:48−小太郎山6:55/7:00−小太郎山分岐8:21−肩ノ小屋8:51/9:00−北岳9:37/9:45−北岳山荘10:30/11:00−間ノ岳12:39−農鳥小屋13:33(泊り)]
8/15(水)ガス時々晴れ時々雨 [農鳥小屋4:54−農鳥岳6:24/6:33−大門沢下降点7:00−広河内岳7:32/7:47−大籠岳8:44−白河内岳9:24−笹山北峰10:30−笹山南峰10:37/10:50−C225611:42−水場分岐12:44−奈良田14:12/14:25=(車)=湯島の湯14:39/15:27==民宿えびなや15:33(泊り)]
8/16(木)晴れ [民宿7:29=(車)=たまプラーザ10:55]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗




○今年の夏休みは南アルプスにある山梨百名山の小太郎山と笹山を狙います。どうせなら白根三山を挟んで縦走いたしましょう。出発直前になって天候不順で一日順延といたしますが、雨の予報は見事に外れ晴れマークとはどう言うこっちゃ。それでも笹山へ縦走する日が荒れていなければとの浅はかな考えで、二日間の悪い予報を突いて出撃です。


○奈良田に車を置いてバスで広河原まで入ります。でも早く着かないと第一駐車場に入れません。第二駐車場からですとバスに座れない可能性が高くなります。狭い山道を50分の間立ちっぱなしは辛いものがあります。奈良田では座席が8割埋まり、第二駐車場から登山者は半数以上が立っていました。広河原からは白根御池小屋経由で登ります。樹林帯の急登を越えトラバースすると御池小屋に到着です。この辺りで雨が降り出しましたのでカッパを着ます。


○今度は高山植物の咲く草原の急登が続きますが、カッパの中は蒸風呂状態でした。大樺沢からの道を併せると、稜線上の小太郎山分岐に到着です。ここにザックをデポして小太郎山をピストンしましょう。水と非常食だけの空身に近い軽装で出発です。ところが正面から雨粒を伴った強風が襲って来て目も開けられません。急激に体温が奪われて、素手の手先は痺れる冷たさです・・・カッパの下が夏用Tシャツではね。急速に萎える登山隊の闘志。50mも進まないうちに撤退を決意する隊長でした(情けなぁ〜)


北岳稜線から小太郎山、背後に甲斐駒ケ岳○肩ノ小屋には昼前に着きましたが、皆さん早々と宿泊を決め続々と到着します。驚いたことにカッパの下にダウンを着た登山者もいます。強風雨で体感温度はかなり低下しているようです。こちらは昼から小屋でビール片手にまったり状態。でも明日も天気は好転しないとの予報に気勢は上がりません。お孫さんと来ている登山者もいて話に弾みがつきます。


○翌朝は昨日以上の荒天です。真っ白なガスに包まれて視界は10m、横殴りの雨粒が顔を叩き前を向いて歩けません。こんな中を冬下着の完全装備で出発いたします(まったくのアホでした)ところが小太郎尾根分岐の手前ピークで、すぐ後ろにいた鴉天狗の姿が消えてしまいます。明後日の方角から隊長を呼ぶ声が聞こえますが、こちらからは大声で叫んでも向かい風で届きません。ピークに戻り必死で「戻れ〜!」と叫び続けます。出鼻を挫かれた登山隊でしたが、ピークハントに賭ける執念はすさまじく、そのまま続行するのでした。


北岳では展望はありませんが風雨は小康状態○小太郎尾根は点線ルートですが、しっかりした踏跡があります。晴れていれば尾根を見通しながら北上し、難なく小太郎山に到着いたします。ただしガスで視界が利かないと、稜線を西に巻くところが判りにくいので注意が必要です。途中で10分ぐらい樹林帯の通過があり、風雨が避けられて一息つきました。二度ほど騙しに遭いながら到達した山頂は、ガスと風雨で散々でしたが、大きな満足感を与えてくれました。



○分岐に戻る頃にガスが上がり、振り返れば小太郎尾根が見通せるようになります。雲の向こうには甲斐駒ヶ岳、鋸岳が鋭い稜線を見せてくれます。仙丈ヶ岳など周囲の山々の展望も一時的で、肩ノ小屋に着くころには再びガスで覆われてしまいました。北岳の山頂はガスで展望はありませんが、雨が小康状態なのが救いでした。北岳山荘では「風速10m以上なので北岳は登頂できない」と登山者を止めていました。我々は昼食を摂り間ノ岳に向かいます。



○間ノ岳からの下りは農鳥小屋に近づくとガスも晴れてきます。小屋へは一番乗り・・・というか4時すぎまで2人きり?最終的には5人と寂しい限りです。最近のネットでの評判が芳しくないようですね。隊長は15年前にも泊まりましたが、ここでは時間が止まっているようでした。最近の北アルプスの快適な山小屋とは一線を画いています。ガンコ親父は少し耳が遠くなった外は昔のままでした。良くも悪くも昔ながらの南アルプスが色濃く残っていますよ。



○明日は笹山に向かうと言うと「ガスが出たら尾根が広いから迷う」と親父に散々脅かされビビり捲る隊長。あとから来た若い2人組も笹山に行くとのことで少し安心です。 4時に朝食となりましたので5時前に出発です。昨日よりはマシですがガスのなかを登り始めます。途中で元気なサブザックの学生さんたちに抜かれます。はるばる盛岡から来た岩手大学WVの皆さんでした(山頂の集合写真でフラッグが出たのには吃驚)



もうすぐ白河内岳、広い稜線はガスが出たら迷いやすい新しい標柱は原始性を著しく損なう○大門沢下降点から先は未知の領域です。広河内岳まではペンキもあり何の問題もありません。広河内岳の下りはガスで見通しが悪いと迷いやすい所です。大きく東に曲がり途中で池ノ沢への道を右に分けます(両方の道に黄色のマーキングがあるので注意)でも大籠岳への尾根筋に乗れば一安心です。這松が行く手を阻むこともありますが、良く探せば道は続いています。確かに広い尾根はガスで視界が無いと厳しいところですが、丹念にケルンを拾って行けば難しいことはありません。




○それぞれのピークには場違いな新しい製紙会社の標柱が建ち、せっかくの原始性が薄れてしまっています。でも縦走路で出会ったのは、広河内岳の下りですれ違った単独行2人だけの人気薄のルートです。白河内岳の下りは県境とは違い東に回り込まずに南東に下ります。ここもガスが出たら迷いやすいポイントですが、ケルンに従って真っ直ぐ下ります。笹山までは樹林帯の道となり明瞭な踏跡が続き、ポイントではテープが助けてくれます。




笹山南峰は広場に山梨百名山標柱が建つ○笹山北峰は晴れたら展望が利くようですが、生憎ガスが濃くなり何も見えません。すぐに南峰に向かいます。数分で山梨百名山の標柱のある南峰です。こちらは広い山頂広場の真ん中に標柱が建っていますが、樹林に囲まれて展望は得られません。ここまで来れば一安心です。三角点を探して広い山頂をウロウロ、粘着質な隊長はついに発見しましたよ。


○原生林のなかに新しい道が開かれています。始めのうちの驚くべき急な下りは特筆に値します「登りの人はたいへんだぁ」ダイレクト尾根が開かれてからは日帰りピストンが多い山ですが、1900mの標高差は中途半端ではありません。ルートの上部は足元フカフカであまり踏まれていませんが、テープは豊富で下りでも迷う心配はありません。中部から下は林業の杣道を利用したものでしょう。歩き易い道が続きます。



ようやく探し当てた笹山の三角点○発電所の導水管に出合うとダムが樹林の間に見えてきます。急斜面ですがジグを切りながら一気に下ります。ダムを渡ると奈良田です。車を回収して湯島の湯で汗を流します。源泉掛け流しを堪能したら民宿「えびなや」に向かいます。家族的なサービスで登山者も安心して宿泊できる宿です(本日は4パーティ9名が宿泊)




○今回の山旅は白根三山+山梨百名山2峰でしたが、特に笹山縦走に重点が置かれていました。それが結果的には3000m峰を悪天候で通過するという、際どいものとなってしまいました(白根散々でしたよ・・・少し反省)実際に点線ルートを通った感想はそれほど難しいものではありませんでした。本来はテント持参でじっくり楽しむべきコースですが、小屋泊りで荷物を軽くしカモシカで駆け抜けることができました。ルートに多少の難しさはありますが、静かな昔ながらの南アルプスが堪能できる良いコースでした。



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