八ヶ岳

権現岳・赤岳・阿弥陀岳・御小屋山

権現岳から赤岳・阿弥陀岳を望む



【行程】 7/28(土)晴れのち曇り [たまプラーザ6:19=(東急・JR)=八王子7:13/7:33=(かいじ173号)=小淵沢9:09/9:16=(八ヶ岳高原列車1号)=甲斐大泉9:32/9:37=(タクシー1610円)=天女山9:44/9:48−C200011:01−前三ツ頭山12:04−三ツ頭山12:50−権現岳13:44/14:00−ツルネ14:53−キレット小屋15:15(泊り)]
7/29(日)晴れのち曇り [キレット小屋5:38−文三郎道分岐6:47−赤岳7:14/7:18−中岳8:26−阿弥陀岳9:06/9:21−不動清水分岐10:43−御小屋山11:17−登山口12:13−美濃戸口12:38=(タクシー5100円)=茅野12:59/13:33=(スーパーあずさ18号)=八王子15:03/15:10=(JR・東急)=たまプラーザ15:54]
【メンバー】 隊長、仕立て屋ぼん




○「海の日」の三連休は天気が悪く出撃できませんでした(わざわざ悪天候に出かける愚か者ではありません)そこで翌週に八ヶ岳を麦草峠から天女山まで縦走するという、夜行1泊のスペシャルプランを立案します。ところが同行の仕立て屋ぼんから待ったが掛かりました。曰く「当日は宴会があるので夜行バスは勘弁して!」隊長的には宴会と夜行バスは関係ありませんが、メンバーの不安を取り除くのも一法かと、朝発ちに変更いたします。ところが新プランには致命的な欠陥が・・・この炎天下に歩き出しが10時とは!!


○天女山の駐車場では曇っていたのですが、すぐに天ノ河原では強烈な日差しに汗が流れ出します。前を行く5名パーティを抜きますが、ちょっと足元が危うい人たちでキレット小屋に5時到着の予定らしい・・・おいおぃ、大丈夫か?(我々は3時45分到着予定)しばらく樹林帯の急登が続き、息を弾ませながら高度を上げて行きます。前三ツ頭山で岩稜の稜線上に出ますが、高曇りとなりましたので太陽の直撃からは逃れることができました。


正面の権現岳がどんどん高くなる○ここからはアルペンムード全開の稜線歩きとなります。正面には権現岳を望み、その右奥には主峰の赤岳が鋭い角度で天を突いています。三ツ頭山を越えると岩峰を戴く権現岳が正面に大きく立ちはだかります。何とか歯を食いしばりながら岩の急坂を一歩一歩登ります。岩場の間には可憐な高山植物が咲き乱れ、そよ風に揺れる様は一服の清涼剤のようでした。


権現岳の67段もある大梯子○権現岳で大休止してから本日の核心部に向かいます。いきなり垂直に近い梯子が岩壁に架かっています。その長さたるや今まで見たことのない長さです。目がくらくらするような高度感ですが、下を見ないようにして一段づつ下りて行きます。手が痛くなるほど長い時間を掛けて下り切りました。本当に雨や強風のなかでは通過したくない場所でした。


○それからも鎖や梯子が続く気が抜けない道を一気に下ります。何気なく顔を上げたら、周囲の空は黒雲が覆っています。その上空には真っ白な積乱雲が発達しているじゃありませんか。午後から崩れるとの予報でしたから心配になります。遮るもののない岩場の稜線で雷に遭ったらたまりません。何とか一刻も早く小屋に到着したいものです。ところが仕立て屋ぼんの脚が止まり急ブレーキです。いらいらしながら気ばかり焦り先を急ぐ隊長。


見事なコマクサの群落に出会う○ツルネの砂礫地帯にはコマクサの群落がありました。ピンク色の絨毯は登山者の心を慰めてくれます。蓮華岳ほどの大群落ではありませんが、まったく期待していなかったので儲けた気分です。もうここまで来ればあと15分です。パラパラと雨が落ち始めましたが余裕を持って小屋に駆け込みます「もう500円出すと個室がある」との誘惑に簡単に屈する登山隊でした(5月の甲武信小屋の混雑は再現したくないって)天女山の先で追い抜いたパーティは、何故か一人減って5時45分に到着しました・・・お疲れ様でした。


○キレット小屋は小さいけれど気持ちの良い山小屋です。4年前に建て替えた新しい小屋で、個室の比率が高い。小屋番のお兄さんは1人で切り盛りしていますが、宿泊客は多くないようなので大丈夫です(本日は15人)どうもマキでご飯を炊くのが売りのようです。食事前には大皿の摘みが3皿も出て嬉しい限りですが、お蔭で飲み過ぎてしまいました(情けなぁ〜)久しぶりに登山者との交歓もできて、思いで深い山小屋ライフとなりました。朝ごはんの時間指定も初めての素晴らしいサービスです。


○夜中にたて続けの雷鳴で目が覚めましたが、朝には天気は回復していました。小屋から稜線に戻ると一気に標高差450mの登りが始まります。朝一番で体力のある間に頑張ってしまいましょう。赤岳の岩場は重たい縦走ザックでは厳しいとこでしたが、小屋泊まりのお気楽装備なので身軽に岩を伝います。ほとんど人の居ない縦走路でしたが、前方の文三郎道からは人の列が山頂まで続いています。


○赤岳に群がる登山者を見ると、権現岳方面に来る人は稀だということが実感されます。分岐から渋滞の列に加わります。何とか山頂に到着しましたが、ゆっくりしている気分ではありません。写真を撮ったらとっとと下りましょう。ところが渋滞はますます酷くなり、列は前に進みません。すぐ前にいた半袖の山ガールさんは、寒さで唇が紫になって震えていました。そのうち登ってくる登山者も途切れてしまいました。一体全体どうしたことでしょうか?


赤岳山頂にて(ゆっくり記念撮影もできない)○それはトンデモナイ非常識が原因でした。この簡単な赤岳の鎖場で、ザイルを使って一人一人を確保しているお馬鹿さんがいたのです。クラブツーリズムの一行16名が渋滞を引き起こしていたのです。ザイルを片づけるお姉さんに批判的な言葉 が容赦なく投げつけられます。恥ずかしそうにしていたので、少しは嫌味が伝わったのでしょう・・・しかし反省はしていないと思う。


御柱用の樅の木を大切に育てている(毎年チェック)○中岳に向かうと登山者はぐっと少なくなります。そして阿弥陀岳手前のコルには沢山のザックがデポしてありました。みなさんは此処から行者小屋に下るのですね。空身の登山者に混じってザックを背負って登るのは辛かった。途中で何人かパスしてもらいました。でも山頂には大展望が待っていました。先ほど頂を踏んできた赤岳の山頂には、群がる人々の影がまるで毬栗のように浮かんでいます。


○ここから先は好事家の世界です。最初は岩稜を梯子とロープで越えますが、中央稜分岐からはザレた斜面をロープに掴まり急降下です。下方に登山者がいるので落石に気を付けながら下ります。やがて樹林帯に入ると、昔の北八ツを彷彿とさせる雰囲気の原生林となります。不動清水入口を過ぎると、なだらかな下りと登りを繰り返し御小屋山に到着しました。


○この山から諏訪大社の御柱を伐採していました。伊勢湾台風で大きな被害を出したため、現在は伐採していませんが大切に育てています。対象となる樅の木を地元の各地区で毎年チェックしているようです。やがて傾斜が緩くなると登山口の林道に出ました。別荘地を通って美濃戸口のバス停に向かいます。あとは客待ちのタクシーで茅野までひとっ跳び。運転手から昨晩は蓼科山方面で集中豪雨があったと聞きました。それほど離れていないのに雷鳴だけだったとは・・・まったく強運でした。


○こうして43年ぶりの赤岳再訪は無事に終了いたしました。それにしても赤岳の人気には吃驚!山ガールも多数出没のミーハー山域でした。ただ赤岳周辺の人気コース以外は静かな山旅が楽しめました。また遅発ちだったので暑さを心配していたのですが杞憂に終わりましたし、恐れていた雷は夜半の来襲でした。でもいつまでも幸運に恵まれているとは限りません、基本に忠実にリスク管理を徹底する必要を感じました(大いに反省です)



2012年の記録へ

       
y