甲武信ヶ岳・三宝山

三宝岩から甲武信ヶ岳を望む



【行程】 5/26(土)晴れ [たまプラーザ4:45=(車)=毛木平8:12/8:30−十文字峠10:12−大山11:03/11:29−三宝山13:42−甲武信ヶ岳14:47/15:00−甲武信小屋15:13(泊り)]
5/27(日)晴れ [甲武信小屋5:53−甲武信ヶ岳6:07/6:21−梓山分岐6:37−千曲川水源6:55−ナメ滝7:54−林道終点8:41−毛木平9:16/9:46==増富の湯10:41/11:30==たまプラーザ14:05]
【メンバー】 隊長、仕立て屋ぼん




○今回は奥秩父の中央に位置する甲武信ヶ岳を目指します。名前のとおり甲州、武州、信州の国境にあり、ひと昔前は山が深く簡単には頂を踏むことが出来ませんでした。隊長が高校生の時には金峰山からの縦走で2泊かけて登頂しました。でも今では山梨県側と長野県側から短縮路が造られ、日帰りが可能となっています。


昔と変わらない顔の五里観音○北隣にある三宝山は埼玉県の最高峰ですから寄って行きましょう。毛木平から十文字峠を経由しての周遊コースといたします。同行は百名山好きの仕立て屋ぼんですが、運動不足を考慮して山小屋1泊といたします。1週間前の報告を見ますとかなりの雪が残っているようなので心配です。念のためスパッツ持参と書いたら・・・タイツを持ってきたよ!(情けなぁ〜)


○懐かしの毛木平には立派な駐車場が出来ていました。ここに天幕を張って十文字峠越えをした記憶が鮮やかに蘇ります・・・なんとも渋い高校生でした(現在は幕営禁止です)甲武信ヶ岳への道を分け、新しい橋を渡ると峠道です。路傍に五里観音が鎮座する様は昔と変わりません。ジグを切りながら樹林帯をゆるゆると登って行くと尾根上に出ます。そこからは明るい尾根道で、正面に小屋の煙を認めると十文字峠です。


大山から三宝山を望む○峠にある石楠花の群落は、大きな蕾はあるものの一輪も開花していません。どうも平年より10日ぐらい遅れているようです。小屋のオヤジが現われて「石楠花祭りなのになぁ」とは言いえて妙でした。大山までは花の無い石楠花林の中を登ります。山頂は予想に反して展望抜群の岩場でした。西には広い裾野を持った雄大な八ヶ岳が望まれます。正面にはお椀を伏せたような三宝山が大きく立ちはだかり、甲武信ヶ岳は陰になって見えません。この幸せの頂で昼食といたしましょう。


○白岩は通行禁止となっていましたのでパス。次のピークから振り返るとなかなかの迫力です。大きく下ってから登り返します。高度を上げるに従って雪が現われ次第に深くなってきます。でもしっかりとした踏跡があり、その上に足を置けば踏み抜くことはありません。この辺りから登山者とすれ違うようになりました。


立派な山頂標識と写真に納まる○広い三宝山の山頂は日当たりが良く雪は残っていません。大きな一等三角点が鎮座しています。樹林に囲まれて展望はありませんが、登山道の脇にある岩に乗ると甲武信ヶ岳が望めます。三角錐の山頂は登頂意欲を掻き立てます。三宝岩へは細い踏跡を辿って立ち寄ります。こちらからの展望は素晴らしく、ほんの少しの労力を惜しんではいけません。甲武信ヶ岳への最後の急登は雪が深いので慎重に進みます。それでも運動不足のぼんは遅れがちです。


○ようやく飛び出た山頂には大展望が待っていました。あいにく富士山は雲に隠れていましたが、金峰山、国師ヶ岳からの縦走路、八ヶ岳、南アルプスなど、見渡す限り重畳たる山並みが続きます。なんと47座もの百名山が展望できるそうです。山頂には百名山を象徴するような大きな山頂標識が階段の上に建っていました。山頂に唯一人いたトレラン青年の話では、戸渡尾根の下方では石楠花のトンネルだったそうです(うらやましぃ〜)


○甲武信小屋への道は凍っていて滑りそう。雪の無い所を伝いながら慎重に脚を運びます。小屋は増築されていますが43年前に訪れた時と変わりません。当時は埼玉国体に向けての新築でしたが、現状はかなり草臥れています(隊長とおんなじだぁ)おまけに今夜は満員でギュウギュウ詰めです。何と130人も泊るので食堂にも布団を敷いて寝る始末。もちろん1つの布団に2人で、夜中にぼんの頬に生足が触れるという凄まじさ(気色ワル〜)


○混雑の原因はツアー客です。○○ツーリズムご一行の2団体で総勢45名を筆頭に、多くのツアーが押し寄せて来ました。流石は石楠花シーズンの百名山でした。でも17時15分に疲れ切って到着するって、あり?それにしても最近は尾瀬とか北アルプスといった小奇麗な小屋に泊っていたので、奥秩父の素朴な小屋はカルチャーショックでした。とくに食事のプアーさには脱帽です(朝食は進みませんでした)


残雪のある千曲川源流○翌日はゆっくりと出発の予定でしたが、団体が騒々しいので起きてしまいました。朝食も30分遅れて列が途切れてからでしたが、なぜか6時前には出発です。お蔭で山頂は3人連れと我々だけで独占でした。始めは薄いガスがかかりブロッケン現象も見られてラッキー!すぐにガスが晴れて周囲の山々がくっきりと望めるようになりました。昨日はお預けだった富士山もしっかりと顔を出してくれました。


○縦走路の始めはザレた急な下りですが、原生林に入ると雪が残っています。下降点からは雪の急斜面となり、凍った雪面は滑りやすく気が抜けません。でも慎重に下ればアイゼンは不要でした。千曲川源流地点までは雪が深かったのですが、やがて消滅いたします。西沢沿いの緩い傾斜を下って行くと、周囲は春の装いが色濃くなります。爽やかなそよ風を頬に感じ、揺れる落葉松の新緑が目に眩しい。


○日帰りのトップは駐車場を5時ごろの出発でしょうか、7時半ごろに力強い足取りの一群とすれ違いました。我々はトップで下って来たので、登山者とすれ違う度に雪の状態を聞かれます。あまり心配させても気の毒ですし、かといって相手の実力も知らないのにアイゼン不要とか断定的なことも言えませんので・・・歯切れは悪くなります(小さな子供連れはちょっと心配)


○順調に歩いたので駐車場には予定より早く着いてしまいました。早めの昼食を摂っていると小型バスで高齢者の団体が到着です。やはり石楠花目当ての人々でした。いやぁ、参りました。もうシーズンの100名山の混雑は懲り懲りです。これからは静かで趣のある山旅がしたいものです。帰りには信州峠を越えて増富ラジウム鉱泉の「増冨の湯」に立ち寄り汗を流します。源泉掛け流しは素晴らしいのですが、25℃のお湯は少々冷たくて辛抱堪らん・・・まだまだ修業が足らないようです。



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