ヌタノ丸

ヌタノ丸〜本間ノ頭〜無名ノ頭

冬枯れの尾根からヌタノ丸を振り返る



【行程】 2/26(日)快晴 曇りのち雪 [たまプラーザ5:05=(車)=早戸川林道ゲート7:05/7:30−渡渉8:20−ヌタノ丸9:30−観光センター分岐10:48−本間ノ頭12:05/12:24−無名ノ頭12:35−林道13:55−ゲート14:46/15:00==たまプラーザ17:07]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗




早戸川の渡渉点は丸木橋が流されていた ○この冬は寒い日が続いているので、すっかり出不精になってしまいました(情けなぁ〜)2カ月半のブランクですが、2月も下旬となりようやく重い腰を上げたのでした。実は1月に還暦を迎えた隊長は娘からGPS(SONY NV−U37)を贈られました。『まさかボケて道迷いしないようにじゃないよね』などとうそぶきながらも嬉しくなって丹沢のVルートに挑戦することにいたします。これは国土地理院の25000分の1地形図が使える優れものですが、果たして登山に耐えられるのでしょうか?


○2カ月半ぶりの山行ですし、GPSの性能評価という目的もあって体力的には楽なルートにいたします(雪があったので正解でした)三峰の東峰(本間ノ頭)から北に伸びる尾根にあるヌタノ丸という地味な山を第一目標に定めます。早戸川から上りヌタノ丸を経由して本間ノ頭へ、縦走路を無名ノ頭まで行き北に伸びる尾根を本間橋へ下り林道を戻る周遊ルートです。


○早戸川林道を進みゲートの先で駐車します。もっと先まで入りたいのですが崖下のスペースは落石の恐れがあるので自重します(道路上には岩がゴロゴロ転がってます)数分で尾根の先端を回り込み河原に下りますが・・・あるはずの丸木橋が見当たりません。よくよく探すと流されて岸に打ち上げられているじゃありませんか。2人がかりで何とか架け直そうと試みますが、重くて如何ともし難く水中の移動がやっとです。

尾根に上がると緩やかな歩き易いルートとなる○昨日の雨で水量の増した早戸川を目の前にして、茫然自失の登山隊でした。「この寒空に渡渉かよ!」鴉天狗の嘆きも尤もですが、渡らなければ始まりません。簡単な渡渉点を探しますが、かなり深くて流れも速い。川幅が狭いところで流れの中に顔を出す岩に飛び移ろうとしますが、打ち掛かる水しぶきと轟々と渦巻く流れに『失敗して流れに落ちるイメージが浮かび』どうしても一歩がでません。怖じ気づいた隊長はすごすごと戻るのでした・・・どうにか命拾いしました。


○今度は川幅の広い浅瀬で靴を脱ぎ渡渉します。ズボンを膝まで捲り上げますが、川の水は情け容赦なく裾を濡らします。それより何より冷たい水に感覚が麻痺して頭の芯まで痺れるようです。半分まで渡ったところで我慢の限界となりましたが、もう一気に進むしかありません。よろよろと流されそうになりながら必死に対岸を目指します。岸に着いたら声も出せないほど痺れまくり、しばらくは震えが止まりませんでした。


ヌタノ丸は地味な山頂でした○結局、渡渉に手間取り1時間近くを費やしてしまいました。ここから尾根に上がるには足場の悪い急峻な泥壁を這い上がらなければなりません。短い距離でしたが息が上がってしまいました。尾根上はなだらかな歩き易いルートとなります。やがて鹿柵が現われ沿って進みます。山頂の近くで金網の穴を潜ると、木にプレートが掛かるヌタノ丸の山頂でした。三角点がある外は展望もなく顕著なピークもない地味な山頂でしたが、ピークハンターにとっては貴重な聖地です。それにしてもGPSは正確です・・・「目的地に到着しました!」のアナウンスは余計でした。


○高度を稼いで行くと次第に積雪が深くなってきます。1000mを越えると吹き溜まりでは膝までのラッセルとなり、汗を掻きながら必死で登ります。体重を掛けるとズボッと沈むので歩き難いこと甚だしい。おまけに右足の夏用スパッツのゴムがプッツンと切れ雪が靴に侵入してきます。そのため右足だけは踏跡を辿るという変則歩きで疲労困憊です。


○1090m付近で観光センターからの廃道と合流します。ここからは山頂から下ってきた1人のトレースがあり、歩幅の違いはあるものの随分と助かりました。とくにガレ場のトラバースでは踏跡が無ければ直登してしまうところでした。再び膝までのラッセルですが、今度はスパッツを靴ひもで応急修理したので雪の侵入はありません。


○本間ノ頭の直下では下ってくる2人連れとすれ違います。Vルートでの遭遇は珍しい経験です。2週間前にヌタノ丸を下山して渡渉に苦労されたとか・・・まったく奇特な人でした。山頂にも外人との2人連れが休んでいました。塩水橋から4時間半も掛かったとか、これから丹沢山へ縦走しての周遊ですが・・・日帰りでもシュラフを持参する用意周到ぶりには驚かされます。


○冬山の休憩には温かい飲み物が欠かせません。ところが相棒はテルモス持参とのメールを打ったのに「見ていないって!!」それでも優しい隊長はコーヒーを分けてあげるのでした。気温も下がってきて霧氷が育ちつつあります。縦走路は足元も凍っていてアイゼンを着けるか迷いましたが何とかなりそうです。しかし凍った長い木の梯子を降りる時には滑りそうで緊張しました。


無名ノ頭から北への尾根は深い積雪に悩まされた○無名ノ峰からは北に伸びる尾根を下ります。こちらは雪が深くズボズボと嵌り激しい消耗です。微妙に尾根が曲っていても支尾根との分岐点もGPSのお蔭で難なくパスです・・・文明の利器は本当に便利です。1080m付近から作業道が現われますが雪で見失いました。でも鹿柵を避けながら順調に下降を続けます。


○ところが好事魔多し、GPSの電池残量がピンチです『なるべく見ないで温存しよう』その途端に植林帯の急降下で道を失い、眼下に本間沢を見て間違いに気づきました。GPSで現在地を確認し西に回り込み涸れ沢を下って林道にでました。あとは小雪の降る林道を50分歩いて車に戻ります。


○本日はGPSの試用で丹沢のVルートに挑戦しましたが、ほぼ満足のゆく成果を上げることができました。心配していた気温も0度以下でも何とか動きましたし、電池の持ちの問題は日帰りでは何とかクリヤです。もちろん本格的な山岳用GPSとは比べられませんが、夏山ハイカーの現在地確認用としては十分な性能を有しています。またカーナビにもなりますので現地までの往復でも活躍してくれます(オービス警告は有難い)これからは隊長のVルート探索の友となることでしょう。


2012年の記録へ