東丸・西丸

県境稜線の送電線鉄塔下から西丸を望む



【行程】 2/13(日)快晴 [たまプラーザ5:10=(車)=平野(吉政)7:24/7:40−切通峠8:03−日蔭沢橋9:01−水ノ木橋9:53−東丸11:30/11:45−西丸13:09/13:20−水ノ木分岐14:04−大棚ノ頭14:26−高指山15:43/15:51−切通峠16:15−平野(吉政)16:30/16:46==たまプラーザ19:40]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗




○冬の楽しみのひとつに夏には通過が難しい藪山への挑戦があります。丹沢のバリエーションルートのなかでも西丹沢の外れの東丸・西丸は藪が酷いと聞いています。あいにく建国記念日の三連休は二日目まで雪となりましたが、最終日の晴天に賭けて出撃いたします。県境稜線から南東に延びる尾根は南斜面ですから多少は融けているのではないかと・・・希望的観測ですが。

○今日は山中湖畔の平野から切通峠を越えて、林道を少し歩き水ノ木橋から尾根に取り付いて、県境稜線まで藪を漕ぎます。あとは東海自然歩道を通り高指山から切通峠へ戻る周遊コースです。コースタイムは7時間半ですから、登山隊の脚をもってすれば7時間ぐらいでしょうか(などと雪山を甘く見ちゃいけません!!)

○御殿場ICから籠坂峠を越えると山中湖畔です。ところが一面の銀世界で気温はマイナス10度Cと想像を絶する寒さでした。平野から東に向かい三国峠への道を分けると、真っ直ぐ細い轍が続く狭い道となります。最終民家の手前で雪原に車を停め出発です。歩き出してすぐに夏靴と夏用スパッツを後悔する隊長でした。もちろんトレースは一切ありません、時には膝まである新雪を踏みしめながら切通峠を目指します。

東丸直下の薄原から富士山○峠に着くと「台風のため林道が不通」との看板があり焦ります。早くも丸尾山へ転進かと心配しましたが・・・「山百合橋までは通行可能」と先覚者の小さな字の書き込みがあり一安心です。ところが下り始めますと、次第に深くなる積雪にトラバース道は埋もれ、テープも少なくルートに自信が持てません。行きつ戻りつ時間を掛けながら慎重に下ります。


○林道に出ると上空には青空が広がり、梢に積もった雪が落下してきます。水ノ木橋は渡らずに手前の分岐を北にとります。100mぐらい先を鋭角的に左に入ると広場の先に立派な作業小屋がありました。右奥にある鳥居を潜り祠の左の踏跡を辿ります。急斜面の植林帯を尾根に上がると薄い踏跡が続きます。


○雪の下には落ち葉が積もり滑り易く、ストックを突きながら必死に登ります。標高が上がるほど積雪が増えてきますが、ずっと鹿の足跡が続いていますので、完全なラッセルよりは楽ができました。これがなかなかのコース取りで『自然から学ぶことは多い』と感心することしきりです。


急斜面を慎重に下る鴉天狗○東丸直下のススキの茂る南斜面からは富士の展望は素晴らしい(ちょっとススキの背丈が高過ぎますが)ここの急登を登りきると待望の東丸山頂です。木々に囲まれ展望はありませんが昼食といたします。ここからは北西の尾根を下ります。下降点にはテープがありますが、うっかり西に延びる尾根にはいらないように注意しましょう。晴れていれば西丸を正面に見て下れば大丈夫です。


東丸を振り返る○急斜面の下りは雪が腰まで達し、足元は滑り易く、おまけに細い稜線なので冷や汗の連続です。鞍部まで下ると今度は延々と登りが続きます。途中からは笹薮となりますが、背丈を超える笹には雪が積もり、その重みで倒れて行く手を阻みます。強行突破を試みますが頭から雪のシャワーを被り全身真っ白になってしまいます。仕方がないのでストックで雪を叩き落としながら進みますが『あー、手がだるい』


○ようやく着いた西丸でしたが、そこには山頂標識も無く(黄色の鉄杭にマジックで山名あり)寂しい限りです。温かいコーヒーを飲み身体を休めます。ここで鹿君のトレースとお別れです・・・随分とお世話になりました。ここからは北斜面で雪が多くなり、笹薮も深くなります。雪まみれになって県境稜線の水ノ木分岐に到着です。


○ベンチに倒れこむと「ラッセルご苦労さん」と鴉天狗が声を掛けて来るじゃありませんか 「何、ラッセルが大変て知ってたの?」「当然〜」「・・・」冗談じゃありません、大変だと思っていたのなら早く交代せんかい、まったくプリプリ。いつもの夏山ハイカーの習性で隊長はトップを死守してしまったのでした・・・「あー、疲れた」


西丸の山頂には黄色の鉄杭が立つ○ここからは東海自然歩道でもあり立派なトレースが続きます。鞍部に下り送電線の鉄塔からは西丸の形の良いピークが望まれます。雪があるので巻き道を通らずに稜線上を大棚ノ頭に直登します。ここからの高指山への縦走路にはトレースがありません、積雪も膝まであり体力を消耗いたします。ここで隊長の疲労はピーークに達し鴉天狗にトップを譲ります「あとはよろしく!」


○前回は無雪期でしたから高指山まではあっという間でしたが、今回は思いのほか難渋いたしました。山中湖と富士山を正面に眺められ壮大なダイヤモンド富士る展望台で休んでから一気に山頂を目指します。山頂では地元の単独行が休んでいました(本日出会った唯一の人です)我々のコースに興味津々だったのでコース案内のコピーを差し上げました(健闘を祈ります)さて、本日はダイヤモンド富士とのこと、山中湖畔にはカメラマンが溢れているそうです。


○最後の力を振り絞って切通峠手前のコブを越えます。8時間前に見た懐かしい道標に再開し、あとは下るだけです。雪を蹴散らしながら堂々の凱旋です。車に戻ると富士の山頂に太陽が沈み、壮大なダイヤモンド富士のドラマが始まりました。


○今日は天気に恵まれたので楽しく遊ぶことができましたが、ちょっとコースを甘く見過ぎたかも知れません。やはり山中湖周辺は丹沢中心部より気温も低く積雪も多いので、難度は高いようです。もう少し暖かくなってからの方が楽に登れたと思います。でも今日は冬山気分を満喫することができました。



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