男鹿岳
塩那道路から男鹿岳を望む
【行程】 | 10/11(月)曇りのちガスのち晴れ [たまプラーザ2:00=(車)=塩那道路板室ゲート(3.1K)5:00/5:25−本部跡(8.6K)6:42−貫通広場(13.5K)7:56−月見曲(16.8K)8:46−登山口(20.0K)9:38/9:48−1754P10:21−男鹿岳10:55/11:09−1754P11:36−登山口11:58−貫通広場13:28−本部跡14:42−ゲート15:53/16:03==大正村幸乃湯温泉16:12/16:50==たまプラーザ22:05] |
【メンバー】 | 隊長、林道の鴉天狗 |
○300名山の中には夏道の無い山が幾つかあります。多くは残雪期に雪を伝って登られています。男鹿岳も残雪期に福島側から登られるのが一般的なようですが、夏山ハイカーの隊長にとっては残雪期の登山は負担です。いろいろ考えていたところ林道の「塩那道路」が山頂の南を通っています。片道20Kmの林道さえ踏破すれば、わずか1Kmの藪漕ぎで山頂に達することができそうです。
○自衛隊によって造られた塩那道路は通行禁止で放棄されたと聞いていたのですが、最近では板室側から再開発されているようです。現在は板室から3.1Kmのところにゲートがあり通行禁止となっています。ここから17Km先の男鹿峠手前に男鹿岳への取り付きがあります。
○ゲート手前の路肩に車を停め、食事をしてから出発です。5時半になってようやく薄明るくなってきましたので、舗装された立派な林道を歩き始めます。途中のポイントには多くの看板が立ち現在地点の確認ができます(まるで観光道路のようでした)
○川見曽根(7.8Km)まで舗装工事中でした。ここから先は細いダートの林道が続きますが、路面は均されていて普通車でも通行可能です。本部跡の手前で子犬のような鳴き声をたて、林道から藪に駆け込む黒い獣に出会います『母を呼ぶ熊の子供では?』顔面蒼白の登山隊は一目散に現場から離脱したのでした。
○標高1300mから上にガスが掛かりますが、昼からの回復を信じてひたすら登ります。傾斜は緩いのですが、830mから1660mまで標高差で830mものアルバイトです。次第に急になる傾斜に、時間の経過ほど距離が伸びなくなります。やがて道端に赤い20Kmのキロポストが現われると男鹿岳の取り付きです。キロポストの20mぐらい手前にテープがあり、急な崖の藪にテープが点々と続きます。
○ガスで濡れた藪に突入です。滑り易い急傾斜を笹や木の枝を掴みながら必死に身体を持ち上げて行きます。わずか20mぐらいの登りでしたが体力を消耗しました。稜線上には微かな踏跡が続きます。胸まである藪には弾力のあるシャクナゲの樹も隠れていて、行く手を阻みます。手で掻き分けながら、身体を斜めにして進みます。足下には薄い踏跡が見られますので、外さないように慎重に登ります。でも必要以上にテープがありますので、迷う心配はありません・・・『往復40Kmも林道を歩くなんて、物好きな人もいるんだなぁ』
○北の福島側から冷たいガスが押し寄せてきますので、濡れた藪のため全身濡鼠となってしまいました。カッパを着なかったのは拙かったけれど、冬用の下着を着ていますから歩いているぶんには寒くはありません。見事な紅葉の稜線はピンクテープが見分けにくいところもありました。1754Pからはアオモリトドマツの林の中を進みます。北斜面には下草も少なく藪漕ぎも簡単です。
○再び登りになると藪が酷くなりますが、細い稜線をガスに隠れた山頂に向かいます。山頂付近はアオモリトドマツの林となり、平地を北に進むと木の幹に山頂標識を認めます。薄暗い山頂は展望も無く陰気ですが、遥かなピークということで感慨あらたです。寒いので写真を撮ったら帰路につきますが、20mほど進んで携帯のGPSへの記録を忘れたことに気づき戻ります。
○ところが戻る時にテープに導かれ、偶然に三角点を見つけてしまい「隊長、偉い!」と鴉天狗に褒められます。立派な山頂標識に守られた三角点の発見は忘れられない思い出です。この山頂では携帯のアンテナは3本立ち、山深い印象とは違った不思議なスポットでした。
○帰りの方が道はわかり易く、難なく林道まで下りて来ました。とはいえ藪の中で路を踏み外して落下すること数回、うち1回は鼻の穴に笹が刺さるという笑えないアクシデントもありました。また最後に稜線から林道に下るところは滑り易く大変でした。
○天気は回復基調にあるようです。秋の柔らかな陽射しを浴びて輝く紅葉を愛でながらノンビリと林道を下ります。往きには感じなかった意外な傾斜をダラダラと下って行きます。途中で建設会社の車が林道の偵察に登ってきました。本日は体育の日で祭日ですが道路工事は行われていました。建機に挨拶して邪魔にならないように通過します。林道には我々の他にカメラを提げたオジサンや10人ぐらいのサイクリング団体など結構な人が入っていました。
○脚を引きずるようにゲートに帰り着きました。男鹿岳という遥かな300名山に林道から挑戦し、往復36Kmを見事に踏破いたしました。これは日帰りでの登山隊の新記録です。林道入口にある幸乃湯温泉に入れば、長かった林道歩きの疲労が洗い流されるようでした。林道が川見曽根まで供用されますと往復で9Kmほど短縮されますが、それでも遥かな山には変わりはありません。こんな馬鹿なことを実行するのは年に何人もいないでしょうね。
2010年の記録へ