荒沢岳

越後駒ヶ岳・中ノ岳・兎岳・灰の又山・荒沢岳

灰吹山の手前から荒沢岳を望む

【行程】	８／７（土）晴れ [新宿２３：１０＝（ムーンライト越後）＝] ８／８（日）快晴 [＝＝小出３：１０／６：３０＝（バス）＝枝折峠７：２９／７：３８−明神峠８：０４−小倉山９：３３−百草の池１０：２３−駒の小屋１１：３１／１１：４８−駒ヶ岳１２：０８−天狗平１３：０２−檜廊下１３：５２−中ノ岳避難小屋１６：０８（泊り）] ８／９（月）雨のち快晴 [避難小屋５：５８−中ノ岳６：０１−兎岳８：０８−巻倉山９：１０−源蔵山９：５０−灰の又山１０：２３−灰吹山１１：２３／１１：４３−荒沢岳１２：３８／１２：４７−前�ｰ１３：５１−前山分岐１４：５５−伝之助小屋１６：３１（泊り）]
【メンバー】	隊長

○今年の夏は会津地方を中心に遠征いたします。まず手始めに荒沢岳を計画します。最新のエアリアマップを見て気が付いたのですが、兎岳から荒沢岳までの縦走路が赤線になっているじゃありませんか！１０年前に岡本＠新潟の健脚さんが藪を漕いで通過した、あの幻の道が地元の山岳会の尽力で復活したのでした。

○そうと分かれば何とか縦走してみましょう。やはり１０年前の秋に越後三山を縦走した際には、初日に枝折峠から中ノ岳まで入りました。今回は夜行で中ノ岳まで入り避難小屋泊りで挑戦いたします。ちょっとコースタイムが長いのが難点ですが、軽量化を図れば何とかなるでしょう（本当に？）

○ムーンライト越後は夏休み中には、小出に臨時停車しますから好都合です。でも、ようやく眠ったと思ったら、もう着いてしまい睡眠不足です。数名が降りましたが登山者は隊長だけでした。駅前のバス停は時間になると、どこからか数名の登山者が三々五々集まってきました。

○小型のバスは喘ぎながら枝折峠を目指します。峠には立派な駐車場とトイレが出来ていて、流石に天下の百名山です。縦走ザックを背負いますが、そんなに荷は重くないので軽快に歩き出します。しかし容赦なく照りつける太陽が、次第に体力を奪って行きます。汗びっしょりになりながら最後の岩壁を登ると駒の小屋です。小屋前で水を３．５リットル持つと、肩にザックが食い込み足下がふら付きます。


○駒ヶ岳には倒れこみながら到着です。前回は３時間半でしたが、今回は４時間半も掛かってしまいました。ここからは大きく下って登り返します。こんなことではとても中ノ岳まで縦走する余裕はありません。前回は３時間でしたが、果たしてどのくらい掛かるのでしょうか？前途多難ですが、日没は６時４２分ですし、稜線上は明るいので遅くなっても大丈夫でしょう。

○突然、前方でガサッガサッと大きな音がして、茶色い獣が走って逃げて行きました。１０ｍも離れていません「熊だぁ〜」とマヌケな悲鳴を上げた時には見えなくなってしまいました（しまった、鈴を忘れた！！）単独行と擦れ違っただけの、人の通らない静かな縦走路での緊張させられた出来事でした。

○檜廊下を過ぎたところで、登山道の脇にザック、登山靴、袋に入ったテント、洋服など装備一式が散乱しています。遭難者の物？それにしても靴があるのが如何にも不審です。息が上ってしまい詳しく調べられませんでしたが、名前の入ったものは無いようです。ちょっとミステリアスな装備散乱でした。

○悪いことに２時を過ぎた頃に遠くで雷鳴が聞こえ始めます。こんな隠れる所のない稜線上で雷に遭ったらひとたまりもありません。疲れた脚に鞭が入りますが、登り返しは半端ではありません。前回の数倍もシンドクて、もう余力はありません。力を入れた途端に右足が攣ってしまいました。ストックを出し、２０分で休憩をとるなど騙し騙し登ります。歳のせいでしょうか、いえいえ猛暑＋睡眠不足が原因でしょう（・・・ということにしておきましょう）

○青息吐息ながら、何とか４時過ぎに中ノ岳避難小屋に到着です。駒ヶ岳からは４時間も掛かってしまいました（情けなぁ〜）ここまでに水を１リットルも消費してしまいましたので、炊事には天水を使わせてもらいます。先客は八海山から縦走の若者３人と十字峡からの単独行だけでした。

○夜半に雨音で目が覚めます。最奥部まで入り、核心部を前に天候悪化とは・・・予報には無かった雨に、心は限りなくブルーです。朝になっても雨は止みません。出発を遅らせて様子を見ていると、少し雨足が弱まったようなのでカッパを着て出発します（予定より１時間も遅れてしまいました）

○兎岳までは笹が茂り歩き難い路が続きます。濡れた斜面は滑りやすく、抉れた路肩は笹で覆われ、慎重に足を運びますが・・・何度か道を外れて滑落しそうになります。単独なのでより慎重にと緊張を持続させます。

○兎岳でようやく雨も上り四方の展望も始まります。遥か遠くに荒沢岳が朝靄の中に望まれました。昨日は嫌というほどの眺望でしたから、本日はもう結構です。雨は困りますがあまり晴れて欲しくはありません（なんと贅沢な！）食料は減ったというものの、熱中症対策として水３リットルを背負っていますので、ザックは十分な重さがあります。

○兎岳からの縦走路は笹がきれいに刈ってあり、先ほどの笹道に比べれば一級国道です。迷うような場所も少なく、ハイペースでアップダウンをこなして行きます・・・でも荒沢岳は遠い。雲上の楽園とは、こんな場所をいうのでしょうか。雨上がりの池糖は青空を映し、広い尾根にアクセントを与えます。深い谷を隔てた周囲の山々の切り立った稜線は、通過の困難さを示しています。ところが駒ヶ岳から中ノ岳への稜線は横から見ると、それほど抉れていません・・・可笑しいなぁ、昨日の苦労は何だったんだろう？

○兎岳の下りで４人パーティと擦れ違いました。彼らはこの先のテン場で１泊したそうです。縦走路で出会ったのはこの人たちだけでした。ひとつピークを越えると気持ちの良いコルのテン場でした（少し下ると水もある）灰の又山を越えると道も半ばを過ぎますが、次第に忍び寄る疲労に脚が出なくなります。その存在感は大きくなり、かなり近づいたとはいえ、まだまだ遠い荒沢岳です。

○灰吹山が最後のピークです。ここで一息入れてランチタイムとしましょう。目の前にある三角錐のピークに登頂意慾を掻き立てられますが、炎天下の急登を考えるとモチベーションは上りません。ところが幸いなことに、涼風とともにガスが谷底から上って来て、快適な登りとなりました。展望はありませんが誰も居ない荒沢岳の頂に立った隊長は歓喜に咽びます。

○ここからの下りが問題です。急な岩場の瘠せた稜線を、一気に高度を下げて行きます。遥か下の細い尾根上に道が見えているのですが、なかなか着きません。太陽は再び顔を出し容赦なくジリジリと焼き尽くします。汗は流れるように噴出し、シャツの乾く暇はありません。

○前�ｰからの長い鎖の連続には恐れ入りました。疲れた脚を引きずり、必死に鎖にしがみ付きながら下降します。こうなると縦走ザックが恨めしぃ〜。悪いことに足の爪を痛めてしまい、足を引きずりながら、脂汗の下山となりました。何とか４時半に伝之助小屋に着きましたが、コースタイムを４０分もオーバーとは、情けなぁ〜。

○越後駒ヶ岳〜中ノ岳〜荒沢岳の縦走は素晴しい体験でした。でも夏にこのコースを通過するのは考えものです。日照時間が長いので遅くまで行動できるというメリットはありますが、猛暑の中での体力消耗は想像以上です。ここは秋になってのカモシカ山行が隊長のお勧めです（もう若くないさとぉ　君に言い訳したよ〜）



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