大笠山

大笠山・笈ガ岳[敗退]

1552Pから大笠山を望む


8/19(土) 医王山 
   21(月) 大笠山・笈ガ岳[敗退]
   22(火) 人形山・三方岩岳


【行程】 9/20(日)快晴 [道の駅上平6:25=(車)=桂橋6:43/7:03−1.6K地点8:36−2.6K地点9:40−前笈ガ岳10:16−1552P10:47−避難小屋11:37(泊り)]
9/21(月)快晴 [小屋4:56−大笠山5:58/6:09−c16857:15−c1655(敗退)8:08−c17059:19−c176510:17−大笠山11:03/11:14−避難小屋11:39/12:01−1552P12:39−前笈ガ岳12:57−1.6K13:47−桂橋14:43/15:08==くろばの湯15:57/17:04==道の駅上平17:25(泊り)]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗



○今回の主な目標は「笈ヶ岳」です。夏道がありませんから残雪期に登られる山ですが、地形図を検討すると、大笠山から県境稜線を2.5Kの藪漕ぎで到達いたします。ネット上には一昨年夏にT大ワンゲルが縦走した記録がありましたので・・・時間を掛ければ通過できそうです。大笠山まで1時間のところにある避難小屋からピストンで挑戦いたしましょう。

○今日は避難小屋までですから時間があるので、簡単な大門山に寄って行きましょう。ところが県道上平福光線が通行止めじゃありませんか!(開通していることが珍しいって本当だったんですね)仕方が無いので桂橋登山口に向います。登山口前の駐車スペースは一杯でしたが橋の向こう側が空いていました。

○出発準備をしていると『ブロロロー』と腹に響くエキゾーストで、山には不似合いな黒いシボレー・コルベット(スティングレー)の登場です。ちょっと変った単独行が下車し、さっさと登って行きました。我々も続きます。釣橋を渡るとイキナリ鉄梯子の連続です。縦走ザックが肩に食い込みバランスを取るのが難しいところですので慎重に登ります。50mほど高度を上げると細い尾根道となります。

○樹林帯の中の急登を黙々と歩きますが、荷物の重さに身体が音を上げます。前笈ガ岳は登山道から少し上った地点です。展望は良くありませんが三角点とベンチがあります。ここから2つ目のポコが1552Pで、岩峰からは周囲の展望が素晴しい。正面には大笠山から笈ガ岳への稜線が望まれ、隊長は食い入るように明日のルートを見つめます。登れなかった大門山への稜線もアップダウンがあり厳しそうです。

1552Pからは大笠山から笈ガ岳までの稜線を一望できる


基礎が曲がり傾いた避難小屋○4.8K道標を過ぎると避難小屋です。明るい鞍部に建つ小さな小屋は基礎が雪で流れ傾いています。中は埃っぽく清潔ではありませんが、箒がないので掃除ができません。小屋の前に水を引いたパイプがありますが、残念ながら水は通じていません。パイプに沿って200mほど藪をトラバースすると、結構な水量の水場がありました。

○明日のことを考えると稜線まで頑張ってテントを張りたいところですが、相棒の鴉天狗が腰を上げません。そこへコルベットーおじさんが下りて来て「明日はどちら〜」「笈ガ岳を狙ってます」「えー、そんなん聞いたこと無い。絶対途中敗退だ!」「・・・・・」言いたい放題喋って下って行きました・・・『悔しいなぁ』

早朝の大笠山山頂から笈ガ岳・白山を望む○朝起きると小屋の窓からは黒々とした笈ガ岳が正面に見え、満点の星空は今日の天気を保証してくれます。何とか5時に出発ですが、大笠山への登りで相棒の調子が出ません。前途に不安を抱えながら前進しますが、やがて縦走路に出ると200mで山頂でした。明るくなった山頂からは笈ガ岳が指呼の距離です。ピーカンの山頂からは360度の大展望が広がります。笈ガ岳の向こうには白山が大きな山容を見せています。

○笹薮に突入するとすぐに小潅木が行く手を阻みます。どうやらこれを乗り越えて進むしか道はなさそうです。背丈を越える藪が周囲の展望を奪い方向が定まりません。潅木を乗り越える時に次の目標と方向を定めて進みます。幸い朝露がありませんでしたので濡れる心配はいりませんが、埃っぽい粉が舞い上がり気管支を刺激いたします。

国土地理院25000分の1地形図「中宮温泉」○急斜面を下降中に潅木の枝から滑り落ちます。あっと思った時には身体が1メートルほど沈み込み、思い切り右膝を木にぶつけ目から火花が飛び散りました。こんなところで行動不能になったら助からないぞ・・・慎重に足を運びましょう。

藪を漕ぐ鴉天狗・・2m先ではもう判らない○微妙なラインで稜線が下降しており正確にトレースするのは難しい、少し歩き易いと思って下ると稜線から外れてしまい戻るのに一苦労です。ほぼ30分ごとにGPSで現在地を確認しながら進みますが、あまりの歩みの鈍さに次第に焦燥感が募ります。相棒は遅れがちで2mも離れると「オーイどこだぁ?」「ここ、ここ、ここ」と叫びながら進みます・・・吾は鶏か!

○「帰りのことを考えると、もう戻りたい」「何を言っている、まだ2時間も歩いていないぞ。体力・気力とも十分じゃないか」そうは言ったものの弱気の虫は伝染してまいります。少し藪を漕いだところでギブ・アップか・・・最低鞍部まで2時間の予定でしたが、まだ1時間は掛かりそうです、この調子では笈ガ岳に登っても今日中に帰って来れそうもありません。(N36.18.52 E136.47.25=これが登山隊の到達地点です)少々早いのですが隊長の敗退宣言となりました。

○藪の登り返しは半端ではありません。折から日差は強烈に降り注ぎ汗が噴出します。高い方へ進めば良いのでルートミスはありませんが、その替わりに時間は掛かります。すると前を行く鴉天狗が突然叫びました・・・一体全体どうしたのでしょうか?メガネが木の枝で吹き飛ばされたようです「何、予備のメガネを持っていないってぇ!」何を考えているのやら、藪漕ぎの常識を守らない奴に笈ガ岳は所詮無理だったのでしょう。

ようやく戻った大笠山山頂にて○激登3時間でようやく大笠山に戻りました。山頂広場に登山者を認めた時には正直ほっといたしました。一番乗りのご夫婦は誰も居ないはずの山頂に、反対側から突然現れた登山隊に驚ろかれたことでしょう。避難小屋まで戻ると2人連れが休んでいました。何と彼等は明日笈ガ岳にアタックする予定とのこと・・・好者はいたのですね。我々は敗退を告げ、早出をアドバイスして別れます。一人は若かったので成功の可能性はありますが・・・

五箇山の合掌造り○いち早く撤退を決めましたので、もう1泊せずに一気に下ってしまいましょう。途中で足を痛めた若い単独行を抜きますが、水が残り少ないとのこと、優しい隊長は500CCペットボトルを差し上げるのでした(お互い様ですから)下山後は人形山への林道入口を確認してから、くろばの湯で汗を流します。手足の打ち身・擦り傷の多さに改めて吃驚いたしました。五箇山の合掌造り集落など観光スポットを見ながら道の駅上平に戻ります。

○今回の反省点は中途半端な気持ちに尽きます。やはり1日で戻れないとの覚悟で装備を充実させる必要がありました(持参は水3L、ツエルト、シュラフカバー、食料1日+非常食でしたが・・・あと水1L、食料、ガスを持ちたい)何時の日にかリベンジしたいと思いますが、それまで笈ガ岳は遥かなる頂として、心の奥底に憧れを抱き続けることでしょう。





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