2つの権現山PartU
箒沢権現山〜畦ヶ丸〜屏風岩山〜世附権現山
丹沢湖から対岸の世附権現山を望む
【行程】 3/15(日)快晴 [たまプラーザ5:34=(東急・小田急)=新松田7:03/7:20=(富士急湘南バス)=箒杉8:26/8:32−785P9:18−箒沢権現山10:13/10:23−畦ヶ丸11:31/11:47−屏風岩山12:40−二本杉峠13:27−世附権現山14:08/14:18−ミツバ岳14:53−滝壺橋15:23−浅瀬入口15:49/15:59=(富士急湘南バス)=新松田16:50/16:54=(小田急・東急)=たまプラーザ18:09]
【メンバー】 隊長
○前回の2つの権現山ですが、南の世附権現山から北の箒沢権現山に縦走しました。ところが最後に訪れた箒沢の権現山は一般道が無くなっていて、後味の悪い尻切れトンボに終わりました。そこで今回は反対に北から南に縦走します。まず箒沢から権現山を直登したら、稜線を伝って畦ヶ丸まで行くことといたします。世附権現山からはミツバ岳を通って滝壺橋まで下りましょう。
○新松田からのバスは7割ほどの乗車でしたが大滝橋で半分下車しました(屏風岩山とか喋っていました)箒杉バス停で降りると目前に巨大な一本杉が聳え立っています。樹齢2000年とは驚きでした(杉の前に茶店があったのも新鮮な驚きです)少し先から茶畑を上ると登山口です。古い大きな表示板が立てかけてあり、掠れた文字は『登山○口』と読めます。安心して階段を登り左手の鹿柵を潜ります。
○杉林のなか尾根の緩い登りです。協同アンテナのケーブルが道に添って通り、歩くのに邪魔ですが仕方がありません。暫くして林道を渡ると傾斜は次第に急になり、やがてケーブルも消え735P(三角点)に到着です。ここから右に曲り尾根伝いの急登となります。
○ところがこんなマイナーな所に新しい踏跡があり不審です(霜柱の壊れ具合から本日のものでしょう)そこに点々と続く獣の足跡もあり、始めは鹿かと思っていましたが・・・粘土に残る肉球と爪の跡は?(爪が割れた鹿とか猪のものではありません)『この大きさは熊かも知れない!』隊長の脳裏に熊と遭遇した恐怖の思い出が蘇り、にやけた面にも緊張が走ります。
○標高850m付近の痩せ尾根を通過すると更に急登となり、岩が露出した登りが続きます。さして難しい所はありませんが、歩き難いこと甚だしく息が上ります。何時の間にか木々の間から真白な富士山が望まれ、暫し休憩して息を整えます。山頂直下では鹿柵を左に迂回すれば、土管の転がる懐かしの山頂です。
○驚いたことに山頂には2人連れが休んでいました。そばには大きな柴犬が繋がれているじゃありませんか『なぁんだ』判って見れば納得です。あの足跡は熊ではなく犬だったのです。隊長の勘違いを披露して大笑いしてしまいました。彼らも畦ヶ丸まで縦走するとか、まったく世の中には変人がいるものですね。
○西沢分岐までは崩れた痩せ尾根が続き、一寸たりとも気が抜けません。うしろの方から「ゆっくり、ゆっくり」と盛んに犬を牽制する声がいたします。微妙なバランスを要求されるザレた下りでリードを引っ張られたら・・・谷底まで一直線だぁ。
○西沢分岐からは作業道となり、ガレ場には梯子が掛かり整備がされています。やがて作業道は左に巻きますが、稜線上の踏跡を辿ります。踏跡はしっかりしていますしテープの類は豊富ですので迷う心配はありません。
○最後の急登が終わると背丈ほどの笹薮ですが、しっかりとした踏跡がありますので左右に掻き分けるだけで通過できます。ところが前方でガサゴソと怪しい物音がいたします。『まさか熊さんじゃありませんよね?』隊長はビビリながら笹薮の中で単独行を追い抜きました。きっと西沢から上ってきたのでしょう。
○最後は山頂の東端に飛び出します。ベンチで休んでいた登山者達が驚いた表情で迎えてくれました(奥穂高で馬ノ背からの登場に似ているなぁ)ここから二本杉峠までは2月に反対方向の縦走をいたしました。山も春めいてまいりました。前回は暗いイメージでしたが今回は明るい稜線です。2月初旬には人に出会うことも稀な縦走路でしたが、今日はそこここに登山者の姿を認めます(外人が多いのにも吃驚・・・きっとネットで紹介されているのでしょう)
○この縦走路には三椏の大群落があります。もう陽当たりでは花が咲き始めていますので、来週あたりから見ごろとなるでしょう。二本杉峠からは世附権現山からの下山者に出会うようになります「今から登り?何処から来た?」「畦ヶ丸から」「・・・」中高年パーティを呆れさせつつ、息を弾ませて30分の急登で待望の山頂です。
○山頂からミツバ岳への道は未知の下りです。始めのうちは境界見出し標にピンクテープが付けられて煩いぐらいでしたが、テープは途中から尾根筋を外れます。下りのルートファインディングは登りの何倍も難しい。古い怪しいテープとかペンキもあって迷わされますが、尾根筋を忠実に辿るのが間違いないようです。
○稜線が広くなり踏跡も薄くなると道に自信が持てません。地図と睨めっこで現在地を確認しますが、いまひとつ確信できません。不安な気持ちを抱えながら進みますと、前方に小さな道標が出現しました。なんとミツバ岳と書かれた山頂標識でした。ここで落ち着いて地形図と照合すると・・・随分と慌てていたのですね、今まで地図の浅瀬入口に下る尾根を見ていました。これでは地形図と合う訳がありません(大いに反省)
○ここからの下りは踏跡も乱れテープも入り乱れますが、黄色のスズラン紐を忠実に辿ることといたします。バスの時間も気になりますので一気に駆け下ります。勢い余って道路の崖上に出てしまいましたがご愛嬌です。無事に滝壺橋に降り立ち浅瀬入口まで道路を歩きます。
○本日は失われた路を求め2つの権現山を繋いでまいりました。最後に事前の情報不足から冷静な判断を欠き一瞬冷や汗を掻きましたが、迷いはハイキングコースから外れた道を歩く楽しみでもあります。静かな山旅の好きな隊長にとっては、丹沢のベストシーズンもそろそろ終わろうとしています。
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