茶臼岳・上河内岳

上河内岳から茶臼岳を望む


【行程】 9/27(土)晴れ [たまプラーザ0:26=(車)=易老渡6:20/6:57−面平8:38−易老岳11:11−希望峰12:41−茶臼岳13:29/13:44−茶臼小屋14:05(泊り)]
9/28(日)曇り [小屋5:32−上河内岳7:10−南岳7:46−聖平8:39−薊畑9:06−西沢渡11:20−便ガ島12:16−易老渡12:40/12:51==小川温泉14:38/15:22==たまプラーザ20:56]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗



○百名山ハンターだった過去を持つ隊長は、お手軽な急ぎ働きでピークを摘み食いしましたので、恥ずかしながら縦走路は赤線で繋がっていません。今回の南アルプス南部も聖岳から光岳の間は真空地帯となっていました。相棒の鴉天狗は学生時代の縦走中に上河内岳の肩までは行ったのですが、ピークは踏まず心残りとなっていたそうです・・・空身なら僅か数分のために標高差1500mを駆け上る友情に篤い鴉天狗でした(俺には真似のできないことです)

易老岳への路は木々の間から上河内岳が望まれる○易老渡からの道は9年前と比べるとだいぶ良くなっています。光岳への入山者が増えたためでしょう。今回は恐怖のヒルも姿を現さず快適な登山となりました(一気に高度を稼ぐ急登を除けばね)とくに三角点を過ぎてから易老岳への最後の登りが苦しく、先行するパーティにようやく山頂直下で追いつきました。前回は荷物が数キロ重かったのにタイムは15分も速かった・・・嗚呼、歳はとりたくない!

○茶臼岳まではなだらかな稜線です、希望峰を越えると樹林帯を抜け明るい草原となります。やがて木道となり池糖が現れると仁田池です。ここから岩稜をひと登りで待望の茶臼岳山頂でした。正面には上河内岳が鋭いピークを天中に突き上げています。その左側にはどっしりとした山容の聖岳がひときわ存在感を漂わせています。振り返れば緑の稜線が光岳まで続き、山の深さを感じさせます。初秋の南アルプス南深部の誰も居ない頂で、淡い陽光を浴びながら360度の展望に至福の時を過ごす登山隊でした。

○茶臼小屋では2階が冬季小屋として開放されていました。定員20名ほどですが小奇麗な居心地の良い小スペースです。小屋の前には豊かな水が流れていますので縦走路の貴重なオアシスです。テント持参組も全員が小屋に泊ることになり、宿泊は11名と寂しくはありません。この山域に小屋の営業が終わってから訪れるのはベテラン揃いなので気持ちが良い(泥酔して傍迷惑な相棒を除く)

上河内岳から黎明の富士山○朝になって小屋から顔を出すと、昨日は雲の中だった富士山が茜色に染まり正面に現れます。意外なことに皆さんの出発が遅いので、5時半発の登山隊が1番となってしまいました。稜線に出ると厳しい寒風に身体が縮み上がります。カッパに薄手袋と毛糸帽子で防寒すると、まるで冬山のようです。

○上河内岳の登りは思った以上に骨でした。肩を目指して一歩一歩進みますがなかなか辿り着きません。それでもコースタイムを大幅に短縮しましたから息が上がるはずです。肩から山頂までは空身でピストンしましょう。まだ完全に明けきらない黎明の大気に山々の頂が静かに佇みます。聖岳の奥には赤石岳、荒川岳が連なり、豪華な3000m峰の競演です。聖平からの2名と後から来た2名の6名で山頂は賑わいます(この山域の周囲数キロの人間が全て一点に集中しました)

次第に大きくなる聖岳○ガレた道を下って行くと眼前の聖岳が次第に圧し掛かるように大きくなります。やがて樹林帯を抜けると明るい聖平です。小屋はすぐそこですが水をたっぷり持っているので立ち寄らず先を急ぎます。薊畑分岐のガレからは今まで辿ってきた縦走路が一望のもとです。雄大な展望を瞼に焼き付けたら、別れを惜しみつつ原生林の中へと下ります。

○急降下に次ぐ急降下で、見る見る高度を下げて行きます(30分に400m)途中でサブザックの日帰り組とすれ違いますが、急登をものともせず元気の良いこと。やがて縦走組が現れますが、こちらは青息吐息でご苦労様です・・・まだまだ先は長いよ〜

野猿に乗って西沢を渡る○途中、何ヶ所か悪い所もありますが、ロープもついて慎重に歩けば通過は問題ありません。沢音が聞こえ出してからが長かった。ようやく西沢へ向かって下ると藁葺屋根の廃屋が見えてきます。庭先を通って河原に下りると西沢渡しです。水量が半端でないので渡渉は諦め、野猿を利用させてもらいます。思ったより力が必要で、腕は筋肉痛になってしまいました(情けなぁ〜)

○遊歩道のトンネルを抜けたところで、地図には無い便ガ島へ直接下る道があり助かりました。易老渡まで林道を歩き、無事に愛車とご対面です。帰り道では小川温泉(循環ですが鄙びている)につかり汗を流します。山の気をもらった隊長は、中央高速20Kmの渋滞をものともせず無事に帰宅いたしました。

○オフシーズンに入ったばかりの南アルプス深南部は人影もまばらで、ゆっくりと山と対話ができました。でもあれだけの標高差を縦走ザックで登ったのに、山中わずか1泊とはもったいない。ところが帰りの車中から雨となり、月、火と雨が続きますと登山隊の悪運の強さに驚きを禁じえません。計ったように晴れ間を掴んで、透明な秋風のように爽やかに通り過ぎていった彼方・・・(ちょっと美化しすぎたか)



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