中央アルプス南部縦走

空木岳〜南駒ヶ岳〜越百山〜奥念丈岳〜安平路山〜摺古木山

安平路避難小屋と安平路山


【行程】 9/12(金)曇り [新宿21:30=(高速バス)=]
9/13(土)曇り時々晴れ [=駒ヶ根0:52/1:00=(タクシー)=池山登山口1:32/1:50−(迷15分)池山小屋3:32/5:25−マセナギ6:24−空木平分岐9:08−空木岳10:25/11:06−摺鉢窪避難小屋12:39(泊り)]
9/14(日)晴れのち曇り [小屋4:19−稜線4:52−南駒ヶ岳5:31−越百山7:38−南越百山8:07−ガレ9:15−奥念丈岳10:20−袴腰山11:40−松川乗越12:25−浦川山13:36−安平路山15:18−安平路避難小屋16:00(泊り)]
9/15(月)晴れ [小屋6:30−白ビソ山7:08−摺古木山8:23−大平宿11:47/12:11=(タクシー)=天空の城12:54/14:00=(タクシー)=飯田14:07/16:00=(高速バス)=新宿21:27]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗



○相棒の鴉天狗が安平路山に行きたいと希望です。どうせなら三連休を利用して空木岳から縦走しようということになりました。ところが最新のエアリアマップには越百山から安平路山までの縦走路は笹薮が酷く通過が困難と書いてあります。一応は破線となっていますがネットでは通過報告も多数ありますので挑戦してみましょう。

○最終の高速バスは午前1時に駒ヶ根着と中途半端です。一緒に降りたパーティがタクシーで出発したのに釣られて登山隊も山に向かいました。登山口では先発のタクシー組みが頼みの東屋にテントを張り占拠してしまいました。仕方が無いので暗い中を出発いたします、幸い月も出ているし遊歩道なので路は良い。

○1時間強で水場に着きましたが、池山小屋がございません。池山方面に少々笹を分けますが見当たらず水場まで戻ります。ほんの少し空木方向に進むと小屋への分岐があり一安心です。立派なログハウス風の小屋へ入り仮眠いたします。単独行の方が寝ていました。

○今日、明日は水が得られないので各々4リットル背負います。この先の遭難碑は前回リングワンデリングをした苦い場所です、慎重に参りましょう。ところが路傍にあるはずの遭難碑が無い!狐につままれた隊長は首筋に鳥肌を立てながらも、後ろを振り返ることなく前進するのでした。

赤椰岳から空木岳を振り返る○それでも空木平分岐までは快調に進みます。ここで雨がぱらつきましたがすぐに上がります。ここからは花崗岩の白砂の稜線漫歩です。右手には中央アルプス主稜線から宝剣岳と木曽駒ケ岳のシルエットが続きます。駒石で遅れがちな相棒を待ちますが、微かに二の腕の内側がチクリといたします。何だろうと覗くとダニが喰いついているじゃありませんか。昨晩の池山への道で付いたに相違ありません。笹薮恐るべし!

○駒峰ヒュッテを過ぎると山頂は目の前です。前回は嵐の中の登頂でしたが今回は360度の展望が得られました。まったりと昼食を取ります。まだ時間は早いのですが摺鉢窪避難小屋に泊まることにしてカールへの道を下ります。崖の際に建つ小屋は今にもガレに飲み込まれそうですが、明るくて快適な小屋でした。本日は学生さん3名と単独行と都合6名の余裕の宿泊です。

仙涯嶺から越百山を望む○『人が寝ているのに3時からラジオかよ!』常識はずれなオジサンに腹を立てますが、早立ちは望むところの登山隊です。文句も言わずにランプを頼りに稜線に這い上がります。南駒ヶ岳の山頂に着くと周囲のガスが流れ大きな空木岳が現れました。ここから越百山まではアルプスらしい岩稜の道ですが、今日の主役ではありませんのでくどくどとは述べません。

○さて南越百山を越えるといよいよ藪が始まります。古いアルペンガイドでは5時間半ですが最新のエアリアでは破線の9時間半です。半信半疑ながら17時到着予定で藪山に突入いたします。2454Pを過ぎた辺りで左に尾根から外れますが、そこでテープが途切れました。

○稜線にトラバースして中央突破を試みますが難しい。地図を見ながら胸までの笹薮を掻き分け、尾根から離れないように下ります。気が付かないうちに傾斜線との関係で南南西から南南東へ下り始めていました『ヤバイ!』冷や汗をかきながら尾根上に戻るとテープを発見、相棒に呼子で知らせます。

背丈を越える笹薮と格闘する○木曽側がガレた鞍部で一休みして、奥念丈岳の登りに掛かります。時に背丈を越える笹を掻き分けながらの大変なアルバイトでした。手前のピークに騙されて疲れが倍加しましたが、何とか奥念丈岳に着いたのはエアリアのコースタイム通りでした(情けなぁ)

○念丈岳への道を分けると袴腰山を目指します。ここで単独行の女性と3人パーティとに相次いで擦れ違います『あんたも好きねぇ』とエールを交わしお互いの健闘を称えながら別れます。暫くの間は人の通った跡が残り順調に進むことができました。しかし気温が上がり始め袴腰山に着いた時には意識は朦朧となっていました。水は2リットルしか持っていませんので、残り時間との兼ね合いで水の消費を制限しながらの行動です。

○袴腰山の下りは真っ直ぐ進まず、木に打ち付けられた古い道標に従って東へ回り込みます。松川乗越までは笹は被りますが、踏跡がしっかりしているので順調にタイムを短縮できました。浦川山への登りも背丈を50Cmも越える笹藪でしたが抉れた道があり、足元の踏跡を外さないように笹のトンネルを潜りました。ルートファインディングから離れ単なる体力勝負となり、咽の渇きと闘いながら必死に前進を続けます。

○浦川山、小茂吉沢の頭を越えると安平路山への最後の登りです。浦川山で雨が落ちてきたのでカッパを着用します。雨が上っても笹が濡れているのでビショビショです。小茂吉沢の頭を越えたところで鴉天狗の靴紐が解けました。笹の中でしゃがみ込んで締め直し、もう片方も直します。立ち上がると反対方向に歩きはじめ隊長を驚かせます『なるほど思い込みとは怖ろしい』冷静な同行者が居なければ迷子になるところでした。

○安平路山へは直登ではなく右にトラバースしてからの急登です。少ないマークを拾いながら藪を漕いで山頂に辿り着きました。暗い山頂には展望はありませんが、輝くような山頂標識が我々を向かえてくれました。ここからは笹は被るものの歩き易い一般道となります。

遥か遠くに南駒ケ岳の双耳峰が眺められ感無量!(避難小屋の前から)○ところが鴉天狗が職場のボケじいさんから聞いた水場に関するガセネタに振り回され、水を取らずに小屋に着いてしまいました(・・・責任を取って鴉天狗が水汲みに)笹原に建つ避難小屋は快適そうでしたが、前泊者が戸を開け放しておいたので沢山のハエが入っていました。まずハエを追い出し室内の掃除を済ませると綺麗な小屋に変身です。

○翌朝はゆっくりと起きます。小屋の窓越しに南アルプスからのご来光が眺められ贅沢な一瞬でした。摺古木山までは結構な笹薮でした、朝露にカッパの上下はビショビショです。日帰り登山者とすれ違うようになると、最後の短い急登で一等三角点の鎮座する摺古木山でした。遥か遠くに南駒ヶ岳の双耳峰が眺められ感無量です。携帯でタクシーを呼び下ります。

○林道終点の休憩所までは良い道でした。大平宿まで車の通らない林道をゆっくりと下ります。タクシーで飯田の「天空の城」温泉に行き、蕎麦屋で打ち上げをしてから高速バスで帰りました。今回は通行困難の笹薮ということで心配していたのですが、いつの間にか登山隊の実力も向上していたのですね。天気にも恵まれて藪漕ぎを堪能した中央アルプス南部縦走でした。



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