白馬岳・唐松岳・五竜岳

五竜岳から唐松岳・白馬岳方向を望む


【行程】 10/5(金)晴れ [新宿22:45=(バス)=]
10/6(土)曇りのち晴れ [==白馬5:35/5:58=(バス)=猿倉6:20/6:40−白馬尻7:29−避難小屋跡9:43−村営頂上宿舎10:31/10:54−白馬岳11:25/12:16−小屋12:46(泊り)]
10/7(日)快晴 [小屋6:33−杓子岳7:22−鑓ヶ岳8:03−天狗山荘8:38−不帰キレット9:49−不帰U北峰10:38−唐松岳11:34−五竜山荘13:45/13:59−五竜岳14:53/15:12−小屋15:51(泊り)]
10/8(月)雨 [小屋6:06−中遠見山7:24−アルプス平8:25/8:30=(テレキャビン)=とおみ8:39−神城8:59/9:00=(JR)=長津田15:22/15:30=(東急)=たまプラーザ15:40]
【メンバー】 隊長



○北アルプスに3大キレットがあるという。すでに槍・穂高間の大キレットと五竜・鹿島槍間の八峰キレットは通過しましたので、今回は白馬・唐松間の不帰キレットへの挑戦となりました。北側の天狗山荘は9月末で閉鎖されたので白馬からの長丁場となります、軽量化に徹して駆け抜けましょう。

○今回も「さわやか信州号」のお世話になります。とこおが隣の兄ちゃんがトンデモナイ奴で「栂池から扇沢までテント1泊で」とかのたまう。ちなみに明日は五竜まで行くらしい。何だか異星人を見るようで、アホらしくて話を聞く気にもなりません。

○猿倉からは大雪渓を登りますが、このシーズン雪渓はかなり上の方に小さくなっています。それでもアイゼン装着した安全指向の登山者もいたりして驚かされます。朝方の気温が低いので雪は固いのですが、踏み跡が続きますのでつぼ足でもノープロブレム。

鋭角的な白馬岳○下を向いて先行者を追っていくと次第にきつくなる傾斜に足元は覚束きません『こんなにきつい傾斜あったかなぁ』スプーンカットに足を置いて慎重に体重移動をいたします。ふと右下を覗くとメインルートから左の山裾に大きく外れていることがわかりました(危ない、あぶない)

○葱平を過ぎ急坂を喘ぎながら登ると避難小屋のはずですが・・・あの小さな気持ちの良い小屋の姿が見当たりません(正確には土台だけは残っていますが)9年前には木の香りのする新しい小屋でしたが、一体全体何があったのでしょうか?仕方が無いのでそのまま進み4時間弱で頂上宿舎に着いてしまいました。

○天気も良くなってきたので山頂まで散歩に出かけましょう。前回は嵐のなかガスで何も見えなかったのですが、今日は鋭角的なピークと絶壁が手に取るようです。山頂からは槍・穂高をはじめとする北アの山々、遠くには北岳・甲斐駒と南アの山々、八ヶ岳の右には富士山まで見渡せました。谷を隔ててピラミダルな剣が正面に聳え、北方稜線の先には懐かしの毛勝三山が手に取るよう。北には雪倉、朝日と栂海新道、日本海を隔てて能登半島が遠望されます。

○右も左も懐かしい思い出ばかりの山々に、時間の経つのも忘れ見とれてしまいます(小屋に帰っても晩飯までやることないしー)混雑を心配していたのですが、詰め込めば48人の部屋に3人は寂しすぎる。おまけに放射冷却でマイナス5度とは寒すぎです。

杓子岳と鑓ヶ岳○朝食が6時からなのでちと遅立ちです。身の引き締まるような寒風を衝いて歩き出します・・・それにしても強風です。折角だから杓子岳に寄って行きましょう。それにしても直登ルートは息が上がります。鑓ヶ岳に着いたら早くもへばってしまいました(情けなぁ)

天狗の大下りから不帰ノ峰T・U峰○天狗の大下りはキレットに向かって300mを一気に下ります。眼前の不帰ノ峰がどんどん高くなり、気持ちは逆に奈落の底に堕ちて行きます。いよいよ核心部のU峰の登りです。T峰とのコルからイキナリ厳しい岩場ですが、鎖、梯子は十分にありますので高度感さえ克服すれば容易いものです。

○ところが伏兵が現れました。先ほどまで順調に登山者を追い抜いて来たのですが、天狗の大下りからぴたりと背中に付いてくる単独行がいます「はぁはぁ、ぜーぜー」言いながら後ろを気にしつつ鎖場を攀じ登ってはいけません。注意が散漫になり事故の元じゃありませんか!不帰U北峰に着いたときには息も絶え絶えでしたが、素晴らしい展望に呼吸の回復も早かった。

唐松岳から五竜岳を望む○唐松岳までは少しの頑張りで到着です。山頂は鈴なりの人混みですからザックも降ろさず早々に出発です。唐松小屋からは鎖の厳しい道が暫く続きます。最低の鞍部の先で登山者が「テレキャビンはまだ先ですか?」八方尾根から登ってきたようですが「往復するのもなんだから2時間半と聞いてきた」「って、あんた、それは五竜山荘までの時間でっせ、そこから3時間45分もかかるよ」『確かテレキャビンの最終は4時15分だったはず、地図も持っておらず大丈夫かこのオジサンは?』(午後1時ごろのお話)

○明日は天気が崩れそうなので五竜岳に登ってしまいましょう。山荘からは空身ですがもう脚が思うように上がりません、コースタイム通りとは情けなぁ。山頂からは360度の展望です。鹿島槍の双耳峰がすぐ目の前にあり、黒々とした剣岳とは谷を挟んで対峙します。遥か彼方に白い鑓ヶ岳と三角錐の白馬岳が望まれ、本日の激登の足跡を目で辿り感慨にふけります。

○翌朝は嵐の中を出発です。今日は遠見尾根を下るだけなのでゆっくりと参りましょう。ところが前に人が居ると追い抜きたくなる・・・悲しい性。次々と追い抜いてゆくうちに先頭に立ってしまいました。堂々始発のテレキャビンに乗って下ります。びしょ濡れで神城に着いたら電車が入ってきました。それからは各駅停車の旅を楽しみながら帰りましたとさ(下山で追い抜いた人たちには満員の「あづさ」で抜き返されたのでしょう)念願のアルプス3大キレット制覇を果たし満足気な隊長の寝顔はやすらかでした。



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