ククリ岩・二子岩

二子岩西峰からククリ岩を望む


【行程】 4/14(土))晴れ[たまプラーザ4:10=(車)=三段の滝駐車場7:33/7:52−碧岩分岐8:41−二股9:48−二子岩コル10:33−東峰10:42−ククリ岩11:33/11:57−東峰12:32−コル12:42−西峰12:51−コル12:59−二股13:23−碧岩分岐14:17−駐車場15:00/15:17==かぶらの湯16:00/16:35==たまプラーザ19:40]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗、ABちゃん



○西上州の藪山探索に最適な季節となりました。本日は長年あたためていた“幻のピークを踏む”という企画を実行いたします。特別ゲストは『東京の山は人が一杯で・・・(溜息)』という北海道のABちゃん。ホームシック気味の彼に静かな山旅を味合わせてあげたいという隊長の兄心(優しいなぁ)で同行いたします。

西上州最大の三段の滝が眼前に現れる○東京を出る時に降っていた雨も下仁田ICを降りる頃には晴れ間も見えるほどです。桜が満開の寒村を縫うようにして熊倉まで入ります。駐車場には他に車は居ませんから、本日は山を独り占めできそうです。三段の滝までは沢沿いの遊歩道で、滑り易い木道の橋に気を付ければ問題なし。やがて正面に三段の滝が見えてきましたが水量は大したことありません。朝方までの雨の影響は少なく居合沢の遡行に支障はなさそうです。

二子岩?興味津々で8年ぶりに再訪です○滝の左岸の壁を登ると碧岩への分岐に出ます。この道標の居合沢方面には「二子岩」と書いてあり、前に碧岩に訪れた時に不思議に思ったものでした。まさか8年後に訪れるとは夢にも思いませんでした。居合沢の遡行は難しい所はありません。微かな踏跡が沢沿いに続き飛び石伝いの渡渉を繰り返しますが、靴を濡らすことはありませんでした。

○やがて涸沢に近くなると二股となりテープに導かれて左の尾根に向います。本当はもう少し本流を詰める予定でしたが自信満々のテープを信じることにいたします(これが混乱の始り)ザレた急登を必死に登り谷を渡り支尾根を攀じ登った登山隊の前に聳え立つ岩壁。現在地点に自信のないまま壁の下を右に鹿道をトラバースすると岩峰基部のコルに到着です。

ククリ岩登りから二子岩を振り返る○ここは何処?(GPSがあるのに何やっているんだか)ここまで追ってきたテープは無情にも垂直岩壁の遥か上方で風にはためき登山隊を嘲笑っているようです。心を落ち着けて地図を読み、南東に見えるククリ岩らしき藪山に向います。最初のピークに立ちようやく現在地が判明(遅いって)ここは二子岩の東峰だったのです。すると先ほどの岩峰は西峰です、どおりで厳しい岩山でした。

○ククリ岩への道は微かな踏跡を辿ります。テープは時々ある程度ですが、この季節は葉が落ちて見通しが利きますから尾根を外さねば迷う心配はありません。藪も思ったより少なく難なく突破し体力の消耗は防げました。ほとんど獣道で鹿の糞が落ちていますが、心配していた熊のものはありませんでした。

ククリ岩山頂にて登頂を喜ぶ登山隊員○明るい山頂には三角点と小さな山名標識が我々を迎えてくれました。展望は利きませんが西上州の奥深い山頂に立った感激はひとしおです。帰りは写真を撮りながらマッタリと下りますが、途中でラストの鴉天狗が行方不明です。こんな山奥で迷子になったら一生のお別れでしょうが、パートナーとしては何とも寝覚めが悪い。強風が唸りを上げていますから叫んでも聞こえません、必死で呼子を吹き鳴らし現在地を知らせます。どうにか事なきを得ましたが、藪山の鉄則を守らないアホ天狗の緊張感の欠如には困ったものです。

○さて西峰の基部に着きましたが如何いたしましょうか?「僕はここで待っています」とABちゃん「俺は恐いのは嫌だ」と鴉天狗。なんたる弱気、とてもあのオベリスクを攀じ登った精鋭の口から出た言葉とは思えません。正面の壁は手強いので左手の凹部から攻めましょう。空身ですが念のため補助ロープを腰に巻いて行きます。少し上のトラバースで早くも鴉天狗がギブアップです(どうした?)

そそり立った二子岩西峰○西上州の岩場は木の根や潅木がありますから難度は見た目より低いのです。身体を入れ替えながら着実に上方を目指します。直登ルートと合流すると高度間溢れる稜線となりますが傾斜も緩くなり難なく登頂です。ピークの展望はいまひとつですが浅間山や碧岩・大岩が眺められます。少し下からはククリ岩が正面に眺められ感慨を新たにいたします。

○慎重に下ると思ったような危険な場所もなく無事にコルに戻りました。ここから北に向って碧岩沢を周遊して帰る予定でしたが、時間も押してきているので無理せずに来た道を戻ります。ザレ場では落石に注意しながら転がるように居合沢まで下ります。

○三段の滝まで下りて来ますとオジサンが一人で休んでいました。これが本日初めてかつ唯一の山中で出会った人間です。本当に静かな山旅を堪能できました。ところが駐車場に着いたら車が5台もあるじゃありませんか、意外と碧岩方面は人気なのかもしれません。帰りには「かぶらの湯」にて汗を流しますが、建物は立派ですが塩素臭いまがいもの温泉でした。

○本日は天候にも恵まれて心に残る素晴らしい山行をすることが出来ました。一人では到底たち向うことが出来ない手強い山でしたのでメンバーに感謝です。それにしてもABちゃんは何という強運の持ち主なのでしょう、最初から西上州のエッセンスの詰った最高の山旅に参加できたなんて。まあ隊長も北海道では散々美味しい思いをさせていただきましたので相子かな。



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