天狗山・男山

男山手前のピークから天狗山を振り返る


【行程】 6/24(土)晴れ [御座山=>馬越峠11:53/12:00−天狗山12:48/13:00−垣越山13:43−男山14:27/14:40−登山口15:47/15:58=(タクシー3800円)=馬越峠16:15/16:19=(車)=ヘルシーの湯こでまり16:40/17:28==たまプラーザ20:20]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗


○御座山があまりにも簡単に済んでしまいましたので、天狗山・男山に転進いたします。狭い峠道をグイグイ登ると標高1600mの馬越峠で数台の駐車スペースがあります。折角だから東から西へと縦走しましょう。縦走中に出会った登山者は馬越峠から天狗山往復の夫婦連れだけの静かな山域でした。

○いきなりの急登に脚が言うことを聞きたがりません、騙しだまし脚を進めて最初のピークに辿り着きました。朝の一山は伊達ではありませんでした、これでは先が思いやられます。岩稜に出ると前方に天狗山の奇形が覆いかぶさるように行く手を阻みます。根性を入れて一歩一歩前進して行くと北方に先ほど登った御座山が眺められるようになりました。午前中にすれ違った方々はもうあの山頂でしょうか。

天狗山から男山を望む○大汗をかきながら辿り着いた山頂は360度の大展望です。これから向う男山までは嶮しい稜線が続いています。西に向かって下り始めますが岩場の道は次第に南に向かい、木々の間から眺められる稜線から外れて行きます。不安に慄きながら下るうちに、ようやく北に回りこむようになり一安心です。山頂直下の西面には絶壁があり南に大きく回りこみながらの巻くようになっています(岩マークだらけの地図からは読み取ることが難しい)

○200m弱下ると100m登り返して垣越山です、ここからは西上州のような岩稜地帯のポコをいくつも越えてまいります。ピークごとに男山の姿が大きくなり振り返れば天狗山が天に突き上げるような奇岩ぶりを見せてくれます。

○男山の手前のピークは北側を巻き再び稜線にでます。あと少しで信濃川上分岐というところで事件は起きました。鴉天狗の30mぐらい先を歩いていたのですが、突然10mぐらい斜め先で獣の唸り声がいたします「グワッ、グワッ」威嚇するような声に思わず足を止めて林の中を覗くと、黒い物体がグルグル回っているようです。

○最初は野犬と獣の喧嘩かと思いましたが、突然黒い物体はこちらに向って走り出しました。えっ何?「くく熊だぁ〜」叫んだつもりでも大声にはなりませんでした『こっちへ来るなー』との願いもむなしく物凄い勢いで突進してきます。パニックに陥っても可笑しくない場面でしたが、何がなんだか解らない一瞬の出来事でしたから意外に冷静でした『来るなら来い!』と開き直り静かに睨み返します。

○すると奇跡がおこりました。歯を剥いた熊は隊長の僅か3m手前で急停止すると踵を返して斜面を駆け下りて行きました。あまりのショックに暫く動けない隊長でしたが、鴉天狗が追いついてきました「今、熊がすぐそこまで迫って来た」と言ってもなかなか信じられないようです。そりゃそうでしょう私が反対の立場だったら俄かに信じがたい。

○ところがガサッ、ガサッという音とともに黒い小さな物が木から転げ落ちてきました。小熊が木の上にいたのです、道理で親熊が必死に威嚇していたわけです。一目散に逃げる小熊を後に登山隊も全速力で離脱したのは言うまでもありません。

男山山頂にて(後ろに天狗山)○信濃川上への分岐を過ぎるとひと登りで男山です。こちらも明るい山頂で展望は群を抜いています。奥秩父や佐久の山々を眺めながらからなかなか腰の上がらない隊長です。そりゃそうでしょう熊の逃げた方角に下山路があるからです。意を決して呼子を吹きまくりながら騒々しく一気に下山いたします。

○急降下を15分で林道跡に出てあとは麓まで続く長い道を辿ります、曲がり角では必ず呼子を吹いて賑やかなことです。男坂団地裏の登山口でタクシーを呼んで馬越峠まで車を回収に戻ります。最後に川上村営の『ヘルシーの湯こでまり』にて汗を流し緊張を解いてから帰ります。

○今まで40年近く山を歩いてきましたが、熊に接近遭遇する機会はありませんでした。でも今回の出会いで本州のツキノワグマも子連れは凶暴だということが実感できました。本当に危機一髪で危うく社会面を賑あわすところでしたが、九死に一生を得て無事に下山することが出来ました(これからは面倒がらずに熊鈴をつけて歩きましょう)

○熊の親子の会話
「かあちゃん、今日は恐かったよー」
「ゴメンネ坊や、置き去りにして逃げたかあちゃんを許しておくれ」
「これからは木登りの練習は人間の来ない場所でやろう」
「そうね朝晩がいいわね」





2006年の記録へ