十文字峠

シャクナゲ尾根〜十文字峠〜三国峠

奥秩父らしい十文字山の山頂


【行程】 10/29(土)曇り一時小雨 [池袋8:06=(西武池袋線・秩父鉄道)=三峰口10:10/10:29=(西武バス)=相原橋11:17/11:25−稜線13:30−1560P14:33−巻道16:05−白泰山避難小屋16:47(泊り)]
10/30(日)曇り [小屋6:12−鍾乳洞入口7:12−林道8:03−四里観音避難小屋8:49−十文字峠9:42−弁慶岩10:50−白岩11:20−悪石山12:16−三国峠12:34−梓山14:15/14:45=(村営バス)=信濃川上15:12/15:18=(JR)=小淵沢15:59/16:12=(あずさ26)=新宿19:15]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗


○6月に秩父槍ヶ岳へ登った時に稜線上を南下する踏跡に心踊ったのは隊長だけだったのでしょうか。その後ネットで調べるとシャクナゲ尾根の通過情報が僅かですがありましたので、チャレンジしてみましょう。三峰口を朝1番のバスには間に合わないので2番のバスですが、登り出しが11時半とはちと遅い。

秩父槍ヶ岳の勇姿が間近に望まれる○天気予報に反して日が差す陽気に気分は上々、相原橋から沢沿いの遊歩道を緩々と登ります。やがて支尾根に出てからは喘ぎながら高度を稼ぎ、槍ヶ岳の勇姿が木々の間から望まれるようになるとシャクナゲ尾根は近い。コルに立つと前回は北上した稜線を南下いたします、微かな踏跡とテープが通過に安心感を与えてくれました。

○藪は思ったより酷くなく適度な手足の運動程度、小さなアップダウンを繰り返しながら尾根を外さないように忠実に辿ります。急な斜面を登ると木々に囲まれた1560三角点です。ここからテープは西に下り中津川からタツマノ尾根を通る巻道に続いているようですが、我々は日和見せずに南下を続けましょう。

始めは小潅木の藪で通過は簡単○踏跡は極端に細り岩峰で途切れます、少し戻って右から木の根に掴りながら20m程クライムダウンして岩裾をトラバースします。次第に濃くなる笹薮に行く手を阻まれ、通過には多大な労力を要し始めました。何の因果か縦走ザックで藪漕ぎし疲労困憊、おまけに小雨が降り出し泣きたくなります。ほぼ1時間の格闘の末に稜線の右に藪の薄い地点を発見し一息入れピークを目指します。

○次のコルに壊れた道標を発見!『白泰山避難小屋まで750m』ついに巻道に出たのです。格段に良くなった道を白泰山に向かって必死に登りますが、曇天の空は日没を待たずに意外な勢いで暗くなりつつあります。何たることでしょう、やっと着いた主稜線には道標の杭だけ残っていますが標識が全くありません・・・右か左かそれが問題です

○鴉天狗が「エアリアでは右だったような気がする」と言うので、5分進んで無かったら戻ることにします。少し行くと『白泰山避難小屋』『分岐まで4K』という不思議な道標が白樺に打ち付けてありました。誰の悪戯でしょうか、先ほどの道標の標識かと頭を捻りながら想像しますが混迷は深まるばかり。その時ふと足元を見ると薄暮のなかに周囲に溶け込むような深緑の小屋の屋根が見えるじゃありませんか「小屋だ!」間一髪で暗くなる前に間に合いました(赤とかもっと目立つ色の屋根にしてくれぃ)

○小屋は我々の貸切でした。35年前に訪れた時にはログハウス風の新築でしたが、同じ場所に建替えられた小屋は頑丈なコンクリートです。居心地は良いのですが水場はありません。翌朝は出発前に覗岩から黄色に染まった山肌を一望します、ガスが流れて幻想的な光景に息を呑む隊長でした。

○昨日に比べればハイウェイ並みの整った縦走路です、奥秩父らしい鬱蒼とした原生林のなか薄いガスに包まれ幽玄とした雰囲気でした。しかし必要の無い場所に傍若無人に貼られた見苦しいピンクテープが目に付きます。犬のオシッコじゃあるまいし、マーキングをして山を汚す不心得者を許すことはできません。特に酷いのは50センチもヒラヒラと風に靡いているじゃありませんか、隊長の堪忍袋が切れました・・・それからは不要なテープを回収して山のお掃除です

弁慶岩を振り返る○十文字峠は昔に比べると随分と明るくなりました。山小屋も大きくなり十文字山にかけて森が薄くなったのがちょっと気に懸かります。ここでも自然破壊が進行しているようです。三国峠までは紅葉が真盛りの尾根を歩きます。弁慶岩で初めて人に出会いました、白岩付近にも4名のパーティが入っていましたが、本当に人の少ない静かな山旅です。

稜線上は唐松の紅葉真っ盛り○最後に悪石山を越えると中津川林道の通る新三国峠に着きました。梓山まで舗装道路を2時間半のコースタイムですが、バスの時間まで2時間強しかありません「こりゃ大変だ」隊長の脚は高速モードに入るとともに、林間のショートカットを多用して短縮に努めます。黄金色に輝く唐松林が一面に広がり、ハラハラと風に舞う落ち葉の針を浴びながら進みます。

○最後のお得な短絡路は30mの絶壁です。果たしてこんな急な崖を降りられるのでしょうか。一瞬の逡巡の後に義経モードで駆け降ります、ところが茨に突っ込み手足は傷だらけ、装備はボロボロです『鴉天狗と山に行くと碌な事がない』・・・きっと向こうも同じ思いでしょう。とんだ頑張りのお陰で梓山には早く着いてしまい、汗が冷えて寒いなか30分もバスを待つことになりました(情けなぁ)



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