栂海新道

雪倉岳・朝日岳・黒岩山・サワガニ山・犬ヶ岳・下駒ケ岳・白鳥山

黄蓮山から犬ヶ岳を振り返る


【行程】 10/7(金)雨 [新宿23:54=(ムーンライト信州81号)=]
10/8(土)曇りのち雨 [=白馬5:36=(バス)=栂池高原6:12/6:56=(ゴンドラ)=栂池自然園7:27/7:33−白馬大池10:12−三国境12:21−雪倉避難小屋13:36(泊り)]
10/9(日)ガスのち曇り [小屋6:00−雪倉岳6:30−水平道分岐8:16−朝日岳9:24−千代の吹上9:45−照葉の池9:59/10:19−黒岩平11:51−黒岩山12:16−文子の池12:42−サワガニ山13:27−北俣の水13:59−犬ヶ岳14:36−栂海山荘14:43(泊り)]
10/10(月)曇り[小屋5:22−黄蓮山6:21−菊石山7:00−下駒ケ岳7:35−白鳥山8:35−シキワリの水9:30−坂田峠10:10/10:25−尻高山10:56−入道山11:42−国道8号12:28−日本海12:34−ホテル親不知12:49/14:09=(車)=親不知14:19/14:28=(JR)=糸魚川14:43/14:51=(はくたか13号)=越後湯沢16:11/16:19=(谷川448号)=東京17:48]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗


○北アルプスの白馬岳から日本海に続く稜線を歩いてみたいと思ったのは何時のことだったでしょう。学生時代(37年前)に出来た憧れの栂海新道を歩く機会がようやく訪れました。登山隊御用達の急行アルプスは知らない間に廃業となって、今では臨時快足のムーンライト信州号が取って代わり時代の流れを感じます(お陰で急行券は不要となりました)車窓に強く叩きつける雨がネオンの影を滲ませる新宿の街を後にいたします。明日の天気に不安を抱えながらシートにうずくまる隊長の胸中は如何に?

○ゴンドラを乗り継ぎ自然園に着いたらどんよりした空を見上げながら出発です。今日は午後から崩れる予報なので急ぎましょう。ところが天狗原に着いたらもう雨が落ち始めました、慌ててカッパを着てガレ場を登ります。本日は朝日小屋までの長丁場を計画しています、明日の行程を考えると是非とも実現したいところです。ガスに煙る白馬大池はナナカマドの紅葉に彩られ秋の深まりを感じさせます、ゆっくりと観賞したいところですが休まずに登り続けます。

○稜線を歩くうちに次第に雨脚は強くなり横殴りの強風が雨粒を叩きつけます。三国境では冷たい雨に休憩もそこそこにして急いでザレた道を下ります。暴風雨の中を単独行氏と前後して雪倉避難小屋に倒れ込むように到着です。ゴーゴーと鳴る風音とバラバラと打ち付ける雨音に戦意喪失、まだ時間は早いものの今日はここで泊りといたします。本日は8名の宿泊で、明日は我々と単独行氏の3名が栂海新道を目指します。

○寒い夜が明けても天候は回復いたしません、単独行氏は雨を衝いて5時15分に出発です。少し明るくなってようやく雨は収まりましたので、遅れた登山隊もガスの中を雪倉岳まで一気に登ります。小桜ヶ原の木道を過ぎると朝日岳の急登に掛かります、森林限界を超えると上空に青空も覗き好天への期待が盛り上がります。ところが朝日岳の山頂では周囲の山々は曇り景色は見えません・・・立派な展望盤の表示が空しい

錦秋の黒岩平○千代の吹上からいよいよ栂海新道です、岩に描かれた「日本海」の表示に胸は高鳴ります。栂の森を抜けると湿原に照葉の池です、長栂山の下りからは黄金色に輝く草原に池塘の点在するアヤメ平が眼下に広がります。遥か彼方に前を行く単独行氏が見えましたので頑張って追い抜くと黒岩平です、ボランティアの方々が道の補修をしていました。新しい切り開きを登ると黒岩山です、中俣新道を上がってきた若者に会いました。ここからは狭い稜線上の道が続きます、サワガニ山を越えると北俣の水から犬ヶ岳の急登が始まりました。

○ここからが長かった、いくつニセピークを通過したのでしょうか、犬ヶ岳に着いた時には汗びっしょりです。少し下ると栂海山荘です、予約はしませんでしたが何とか泊めていただき感謝感激です。今日はサワガニ山岳会の重鎮さんが来ているので夜は盛り上がりましたが、壁の向こう側の出来事です。

堅固な白鳥山避難小屋○朝はガスのなか暗いうちからヘッドランプで出発です、足元の悪い急な下りですから気が抜けません。やっと黄蓮山に着き振り向けば黒々とした犬が岳が薄明かりのなかに望まれました。菊石山との鞍部はガスが降りて幽玄な雰囲気のブナ林です、黄蓮の水とテン場があります。本日のハイライトは下駒ケ岳の急登です、滑り易い道を木の根に掴まりながら高度を稼ぎます。白鳥山は山頂に避難小屋が建っています、なかなか堅固な良い小屋でした。

○ここからは大きな登りはありませんが、だらだらと長い下りと小さな登り返しが繰り返されます。なかなか捉えられなかった単独行氏をシキ割りの水の手前で追い抜くと一気に差を広げます。急な金時坂を下って車道の通る坂田峠に出た時には緊張が緩みました、ここで昼食を取るあいだに単独行氏に抜かれるともう終点までに抜き返すことは出来ませんでした(情けな〜)

荒波が洗う日本海「ひすい海岸」○入道山を過ぎると一気に日本海まで下ります、国道の車の音が大きくなると登山口に到着です。ホテルの駐車場の脇から海岸への遊歩道を辿ります、急な階段を下ると荒波が洗う日本海に出ました。海の水に手を浸し感激の登山隊です、先着の単独行氏とも健闘を称えあいます。ホテル親不知で入浴し汗を流したらレストランで蛍烏賊を肴にビールで乾杯です。JR親不知駅まで送ってもらい糸魚川から特急、新幹線を乗り継いで帰りました。

○今回はエスケープの無いロングコースでしたので軽量化を徹底し縦走装備(テントなし)ながら13Kgに抑えました。初日は天候悪化のため朝日小屋までは行けませんでしたが、翌日頑張ったので何とか日本海までの縦走を貫徹できました。ワイルドな縦走路ですが道は思ったより判り易く迷うような場所はありませんでした、サワガニ山岳会の方々のご努力には頭が下がります。皆さんも一度は栂海新道を通って日本海を見てみませんか。



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