毛勝三山

猫又山・釜谷山・毛勝山

猫又山から釜谷山、毛勝山を望む


【行程】 9/17(土)晴れ [たまプラーザ3:43=(車)=練馬IC4:39=魚津8:30=僧ヶ岳登山口(車デポ)9:30/9:35=ブナクラ谷登山口11:13/11:50−ブナクラ峠14:58/15:10−猫又山17:31(泊り)]
9/18(日)晴れのち曇り [猫又山5:48−釜谷山7:18/7:27−最低鞍部8:16−毛勝山9:33/10:07−1775m12:01−僧ヶ岳登山口15:00/15:10=猫又山登山口(車回収)16:40/16:49=馬場島16:56(泊り)]
9/19(月)雨のち晴れ[馬場島6:00=名立浜谷IC8:50=練馬IC12:35=たまプラーザ13:50]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗


○北アルプスの剣岳から北に伸びる北方稜線の先にある毛勝三山は主に残雪期に沢筋から登られる山でした。最近になって南の猫又山と北の毛勝山にそれぞれ夏道が開通しましたが、地形図を見ると山頂間は直線距離で2.6Km、高低差も150mと縦走が可能のように見られます。ネットで検索すると2件ヒットしました、やはり好き者はいたのです。心配していた岩場は無いようですので思い切って縦走にチャレンジしてみましょう。

通行止めで万事休す!○登山口と下山口が離れていますから車2台で参りますが、東京から400Kmを一人で運転するのは辛かったー。片貝川を辿ると片貝山荘の少し先に僧ヶ岳登山口がありここに車をデポします。急いで馬場島に向いますが上市川ダムの上で県道は通行止め「何たるこっちゃ!」隊長の頭の中は真白です。地元のオジサンに聞いたら左手に下るダートを辿れば迂回可能とのこと、地獄に仏とはこのことじゃ〜。

○どうにか馬場島に着きましたがブナクラ谷は遠い・・・って工事中の立山川に紛れ込んで貴重な時間を浪費してしまいました。今度は慎重に分岐を左折し細い林道を奥の行き止まりまで辿ります、堰堤の手前に20台ほど停車可能な広場があり既に17台も停まっていました。昼飯を食べてから出発しますが、縦走装備と4Lの水の重さが肩に食い込み堰堤の梯子を登っただけで息が上がりました。

○炎天下の河原は灼熱地獄でペースが上がりませんが、歯を喰いしばって歩き続けると次第にブナクラ峠が近づいてきます。最後の大岩がゴロゴロ転がる場所は涼しい谷風が吹き上げて生き返る心地良です。ようやく着いた峠にはお地蔵様が鎮座して我々を温かく迎えてくれました。ここから急登の始りです気合を入れて密度の濃い等高線を一気に150m登ります。

猫又山のCSを満月が照らす○根曲がり竹の中を切り開いた稜線上の道は滑りやすく、地面には切口の鋭い竹が生えていますから気を付けましょう。やがてカール状のお花畑が現れ最後の気力を絞りきって直登すると山頂直下の池糖に出ました。予想に反して笹刈りのテントが一つだけ、山頂には誰も居ませんでした。釜谷山、毛勝山が思ったよりも遠くに望まれ、切れ落ちた稜線は明日の縦走の困難さを暗示しています。展望を独占でしたが西風が強くて長居は無用です、風を避けて草原にテントを張り名月を眺めながらの一杯は何事にも替え難い贅沢でした。

○朝はほんのりと茜色に染まった後立山の峰々に見とれます。いざ出発しようとした瞬間に唐松岳から上がるご来光を拝むことが出来ました、縦走の無事を祈って手を合わせます。縦走路は主に稜線の東側を通ります、稜線上は這松と潅木で通過は極めて困難です。潅木帯ギリギリの草付きに微かな踏跡が続き、時々這松帯を抜けますが切り開き跡があり何とか通過が可能です。

釜谷山の登りから猫又山、剣岳を振り返る○釜谷山へは二重山稜の間を詰めます、突然カモシカ君が現れて先導してくれました。最後は這松の切り開きを通り待望の山頂です、意外なことに立派な山頂標識が・・・一体全体誰が?ここからは360度の大展望です、猫又山は眼下になりますがバックには黒々とした鋭角のシルエットで剣岳が大きく立ちはだかります。北アルプスの山々がいつもと違った角度から眺められ興味が尽きません。

○釜谷山の下りは一瞬たりとも気が抜けません、草付きの角度は垂直に近く腕力でナナカマドを掴みながらトラバースを繰り返します。草付きが稜線から離れる所では果敢に潅木帯に分け入ります、支尾根の向こう側には急峻な谷が抉れていることが多く何度ガッカリさせられたことか。2400mの前ピークは這松の中に複雑な道が開かれています、ここから毛勝山までは踏跡もかなり明瞭となります。

毛勝山にて○最後はあっけなく山頂でした、ガスで展望はありませんが釜谷山で堪能したので良しとしましょう、誰も居ない静かな200名山でした。やがて朝5時に登山口を出たというグループが数人やってきました(ここまで4時間半少々とはとんでもなく速い!)我々が猫又山からの縦走と知って驚愕していました・・・少々鼻高々の登山隊です

○今度はイキナリ急な下りです、サブザック組は飛ぶように下りますが、縦走ザックでは亀足に成らざるを得ません、長い行程ですから膝への負担を極力避けましょう。北西尾根の上部には池糖が点在し流れるガスの中から地上の楽園が現れます。標高が下がると次第に蒸し暑くなって参りました、水も余裕が無く十分には飲めません。防寒対策で厚着の隊長は熱中症の一歩手前状態でフラフラになり前途が危ぶまれましたが、曇ってくれたのとゼリーで何とか一息入れることができ復活を遂げました。

○急坂にはトラロープが掛かっていますが本当に必要な場所ではありません、でも雨で滑り易い時には助かるでしょう。1050m付近から尾根を外れて樹林帯の中を急降下すると登山口の林道に出ました。ここから300mほど下り橋を渡ると車のデポ地点です、苦しくも充実した山行のフィナーレに思わずガッツポーズが出ます。

○ブナクラ谷で車を回収したら馬場島の剣山荘で入浴して駐車場で泊ります。夜半に物凄い豪雨となり予定より早く山から下りた幸せを噛み締める登山隊でした。翌日は時間があるので名立浜谷ICまで下道を通り節約に努めます、高速は渋滞も無く昼過ぎには東京に帰りました。

○今回は道無き縦走路を突破する厳しい山行でしたが、天気にも恵まれ無事に貫徹することが出来ました。もちろん縦走中は誰にも会いません、本州にもこんなに静かで自然のままの山が残っていたとは嬉しい再発見でした。



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