戸隠山

P1(弁慶岳)・西岳・本院岳・八方睨・戸隠山

無念の峰から西岳・本院岳を望む


【行程】 7/17(日)曇り時々晴れ [鏡池4:50−上楠川分岐5:12−望岳台6:29−熊の遊場7:31−無念の峰8:12−P1弁慶岳8:57/9:09−西岳9:37/9:47−本院岳10:20−2010p10:34/10:56−八方睨12:40/12:50−戸隠山12:59−八方睨13:12−百間長屋14:17−奥社15:09/15:19−鏡池16:00/16:20=(車)=黒姫高原17:00(泊り)]
7/18(月)晴れ時々曇り [民宿7:40==コスモスプラザ(鴉天狗は黒姫山へ)7:45/14:55==信濃町IC15:05==練馬IC19:05==たまプラーザ20:25]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗


○戸隠山の西岳へ行こうと鴉天狗からのお誘いですが、エアリアには熟達者向きと書いてあります。全盛期の登山隊ならいざ知らず、果たして今の我々にそんな実力があるのでしょうか?表妙義や赤岩尾根を縦走したのは何年前のことだったでしょう(・・6年も前です)ネットで調べれば調べるほど不安が増します。

○4時少し前にバタンバタンと車のドアを閉める音で目が覚めます、先行隊は3名の精鋭で暗いうちから出発です。我々は辺りが十分に明るくなってから歩き出します、草を分けた跡が明瞭で心強いばかりです。支沢沿いに下り上楠川からの道に出合います、3回の渡渉後に右岸を高度を上げて行きます。

草原の前方にそそり立つ岩壁○やがて視界が広がると不思議な草原に出ました、朝靄のなかに戸隠連山の険しい山容が認められます。すぐに樹林の道となり次第に登り始めます、本格的な急登で着いたところが望岳台でした。荒々しい峰々が間近に迫り「本当に登れるのだろうか?」身の引き締まる思いがいたします。

○道は次第に険しさを増し最初の鎖場となります。ちょっと甘く見すぎていたかも知れません、ストックを手に持ったまま鎖に取り付く大間抜けでした。結局ゴボウで引き上げなければならないほどの厳しさで、いきなり難度の高い鎖にビビリ捲りの隊長です。途中2箇所ほど鎖の無い滑る岩場がありますが、お助けザイルとシュリンゲが掛けてあります。3mほどですが強度が信用できないので体重を掛けるのはちょっと恐いところです。

○熊の遊場で一息入れますが、ブヨの大群が押し寄せて来て落ち着いていられません。始めのうちは神経質に追い払いますが次第に不感症になり『もう、どうにでもしてくれっ』と投げやりな隊長・・・随分と刺されてしまいました(痒い〜)

○急登が終わると無念の峰です、前方に西岳、本院岳が覆い被さるような迫力でガスの中から現れると、水墨画の世界に踏み込んだような気持ちになります。ここからの下りが問題です、数メートルの絶壁が切れ落ちていて道がありません。良く見ると1.5m下に垂直な梯子が掛かっていますが2mほどトラバースしなくては到達できません。横に垂れ下がった鎖にぶら下がりながら身体を沈め慎重に足場を探します。

ボルトに左足を載せてトラバースする○すると足元の先にボルトが一本打ってありました。鎖を握り締めながら右足を伸ばしてボルトに乗ります。ところが次の一歩が踏み出せません『しまった、左足で下りて右足を出すのだ!』脚がガクガクし握力が急速に衰えてくるのが感じられドッと冷や汗が出ます。躊躇している暇はありません、思い切って鎖に掴り身体を持ち上げて体勢を立て直します。

○息を整えたら今度は左足から下ります、右足を岩の出っ張りに掛け鎖にしがみつきながらゆっくりと体重を移動してゆきます。左足をボルト上から離すのは身体を空中に投げ出すようにしなければならず勇気が要りましたが、思い切って梯子に向かって行きます。一瞬「墜落」という不吉な言葉が頭を過ぎりますが、握力の限りに鎖・梯子にしがみつき無事に下りることができました。

○蟻の塔渡はそれほど厳しい所ではありませんが、風があったら少々嫌な場所です。不帰の峰は垂直な鎖ですがスタンスが豊富ですからゴボウで一気に登り切ります。冷や汗の連続でしたが何とか若者のコースタイム内にP1に到着です、初めて先行者の声が聞こえました。

西岳への快適な道○西岳までは藪が少々煩い道ですがお花も咲いて快適な稜線漫歩です。山頂には真新しい標識が建ち戸隠の最高峰に相応しい体裁となりました。ここから本院岳までが悪路で鎖と泥の嫌な道です、登りで先行者を捕らえましたので気負い過ぎて本院岳を通り越し次のピークまで行ってしまいました「やはり先ほどのピークが本院岳か・・」との情けなさです。

○八方睨までは長い道のりです。前半は悪路の急降下で、後半は稜線に出ると一般道並みの良い道になります。最後の登りは半端ではありません、疲れた脚に鞭を打ち踏ん張りながら山頂に辿り着きました。真正面に高妻山が他を睥睨するように聳え立ち、振り返れば本院岳、西岳へと続く長い縦走路が望まれます。

○「さあ下ろう」「いんや戸隠山まで行く」「??」この男は一体全体何を言っているのでしょう?暫くは理解できませんでした。なんと戸隠山が200名山なのでピークを踏みたいとのことでした。あー200名山病に侵された空っぽ頭には正常な判断力が備わっている訳がありません。とは言え友情に篤い隊長は呆れながらも同行してあげたのです。

○奥社への下りは鎖のオンパレードです。剣の刃渡は5mほどのナイフリッジですが立ったままでは渡れません、馬乗りに跨いで前進しました。次の蟻の塔渡は幅は広いものの20mもあり、左下に鎖を見た瞬間に戦意喪失し巻き道に逃げました(情けなぁ〜)

○奥社に着いたら緊張が解れてドッと疲れが出ます、もう脚が言うことを聞きません。無事のお礼をお参りしてから鏡池に戻ります、縦走後に仰ぎ見る鏡池からの戸隠連峰は一際輝いていました。本日は黒姫高原の民宿泊りです、隊長はもう余力がありませんので明日の黒姫山はパスしましょう。200名山病ウィルスに侵された鴉天狗だけで登ってもらいます、きっとぶっちぎりのコースタイムで戻ってくるでしょう(ところがヘロヘロ天狗は7時間もかかりました)

摘出されたシカダニ(下は隊長の親指の爪です)○朝フトンの上で何気なく太腿を見ていると異物を発見!白い柔肌に小さなダニが喰いついているじゃありませんか。頭を皮膚に食い込ませ、身体に触るとジタバタと手足を動かします。恐怖に慄く隊長。アフターシェービングローションを振り掛けて爪で掴んで根元から引き抜きます。全身くまなく探すと右脛に一匹、さらに右肩にもう一匹と合わせて三匹も喰いついていました。一体何時の間に?今まで何度もダニを目撃しましたが喰い付かれたのは初めてです、戸隠山では全く用心していなかっただけにショックです。戸隠西岳を登り切った高揚感もダニ騒ぎで急速にしぼんでしまいました(情けなぁ)



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