狭薄山

支尾根から狭薄山を望む


【行程】 4/27(日)晴れ [札幌5:15=(車)=空沼登山口6:00/6:10−万計山荘8:30−真簾沼9:25−縦走路10:04−狭薄山11:55/12:15−縦走路13:28−真簾沼14:01−南の沢(迷)14:50−万計山荘16:18−空沼登山口17:30/17:35==札幌18:18]
【メンバー】 隊長


○昨年の5月に空沼岳から札幌岳の縦走をした時、西に聳える三角峰に興味をそそられ登る機会を窺っていました。移動性高気圧に覆われて北海道は終日晴天の予想です、こんなチャンスはまたとありません。夏道が無く残雪期しか開かれていない狭薄山を狙います、余裕を見て往路6時間、復路4時間は見て置きましょう。

○早朝の登山口には先行者が一人だけ、GWの日曜日というのにこの寂しさは何でしょう。この人は札幌岳まで縦走するとか、73歳と聞いて吃驚!まったく酔狂な方です(失礼)いきなり握手を求められ俄かパーティの出来上がりです、先は長いので万計沼まではゆっくりとしたペースでまいりましょう。

○万計沼からは樹林帯の中の緩い登りです、真簾沼を意識して少し手前から北に回りこみました。真簾沼は水が殆ど無く真ん中にかろうじて氷が見える外は一面の雪原です、スキーの跡もありましたが気温の高い本日は湖岸を回りましょう。眩しいばかりの陽射しを浴びて沼の東側を通り稜線上のコルを目指します。

札幌岳の堂々たる山容が望まれる○コルからは木々の間に狭薄山の鋭い三角錐が望まれ登頂意欲を掻き立てられます。ここでオジサンと別れスノーシューを装着して支尾根に取り付きます、縦走路の果てには札幌岳が堂々たる山容を見せていますが、雪の縦走路も大変そうです(人の心配より・・・)

○往きはピークをあまり巻かずサクサクと登ります、山頂手前のコルで一休み、見上げる山頂までの道の厳しさに溜息が・・・あと120mの標高差ですが北東に伸びた尾根の東側は鋭く切れ落ちて、雪庇には大きな亀裂が走っています、幸い北斜面は潅木と雪に覆われていますの何とかなりそうです。

狭薄山山頂○ところが北斜面は急でスノーシューのトラバースが難しい、仕方が無いので細い稜線上を伝いますが生きた心地がいたしません。最大の難所は山頂手前の小ピークです、雪まみれになりながら北側の突破を試みますが跳ね返されます。今度はピーク上の意地悪な潅木に行く手を阻まれ、大きく張り出した雪庇の上を恐る恐る渡ります。

○ピーカンの山頂からは雪を戴いた山々が見渡す限り続きます、下界の柵から開放され幸せを独り噛み締めます。爽やかな風が心地良くいつまでも飽きることなく展望を楽しみたい気分でしたが、帰りのコースも気になりますので後ろ髪を引かれる思いで山頂を後にしました。

熊さんの足跡が!○縦走路までは出来るだけピークを巻きながら戻ります、おっとこんなところに熊さんの足跡が『往きには気づかなかったなぁ』少し先で自分のトレースと交差するように新しいものが・・・いきなり笛を吹く隊長でした。真簾沼までは順調に戻ります『これなら楽勝』恐いのはこの気の緩みでした。

○好事魔多し、樹林帯のなかで往きのトレースから外れ複数の明確なスキーの跡を辿り、調子に乗ってスピードを上げます。真簾沼から少し南東方向にズンズン進み、最後は夏道のような地形で木の階段もあり勘違いが増幅されてしまいました。どんどん沢の奥に入った時に流石にこれはおかしいと気が付きました、現在地の推測は出来るのですが確認ができません。

○さっきから時間の進み方が変だと思ったら時計が止まっているじゃありませんか、慌てて携帯で時間を確認すると真簾沼から50分も下っていました。高い所で地形を確認しようと断崖を攀じ登りますが、あと少しのところで20mほど滑落です『この崖の向こう側に万計沼があるかも知れない』雪塗れになりながら何とか登り切ると向こうには見たことの無い景色が広がっています、淡い期待も裏切られ茫然自失の隊長です。戻る決断を下すのが体力・気力ともに萎えた身体には苦痛でした、そのまま下れとの誘惑と戦います。

○微かな踏跡を辿れば何処かに出たのでしょうが安全第一と冷静に考え、2時間掛かっても良いからと来た道を戻ります。もう脚はガタガタでしたが明るい万計沼の水面を認めた時には思わず歓声をあげてしまいました(結局1時間50分のロス)氷の融けた小屋の前には鴨が2羽ノンビリと泳ぎ回り平和そのものです、一瞬ひやりとしましたが明るいうちに駐車場まで下ることが出来ました。



2003年の記録へ