徳本峠越え・霞沢岳

徳本峠から朝日に輝く穂高連峰


【行程】 7/20(金)晴れ [新大阪6:00=(ひかり200号)=名古屋7:00/7:10=(しなの1号)=松本9:10/9:58=(松本電鉄)=新島々10:28/10:33=(タクシー1540円)=島々林道入口10:39−二俣11:57/12:07−岩魚小屋13:38−力水15:15−徳本峠小屋16:03(泊り)]
7/21(土)
快晴のち雷雨 [小屋6:23−ジャンクション・ピーク7:15−小湿地7:40−K19:05/9:15−霞沢岳9:45/10:34−K111:02−小湿地12:13−ジャンクション・ピーク12:52−徳本峠小屋13:30(泊り)]
7/22(日)
快晴 [小屋7:00−明神8:10−上高地8:46/10:00=(バス)=新島々11:10/11:23=(松本電鉄)=松本11:52/16:39=(しなの26号)=名古屋18:37/18:52=(ひかり165号)=新大阪19:47]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗

○年に一度の登山隊大集合なのにシェルパが来ない・・新幹線の発車ベルは無情に響き渡ります、三連続ドタキャンとはどう言うこっちゃ!(隊長は絶句)松本で鴉天狗の顔を見たときには正直ホッとしました『やっぱり頼りになるのはお前だけじゃ』と言う訳でオジサン二人で徳本峠クラッシックルートを歩く渋い企画となりました。

○新島々からタクシーで林道の奥まで入るはずが入口で降ろされます、ショック!40分はロスです、コースタイムで7時間半もあるのに・・静かな峠歩きは早くも前途多難です。二俣までの林道は足慣らしです、山道に入ると沢沿いの歩きやすい遊歩道が続きます。真夏の太陽は容赦無く木々の間から降り注ぎますが、伊達に関西の低山で耐熱訓練に明け暮れた訳ではありません、高速モードで時間を取り返します。おぉ、鴉天狗も健気に付いくるじゃありませんか(笊ヶ岳で修行を積んできたそうです)沢の奥の方から涼風が吹いてきて生返ります。

○今にも潰れそうな岩魚小屋を過ぎると、行けども行けども力水に着きません、なんと一時間半以上も掛かってしまいました。ここで沢筋に横たわる初老の男性と看護する奥様に遭遇、旦那の足が小刻みに痙攣しています。小屋への伝言を頼まれました「お易いご用です」もう後から登山者は来ないかと諦めかけていたそうです、遅発ち登山隊もたまには役に立ったのでした。

鄙びた徳本峠小屋
○笹中の電光型の登りを繰り返し軽油の匂いがしてくると徳本峠は近い、峠には傾きかけて丸太でつっかえ棒をした小さな古びた小屋が佇んでいます。向側には明るい空に聳え立つ穂高連峰の鋭い峰々が突然目の前に現れます。この雄大な眺めはウエストンが感動した姿そのものでしょう、今100年の歳月を超えて隊長の心を打ちます。

○翌日は霞沢岳をピストンです、連泊ですからノンビリ最後に小屋を発ちます。何を血迷ったのか縦走装備一式を担いでこりゃ重い。少し甘く見すぎたのか標高差わずか500M、K1の登りも200Mで「軽い軽い」(どこがー)

ジャンクション・ピークから穂高を望む
○ジャンクション・ピークまでは樹林帯の中の急な登りです、途中のスタジオ・ジャンクションからは朝日を浴びた穂高が神々しいまでの輝きです、暫し息を飲む登山隊。小湿地までは北アには珍しい奥秩父を彷彿とさせるうっそうとした原生林の道です。K1へは滑りやすい土と浮石の厳しい登りで、木の根を掴みながら息が上がります、2ヶ所悪いガレ場を慎重にトラバースします。

K2から霞沢岳への稜線
○K1で一気に展望が開けます、角度を変えた穂高は左右に大きく広がり焼岳まで一望のもとです。昨秋の西穂から奥穂へ嵐の中での縦走を思い起こしつつ、稜線を舐めるように目で追います。焼岳の上には火山性水蒸気の雲がポッカリ浮かび、赤茶けた山肌と対照的に牧歌的な雰囲気です。ここからはアルペンムード満点の縦走路となり、お花畑も小さいながら充実しています。最後に南から回りこんで山頂です、狭いピークには単独行しかいません。この人が鴉天狗の知り合いとは世の中狭いもんです。



霞沢岳にて
○奥穂高にかかるわずかな雲が目障りなので時間の限り待つことにします、最近の登山隊には無い山頂での長い憩いでした。やがて雲は去り俄か写真家として穂高に対峙します、対象が偉大すぎて自己表現が上手くできませんでしたが、満足、満足です。下りはK1まで穂高を正面に望みながらの価千金のプロムナードでした。


お花畑も小さいが充実
○徳本峠小屋はランプの宿として有名な鄙びた小屋ですが、定員オーバーでは寝苦しいだけでした、今度はもっと静かな時に訪れたいものです。しかし隣室で連日夜中まで酒を飲んで騒ぐスタッフには驚かされました、山の掟を守らせることも出来ない世の中は悲しい限りです。日中の接客態度が良かっただけに残念です。

○翌朝は朝もやの上に穂高が輝き幻想的な美しさです、小屋の主人も写真を撮りに展望台に来るほどでした。上高地への峠道は小鳥の囀りに満ち足取りも軽くなります、下った沢からの前穂の眺めは人を寄せ付けない厳しさです。明神からは喉を潤す液体を求めて快速です、五千尺カフェテラスで河童橋を眺めながら飲む地ビールの味は格別でした(朝9時から飲んでりゃ世話ないね)

○久しぶりに登山隊が東西から集まりましたが、至ってノンビリした渋い山行となりました。同宿の自慢話に相槌を打ちながら、あくせくピークハントが懐かしく思い出される今日この頃です。混雑を避け上高地を早々に離脱、松本では恒例の蕎麦宴会を繰り広げましたが、それでも時間が余り待合室でこの報告書を書いています(道理で冗長だー)


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