越後三山

駒ヶ岳−中ノ岳−八海山

中ノ岳から八海山を望む


【行程】 9/29(金)快晴[東京6:08=あさひ305号=浦佐7:38/8:00=越後交通バス=大湯温泉8:30=タクシー4860円=枝折峠8:56/9:00−小倉山10:42−駒ヶ岳12:34−桧廊下13:50−中ノ岳15:35(避難小屋泊り)]
9/30(土)
晴れのち曇り[中ノ岳小屋6:00−御月山6:51−出雲先7:47−オカメノゾキ8:43−荒山9:23−五竜岳10:29−丸ヶ岳10:58/11:30−八海山八ツ峰・大日岳11:54−不動岳12:35−地蔵岳12:40−千本桧小屋12:48−四合半13:52−冷泉小屋14:53−大崎里宮15:35/16:05=タクシー3600円=五十沢さくり温泉16:25/17:00=タクシー2970円=六日町17:15/17:32=JR=越後湯沢17:52/18:23=あさひ328号=東京19:44]
【メンバー】 隊長(単独行)

○西穂〜北穂縦走の余勢をかって越後三山に挑戦です。平ヶ岳、巻機山から眺めた中ノ岳の勇姿が忘れがたく、一方ではみなさんの報告に刺激を受け(少々反応が鈍いのですが)遂に決行です。ただ始発の新幹線では登り始めが9時になってしまいます、初日に中ノ岳まで入りたいので長丁場(9時間弱)を速く歩かねばなりません。ところがカモシカの脚は縦走装備で封じられてしまいました(困った〜)

明王峠から駒ヶ岳
○大湯温泉からは予約のタクシーで枝折峠まで入ります、具合の良いことに同行者と割り勘です(しかし山で領収書をとる奴って・・)明神峠からは駒ケ岳の黒々とした姿と尾根沿いの道が眺められます、前に来たときには雨に煙る稜線で山頂も真っ白でしたっけ。天気は快晴でカラッとした秋の空気は肌に心地よく快調に飛ばします。樹林帯を抜け一汗かくと小倉山です駒ノ湯からの道を合わせます。百草の池で昼食をとり急坂を越すと鎖のある岩場になります、濡れて厳しい場所という記憶がありましたが、乾いていればなんでもありません、アッと言う間に駒の小屋に到着です。

○小屋番のお兄さんが週末に備えて登っていましたので小屋の前で水を補給できました。中ノ岳小屋には天水があるとのことですが、念のため3L持って行きます、ずっしりと重くなったザックが肩に食い込みます。駒ケ岳からは遮るものの無い大展望が得られました平ヶ岳、燧ヶ岳、奥白根などの山々が印象的です、これから向かう中ノ岳は三山の盟主に相応しく威風堂々と聳え立っています。

○いよいよ中ノ岳への縦走を開始します、歩きやすい道をぐんぐんと下って行くとなだらかになり天狗平に出ます、前方にすっきりとした稜線が続いています。左手には荒沢岳のピラミダルな山容がひときわ目を引きます。尾根は次第に険しい岩峰の様相を呈し始め檜廊下辺りでは木の根がスムーズな通過を妨げます。この登り返しに入ると息があがる一方です、振り返ると駒ケ岳の山頂が見え始めました、なんとか明るいうちに小屋に着く目処はたちましたが、果たしてあとどのくらいかかるのでしょうか・・忍び寄る疲労感。

中ノ岳から避難小屋と駒ヶ岳
○息も絶え絶えで一本とりますが目の前の小山を越えたらすぐそこに小屋が、なんと3時半に到着です、予想に反して先客はおりません。冷たい空気が頬に心地よい初秋の午後です、アキアカネの羽音だけが聞こえる静寂の山頂では、360度の展望は思いのまま表示盤そのままです(富士山は見えませんが)巻機山の稜線がシルエットとなって無言で対峙しています、八海山の険しい岩肌が登頂意欲を掻き立てますが、遥か下方まで欠き取られた縦走路は明日の行程の厳しさを暗示しているようです。

○避難小屋に一人で泊まるのは初体験かも知れません(人生の前半部分の記憶は定かではない)なんと心細いものでしょうか、小屋はきれいで造りもしっかりして快適ではありますが寂しさといったらありません。夜中に誰かが外を歩き回るような足音に怯え、ネズミはコトコトと不思議な音を立てて安眠を妨害します。「うわー!」き、気色の悪い、顔の上を這い回る蟲、慌てて払い退けランプを向けるとコオロギのような虫が逃げて行きます(勘弁して〜)

○翌朝はご来光を見てから出発です、パッキングに手間取り出発が遅れて6時となりました。滑りやすいガレた急坂を一気に下ります、御月山が大きく立ちはだかり草原のなかの沢に出ると祓川の水場です。川を渡って御月山に登ります、朝露なのにカッパの下をはかなかったので靴のなかまでビショ濡れになってしまいました(人の失敗が教訓になっていない)

中ノ岳〜八海山の縦走路
○8合目の石柱のあるピークから一気に下ります、鎖を下ったところから岩峰が現れ出雲先です、この辺りから左右が切れ落ちた稜線歩きとなります。おお!これぞ待ちに待った本日のハイライトです、それほど難しい道ではありませんが、少々の岩場と藪っぽい中を長くきついアップダウンが続きます。西上州を彷彿とさせる痩せ尾根は隊長の心を高揚させて止みません、ただしスケールは数倍大きく絶好調の時以外には通過したくはありません。登ったり降りたりの繰り返しにいいかげん飽きたころに連続数本の鎖を降りるとようやく最低鞍部の「オカメノゾキ」に到着です。本当に覗ける場所は中ノ岳寄りにあります。

○少し登ると対向者に出会いました、本日の縦走者は計3名のみ、本当に静かな山旅が楽しめます。"こんな本格的山屋さんが訪れる道に隊長は場違いでは"との疑念も無きにしもあらずですが、まあいいか、食事付き小屋泊まりから脱しつつある自分に驚きさえも感じます。荒山に向かって次第に道は良くなりなだらかな上下となります。五竜岳の登りはザレた急登で木の根を掴みながら慎重に進みます。

○丸ヶ岳(地図では入道岳)の山頂に着いた時にはもう余力はありません、倒れこむように座ると息を整えながら靴を脱ぎ靴下を絞り乾かします。ようやく吉田さんに追いつきました、ここで昼食とし大休止します。眼前には駒ケ岳から中ノ岳が迫力万点で展開しています、昨日今日と歩いてきた長く険しい稜線を見渡した時には満足感に思わず頬が緩みます。

大日岳にて
丸ヶ岳から大日岳○腹が膨れれば新たな闘志が沸いてきます、眼下に望むは八海山・八ツ峰の奇岩大日岳です。いきなり最難関の鎖場です、基部から見上げればどうやって登るのでしょうか?(縦走ザックで)ところが取りついて見ればホールド、スタンスは豊富です、鎖を手に攀じ登りますが鎖に全体重をかける必要はありません、ほとんど足で歩けますので手の力は不要です(表妙義の方が数倍怖い)ここからは観光客っぽい人々のなかレジャーランドと化した岩峰群を縦走して行きます。地蔵岳までくると小屋はすぐそばです。


千本檜小屋と地蔵岳
○千本檜小屋にてポカリを買い(600円は痛い)元気をつけて下ります、道は劇的に良くなり何も考えずにハイキングモードでトコトコ下ります。祓川の水場で顔を洗い女人堂に到着です、ゴンドラ駅には2時過ぎですので縦走を続けることにします、ところが少し行くと雨がパラつき始めました。

○隊長の疲れた脚に無理やり鞭が入ります、ブナ林が続く気持ちの良い所ですが足下は湿って滑りやすい気の抜けない道が続きます。どうしたことでしょうか?あんなに急いだのにコースタイムで30分のところを42分もかかってしまいました。立派な冷泉小屋に着いたときにはもうヘロヘロです、空模様を気にしながら先を急ぐと今度はアッと言う間に2合目小屋に到着です(ゴンドラ駅から1時間は正しいが40分・20分が正解)

○里宮の屋根が見えた時にはホッとしました、境内を掃除する老婆に挨拶をします「どっから来なさった」「中ノ岳、駒ケ岳からです」「三山駆けてきなさったか、そりゃあんたよう頑張りなさった」・・隊長の胸にこみ上げる歓喜の渦、何物にも換え難い労いの言葉でした。門前の宮野屋で麦酒、山菜、蕎麦を食し車を呼んで温泉に向かいます、五日町駅の薬師の湯は2000円と高いというのでお勧めの五十沢さくり温泉にします。確かに500円で気持ちの良い施設でしたがタクシー代のほうがずっと高くついてしまいました(情けな〜)


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