小金沢連峰

大菩薩峠−熊沢山−小金沢山−牛奥雁ガ腹摺山−

黒岳−大蔵高丸−ハマイバ丸−大谷ヶ丸−滝子山

小金沢山から雁ガ腹摺山


【行程】 3/25(土)晴れ [新宿23:50=(アルプス)=]
3/26(日)
雪のち晴れ時々雪[=塩山1:47/4:00=(タクシー3620円)=裂石ゲート4:18/4:25−上日川峠6:05/6:40−大菩薩峠7:48−石丸峠8:13−狼平8:36−小金沢山9:16−牛奥雁ガ腹摺山10:02−黒岳11:14−湯の沢峠11:57/12:15−大蔵高丸12:44−ハマイバ丸13:10−天下石13:36−大谷ヶ丸14:05−アモウ沢乗越14:43−滝子山15:20−桧平15:47−林道16:43−初狩17:25/17:40=(JR)=八王子18:50/19:49=(JR・東急)=たまプラーザ20:45]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗

○ここ3週間ばかり脇目も振らず深夜まで働き(もちろんALL休日出勤)過労死寸前の隊長でしたが、MMLの報告を見ては山への想いは募るばかりです。体調不良に加えて、風邪か、花粉症か、くも膜下出血前か、頭の芯に猛烈な頭痛を抱えながらの旅立ちとなってしまいました。今回の企画は小金沢連峰を完全縦走するというハードなものです、おまけに上日川峠までの林道は閉鎖中(4月1日開通)なので、車は裂石の少し上までしか入れません(たいへんだぁー)はたして無事に帰って来られるのでしょうか。

○塩山駅前の峡東タクシーは予約すると炬燵つきの部屋で仮眠させてくれます(ぬくぬくでGood)疲れた身体にはなによりです。裂石のゲートからは登山道を辿りますが月明かりで足元は確かです。ようやく上日川峠に着いたときには雪が降り始めました(おいおい、天気予報の晴れ時々曇りでは?)寒いのでヒュッテ長兵衛で朝食を取らせてもらいます、熱いお茶が嬉しい。さて「お茶代はいくら?」との問いかけに「商売じゃないからいらないよ、それより何か買ってくれ」とのこと。ストックを忘れた鴉天狗はお土産の杖を買いました?

○よほど怪しい登山者に見えたのでしょうか、これからのコースを根掘り葉掘り質問詰めです。「えーっと小金沢の方に縦走です」「湯の沢峠までかな?」「時間があれば南のほうまで」「まさか滝子山じゃないでしょうね、この時間から」「うーん、時間があれば行きたいのですが・・・」悪いことしてる訳じゃないのに冷や汗たらたらの隊長です(何でこんなに後ろめたいんじゃ!)

○大菩薩峠に着くと吹雪でした『晴れ時々曇りはどこへいったんだー』介山荘の脇で風を避けながらブーたれる隊長です。熊沢山を越えて石丸峠に着くとトレースは途切れます、いよいよ山深い核心部への突入です。緊張に頬を硬くしながら新雪の笹薮に足を踏み込みます、右側からはドピューと吹雪が吹き付けて来ますが黙々と(反省しつつ)歩みます。狼平はガスと雪で幻想的な笹原でした、ゴォーゴォーと風の音だけが響きます、疲れていたら思わず引き込まれてしまいそうな世界です。

○気温が低く雪が締まっていて坪足でも潜りませんので快調に登ります。樹林帯の登りで前が明るくなったと思ったら連峰最高峰の小金沢山に到着しました。酸性雨の影響でしょうか、山頂付近の樹林は全滅で南側の展望は開けています(ガイドブックには眺望なしとの記述)折りから天気も回復に向かい、長〜い縦走路が見渡せます。

牛奥雁ガ腹摺山の山頂にて
○牛奥雁ガ腹摺山にたどり着くと丁度反対側から若者のパーティが到着しました、いかにも元気溌剌でまぶしいくらいです、昨日は湯の沢峠に泊まったようです。正面に富士山が望まれる山頂は雪が解けてポカポカ陽気です、思わず腰を下ろして休憩します。下りは道がコチンコチンに氷結して危険このうえありません、ノーアイゼンなので笹を頼りに恐々進みます。

○黒岳の山頂は薄暗い樹林のなかですが少し先のピークが見晴らしが良く、ここから湯の沢峠まで滑り易い道を一気に駆け下ります。峠は気持ちの良い草原ですが電波塔が興醒めです。ここで昼にしますが、暖かい日差しの中で弁当を広げていたら何時の間にか薄暗くなり冷たい風が雪を運んできます。「たまらん、身体が冷えちまった」草々にスタコラ歩き始める登山隊でした。

○大蔵高丸の登りは氷結していて気が抜けません、ちょっと考え事をしている隙きにスッテンコロリンつんのめってしまいました。山頂は雪も解け富士山を正面に素晴らしい展望です、ゼーゼー言いながら休んでいると、犬が一匹近づいてきます。しだいに高まる緊張感、突然!向こうの方から飼い主の呼ぶ声がして、危機は去って行きました。

米背負いのタル手前のピークから大谷ヶ丸
○ここからハマイバ丸を越して米背負峠までは明るいノンビリとした縦走路です、樹林のなかを登りきると大谷ヶ丸に到着です。展望は得られませんが落ち着いた雰囲気の山頂です、尾根通しの道は分岐の道標がわかりにくく南に巻く道をとりました。尾根道に戻ると多少薮っぽいけれど良く踏まれた道が続いています。

○滝子山の登りは北斜面の凍り付いた道でペースが上がりません、鎮西ヶ池の辺りが一番厳しいようです。ようやく稜線に着くと道を右にとり山頂を目指します、もう体力を使いきった隊長は急坂を渾身の力で登ります。ここからの眺めは本日一番でした、大きな富士山が雪を被り黒々とした三ツ峠、御坂山地を足元に控えさせて堂々と立ち上がっています、山中湖が傾いた陽の光を反射して白く光っています。反対側に目を転じれば、今まで歩き通してきた縦走路が延々と続いています、感無量の隊長です。

滝子山から三ツ峠山
○しかし腰を落ち着けている暇はありません、まだコースタイムで2時間40分も残っています、足元の明るいうちに下る必要があります。幸い南斜面なので道は凍ってはいません、隊長の加速装置が本日初めて点火されました。こうなればこっちのもの、最初の80分のところを半分の40分で転げるように駆け下りました。もう一安心です暗くなる前に林道まで出られそうです、でもこの後が長ーい下りで精神的に辛いものがありました(緊張が緩むとダメですね)

初狩駅ホームから滝子山を仰ぎ見る
○初狩の山里を下る道は舗装された車道ですが趣のある路です、正面には夕陽を浴びて輝く秀麗な富士の頂きが眺められます、夕げの支度でしょうか家々からは美味しそうな匂いが漂ってきます。初狩駅の階段をゆっくりと酷使した身体を庇いながら登ってホームに出ると、薄暮のなか黒々と滝子山が聳え立っていました。仰ぎ見る隊長の心は充実感で一杯でした。

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