三ツ岩岳・大津
前衛岩峰から大津・・・取り付く島がない
【行程】 12/10(日)曇りのち晴れ [たまプラーザ3:52=(車)=竜王の里宮6:54/7:17−大権現7:51−三ツ岩岳8:17/8:25−道標8:48(迷40分)−里宮鞍部9:33−北稜敗退9:56−鞍部10:12−大津稜線10:41−大津10:55/11:35−下降点11:58(迷14分)−杣道(岩にペンキ)12:41−竜王の里宮13:01/13:16==たまプラーザ16:40]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗
2006年の記録へ
○久しぶりの西上州です。今回は大仁田ダムの工事で立入り禁止になっていた空白領域を制覇しようとの目論見です。ここには一般登山道のある「三ツ岩岳」と踏後程度の「大津」がありますが、この2山は直線距離でわずか2Kmほどです。ネットで検索すると稜線を繋いで縦走が可能らしい・・・雨が上がった日曜日にトライします。
○天気の良い日曜日だというのに竜王の里宮には誰もいません(流石に静かな山域です)権現コースに入った途端に落ち葉で滑り易い急坂となり、気を抜くとズルズルと後退しそうです。踏ん張って一気に高度を稼ぐと大岩が直立する大権現です。ひと頑張りで稜線に出ると山頂は近い。
○三ツ岩岳からの展望は素晴らしく歓声が上がります。大岩、立岩、毛無岩、鹿岳などの奇岩が点在する西上州の山々を前に感無量の隊長でした。これから向かう大津のドームは指呼の距離にありますが、最後の登りはちょっと厳しそうです。
○少し戻ったところから縦走を開始いたします。しばらくして里宮への道を左に分けると道が極端に悪くなり、2つ目のピークで行き詰まりました。1つ目のピークに戻り道を探ります。手前は崖で不明瞭ですがその先に尾根筋が見えているので、鞍部に向かって強引に岩場をクライムダウンします。急傾斜を左の沢地形に逃げたら微かな踏後を発見、テープもあり一安心です。
○ところが鴉天狗がトンデモナイことになっていました。岩場をお嬢様下りです『いったい全体どういうこっちゃ、クライムダウンしなさい!』人の言うことを聞かない相棒は落ち葉の中を10mほど滑り台状態で滑落してしまいました(怪我がなくて幸いでした)
○落ち着いて現在地を推理すると、どうも先ほどの道標は里宮鞍部の分岐ではないようです。時間と体力をロスして40分も彷徨してしまいました。少し下ると本当の里宮鞍部でした、右手に屏風のような岩場が聳えていましたので、もし先ほどのピークから右の沢を下っていたらえらい事でした。
○鞍部からの道は山仕事のため逆に良くなります。ひとつピークを越えるとトラバースルートの分岐のはずですが不明瞭で判りません。しかたが無いのでそのまま稜線を辿ると次第に険しくなり岩場になりました。古いテープに導かれて回り込んだり乗り越したり悪戦苦闘の始まりです。
○行く手を5mぐらいの壁に阻まれます。ホールド、スタンスは十分ですが身体を空間に投げ出すような所があり一歩が出ません『ここを越えられても次が越えられるのか?ダメな時にはここを下れるのか?』弱気が頭をよぎり逡巡いたします。そのとき急に日が蔭り冷たい風も吹いてきて心も暗くなります。振り向いて「どうする?」「・・・やめようか」どうやら臆病風は伝染するようです。あのオベリスクに登った命知らずの鴉天狗も寄る年波には敵わないようです(寂しいかぎり)
○先ほどの鞍部まで戻り「お子ちゃまトラバースルート」を採ることにいたしましょう。鞍部からザクザクの傾斜を下ると水平道になります。薄い踏跡とテープに導かれて小さな岩場を乗越すと、稜線目掛けてジグを切りながら登ります。次第に傾斜が急になり崩れ易い足下に気を使いながら100mほどで1053pと中間峰の鞍部に飛び出します。
○縦走路を左に取り中間峰を越えると正面に「大津」のピークが姿を現します。正面の岩壁は取り付く島もなく、一体全体どうやって登るのでしょうか?高まる不安を胸に岩の痩せ尾根を越えて近づきます。基部に着くと左手に回り込んだ岩の裂け目に登り口がありました。危なっかしい古いトラロープがありますが使わなくても問題なし。正面に戻り高度間あふれるフェースを通過して山頂に到着しました。
○鋭く尖った山頂からは遮るものが無く三ツ岩岳が正面に眺められます。西上州の山々も天気の回復とともに輝きを増したようです。昼食を取りゆっくり休んだら慎重に下りましょう。1053mピークの先にテープで標した下降点がありますが、確信が持てずに先のピークまで行ってしまいました。
○戻って落ち葉の中を急降下すると次々と赤テープが見つかりました。左の尾根に乗ってしばらく下降し、今度は崖を避け左の沢に向かって間伐した植林地を下ります。涸れ沢を下ると沢沿いの杣道に出ます、岩に矢印で大津と書いてありました。
○林道に出ると橋を渡り大仁田ダムに着きます。駐車場まで下ると朝のまま鴉天狗号だけと寂しいかぎりです。急峻で険しい山でしたが距離が短いので早い時間の下山となりました。今回の三ツ岩岳・大津は西上州らしい藪と岩稜の素晴らしいルートでした。残念ながら大津北稜は実力不足で越えられませんでしたが、道に迷いながら苦労してルートを探すのも西上州ならではの楽しみでした。