2001年の一名山

沢上谷

そうれだに

大滝の上部は紅葉で天上の楽園


【行程】

10/20(土)快晴[新大阪10:00=(こだま408)=岐阜羽島10:58/11:02=(車)=平湯キャンプ場15:00]
10/21(日)曇り[平湯キャンプ場7:45=(車)=車デポ8:30=入渓地点(750M)8:47/9:00−支沢9:15−五郎七滝9:42−本流11:00−二股11:30−蓑谷大滝11:56−大滝上12:45−15Mナメ滝12:53/13:12−終了点13:50/14:08−車デポ15:10=(車)=平湯温泉16:07/17:15=江坂22:43]

【メンバー】

隊長、シェルパ1号、O山、K野、I吉、S崎、O森、2木、K町


○それは恐怖のメールから始まりました「関西の山は暑い!」とMLの報告でブーたれておりますと、突然K野さんから沢登りのお誘いが来てしまったのです。沢登りなんてやったことの無い善良なハイカーにお誘いとは、何かの間違いではないでしょうか・・赤紙に怯える隊長です。ところが甘言に乗りやすい隊長の隙を突くような「渓流ウォークですから遊びみたいなもんです」との追撃に軽々釣り上げられてしまいました。

○新大阪でシェルパの悲痛なTELを受け呆然とする隊長「寝坊で済むと思っているんか!」皆さんを一時間も待たせてしまいました(ごめんなさい)岐阜羽島でお会いした東海地区の面々は普通の人達のようでしたのでホッといたします『しかしエイリアンも普通の人々以上に普通っぽいぞ』疑り深い隊長は世間話の中にも山歴などを聞き出しますが・・驚愕の事実(注)が次々に明るみに出て、とんでもない所へ来てしまったと内心後悔し始めます。
(注)普通は冬山、沢登りからは始めません・・山は気力だ!(恐〜ぃ)  
   230Kmのマラソンとか川の中を走りまわる人もいたりして・・


○平湯キャンプ場での焚き火を囲んでのオフミは、しみじみとした大人の会話で晩秋の奥飛騨に相応しい雰囲気でした。見上げれば夜空には星が瞬き澄んだ空気は明日の好天を約束しています、初めてお会いした面々と話は尽きねどマキが尽き就寝といたします。アルコールの余熱が切れ夜中に目覚めると、夏用シュラフのなかで沢歩きへの期待と不安に打ち震えながら悶々と夜明けを待つのでした。

○県道が工事中なので車を途中にデポし入渓地点まで戻ります。この日のために買った鮎靴とヘルメットを着けると馬子にも衣装、なんとなく沢登りっぽくなりました。しかし皆さんの年季の入ったスタイルには及ぶべくも無く、やはりガチャガチャする物が欲しくて羨望の眼差しです(使い方も知らんくせに困ったもんです)

○いきなり贅沢なナメです、このような幸せを素直に頂いてよろしいのでしょうか?この先にしっぺ返しが待っているのではと懐疑的な始まりでした。前を歩くO森さんが視界から突然消え去ったのはその時でした、何の変哲もない流れの中に潜む罠、深みに嵌るとはこのことだったんです、自ら身を以って教えてくれた先輩に感謝です(胸まで水に浸かり冷たそー)

大滝をバックに ○支沢に寄りますが滝の横を巻きます(ひと安心=草木のある藪には慣れています)さらに奥の10Mの滝を巻くと急なナメです、その上には五郎七滝が左右から分かれて落ちてなかなかの景観です。登りは良いが下りは少々自信がありません滑ったら滝口へ一直線です、念のためロープを出しますがスタスタ早足で下るO山さん、見ている方がハラハラしてしまいます。濡れたスレート屋根のような所を悠然と歩くこのオジサンの天職はきっと瓦葺き職人なのでしょう。

○藪の中を転がり降りた隊長とシェルパは皆さん方の華麗な懸垂下降を鑑賞します。滝のシャワーを浴びてビショ濡れなのに嬉しそうなI吉さんを見ると、やはり人種が違うなと思わざるをえません。本流に戻りペースを上げ遡行を続けます、やがて前方に轟音とともに周囲を威圧する迫力で蓑谷大滝が現れます。30Mある一枚岩盤の上から一気に流れ落ち滝壷に消える水の圧倒的な力の前では言葉は不要です。水煙の中に引き込まれそうな錯覚を呼ぶ光と水の綾なす幻想の世界です。

○流石に大滝は高巻きます、こうなると嬉々として張り切る隊長です、ところが穴に落ち脇腹をしたたか打ち意気消沈でした(情けな〜)藪を漕いで滝の上に出ると素晴らしいナメが続いています、光を浴びた水の薄い膜が所々白く泡立ち、周囲の紅葉とのコントラストが眩いばかりです。天上の楽園とはこのような所を言うのでしょうか、誰も来ない山の奥深くで景観を独占できるのも沢登りならではのメリットです。

前方に15Mのナメ滝美渓は延々と続く○15Mあるナメ滝の前で暫し休憩です、しかし前方の滝はどうやって越えるのか「直登・・」と言う話声が聞こえたりしますと落ち着いていられません。途中まではなんとか潅木につかまって登れそうですが滝口の辺りはどうなっているのでしょうか、不安が募ります。こうなったらパーティを信頼しトライしましょう、最後はお助け紐でクリアし無事登頂です。少し狭くなった沢筋は紅葉のトンネルとなり、延々と1.5Kも続くナメはある時は早瀬のように輝き、またある時はゆっくりと紅葉を映します。

○例えようの無い豪華な景観のなか登山隊は歓声を上げながら進みます「思いきって来て良かった」皆さんには感謝の隊長でした。初めての沢が十年やっていてもなかなか出会えないと言う素晴らしい癒し系の沢登りだったようです。癖になりそう、しかし河豚は食いたし命は惜しい・・沢登教のありがたい教えもヘッドギアを脱ぐとともに遠くなり理性が勝つ今日この頃です。


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