朳差岳
足ノ松尾根から大石山を望む
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【行程】 8/13(木)小雨のち暴風雨のち豪雨 [奥胎内発5:50=(乗合タクシー)=足ノ松尾根登山口5:58/6:01*姫子ノ峰6:52*滝見場7:32*水場分岐8:09**イチジ峰8:37*大石山9:24*鉾立峰10:07*朳差岳10:41/10:47*鉾立峰11:11*大石山11:52*水場分岐12:39*滝見場13:09*姫子ノ峰13:41*登山口14:20*奥胎内ヒュッテ14:56/15:23=(車)=新発田第一H16:18(泊り)]
【メンバー】 隊長、林道の鴉天狗
○奥胎内ヒュッテはH17年に新造され、白樺林のなかに建つ瀟洒なロッヂです。登山隊には場違いのように立派な施設ですが、偶には贅沢も良いものです。コインランドリーを回して汚れた装備を更新いたしましょう。昨晩は次々と出る山の珍味に舌鼓を打ち・・・ご当地の銘酒「越の胎内《を痛飲。今回の遠征で最難関の山を前に少々はしゃぎ過ぎの感がありました。
○台風8号崩れの低気圧が日本海を東上し、本日は午後から大荒れとの最悪の天気予報です。コースタイムで12時間を越える長帳場ですから天候の悪化は避けられません『お願いだから昼まで保ってくれ~』隊長の切なる願い。ヒュッテから登山口までは乗り合いタクシー(300円)が運行されています。でも本日のお客は登山隊と大阪からの若夫婦だけです。相客は大型ザックで稜線2泊の縦走予定でだそうです。天候の悪化を考えると、素早い登頂が成否を分けることになるでしょう。
○足の松尾根はワイルドな急登が続きます。梯子・鎖は無く滑り易い所にはトラロープが設置してあるだけです。木の根が張り出し歩き難い(考えようによっては歩き易い?)路でした。でも要所に道標は完備しているので問題はありません。草刈も山頂まで完璧でした。
○ひと頑張りで姫子ノ峰です。ここから正面にピラミダルな大石山が望まれますが・・・遥かに遠い。周囲の山々も展望できますが1200m付近から上は雲の中で山座同定はできませんでした。ただ陰影の深い緑濃い谷は、飯豊の山々の険しさを象徴するようでした。
○大石山までは体力勝負です。ここまで来れば「あとは主稜線を1時間半《(まだ体力は大丈夫)と計算ができます。ところが下りに入った途端に暴風雨に晒されます。下から吹き上げる風は、脚を上げて体重移動した身体を持ってゆかれそうな勢いです。慌てて耐風姿勢を取り風の息を待ちます。叩きつけるような雨ですが、相棒のザックカバーは捲れ上がり風に流されて物の役に立ちません。
○すると突然、吹き飛ばされそうになった鴉天狗が抱きついて来て(気色悪~)「今なら引き返せるぞー《と怒鳴ります「馬鹿野郎、俺は何時だって引き返せるぞー(とっとと進め!)《と怒鳴り返す隊長・・・案の定、這松帯に入ると風は弱まりました。
○道の両側は満開のお花畑で、ガスの中で健気に咲き乱れる高山椊物。強風に揺られながら決して折れることの無い芯の強い草花たちです。鉾立峰の山頂付近も吹きさらしで半端な風ではありません。歯を喰いしばりながら笹原の鞍部を進みます。やがて前方にガスのなかから朳差小屋が現れました。山頂は小屋の裏山ですが、この一歩一歩には大変な努力が要りました。
○何とか山頂に着きましたが、風が強くて立っていられません。這いつくばって写真を撮ったら即下山しましょう(またしても鴉天狗は撮影に失敗・・・ボケたんか!)雷が恐いので小屋では休まずに引き返します。帰り道の稜線は向かい風が多くなり難儀いたします。
○大石山に戻ったら、ようやく一息付けました。下りの途中で大阪の夫婦と擦れ違いましたが、随分と亀足ですね。大きなザックで強風の稜線歩きは大変でしょう。尾根を下るに従って天気は回復してきました。登山口に着いたらまだ2時ですから4時のタクシーを待たず、ヒュッテまでは歩くことにいたします。ぱらぱらと雨が落ちて来ましたのでカッパを着用します。
○奥胎内ヒュッテに着いて車を回して来たところで、バケツをひっくり返したような豪雨となりました。間一髪でずぶ濡れになるところでした、本当にラッキーな登山隊です。軽量カモシカのピストンでしたが、当初の目論みのとおりスピードが登頂の成功を招きました。長くて辛い登山でしたが、またひとつ貴重な体験を積むことができました。
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